ユリウスさんのブログ

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城の崎にて -カニフルコース-

蟹のフルコース食べ放題の日帰りバス旅行で天橋立と城崎温泉へ行った。


昼食はこんな「カニフルコース」でした。
1 本タラバガニ足
2 ズワイガニ足
3 カニ刺し
4 カニにぎり寿司
5 カニ天麩羅
6 焼きカニ
7 カニ味噌
8 カニ鍋
9 カニ茶碗蒸し
10 カニ飯
11 カニそば
12 カニグラタン
13 カニ汁
14 カニ煎餅 


 その上に、行き先が天橋立と大好きな城崎温泉だったので申し分なし。 城崎はいつ行っても俗化していないのが一番のよさと思う。

 温泉街を歩くと、去年が志賀直哉の来訪100周年だったらしくて、来訪100周年を記念するポスターが目についた。帰りのバスの中の所在無さに、ふと志賀直哉の「城の崎にて」を再読してみたくなった。



(ここからはカニとは全然無関係です)
 手元のiPhoneで「青空文庫」を探してみたが見つからない。多分、まだ著作権がきれていないのだろう。それで電子書籍を買うことにした。短編だから100円ぐらいだろうと見当をつけていたら、見事にハズレ。

 音楽だとバラで一曲でも買えるのに、本はまだそこまで進化していないらしい。角川文庫をそのまま電子書籍にしたようで、短編15編がつまっていて500円。近年電子書籍、電子書籍となかなか煩いが、何のことはない、今の状態はどれもこれも紙の本をそのまま電子化しただけ。それなのに値段があまり安くなっていないのが気に入らない。

iPhoneの例

 もっと気に入らないことと言えば、電子書籍は発行社ごとに異なるリーダーソフトをユーザーがダウンロードして持たなければならないこと。
 無料ソフトとはいえその煩わしさったらありません。翔年の場合、電子書籍を読むのに、「i文庫」、「青空文庫」、「iBooks」、「kindle」、「kobo(楽天)」、「ActiBook」、「bookLive」の7つのソフトが必要になります。そしてそれぞれのソフトの書棚にその社で買った本だけが並びます。これほどユーザー無視のソフトです。

 更に新聞を読むのにこれも無料ではありますが、スタンドソフトを用意しなければなりません。
 ソフト一本でほとんどの本が読めるように早く統一されることを望みます。それが出来なくても、一本にまとめるソフトを誰かつくってくれませんか。



 すみません。話が大きく脱線しました。元に戻します。


 20歳代で読んだ志賀直哉の「城の崎にて」をバスの中で再読して、何故作家が城崎にてに逗留していたのか、完全に記憶がとんでいたのが分ったときには驚きました。書籍の(注)によれば、大正2年8月15日に著者は山の手線の電車に後ろから衝突されて大怪我をして、その予後の養生のために城崎温泉にきていたのでした。

 作家が実際に交通事故で大怪我をしたという前提があって、今日は物語がスーと頭に入ってきました。
 交通事故で九死に一生を得た主人公が、蜂の死骸を見つけたことからはじまり、ある時には通りがかりに、ネズミが人間に串刺しにされ、傷つけられ、更に川に投げ込まれ、石を投げつけられて、それでも必死に生きようと川の中を泳いで逃げる姿を見たり、またその後、偶然とはいえ自分が蜥蜴を殺してしまったりする。
 自分が大怪我をして、幸運にも生き残ったことがきっかけとなり、小動物の生きる姿といろいろな死にざまが重なって、主人公はこんなことを感じる。
「生きていることと死んでしまっていることと、それは両極端ではなかった。それほどに差はないような気がした。」
 
 ここのところまで来て、若い時に自分が感じた読後感と、今の感じはちょっと違うなと感じました。どうやらそれは翔年が老人になって確実に死に近い地点にいるからではないかと思います。「それは両極端ではなかった」といわれれば、確かにそのような感じがするのです。それなら我々は永遠に生きる者であるかのように前を向いて歩いていればいいのです。


(参考)
電子ブックに納まっていた志賀直哉の短編
・ 母の死と新しい母
・ 精兵衛と瓢箪 ※
・ 正義派
・ 小僧の神様 ※
・ 城の崎にて ※
・ 好人物の夫婦 
・ 雨蛙
・ 焚火
・ 真鶴
・ 山科の記憶
・ 痴情 
・ 瑣事
・ 壕端の住まい
・ 転生
・ プラトニックラブ 
※ 既読の短編(他にもあるかも知れないが記憶がなし)



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