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日経平均株価は先物で簡単に動かせるのか?

 たまには当たるも八卦当たらぬも八卦の相場予想ではなく、金融の勉強でもしましょう。今回は、指数裁定取引を解説して、巷で多くの人が誤解している、「日経平均先物で日経平均株価を簡単に操作できるかどうか」について考えてみましょう

◆日経平均株価は先物で簡単に動かせるのか?

(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)

 日経平均先物の板は、日経平均を構成する225銘柄の板全部と比べてかなり薄く見えるので、多くの人が先物で簡単に日経平均を操作できると思っているのですが、これはよくある勘違いです。裁定取引が行われるからです。

 裁定取引というのは、理論価格からずれている金融商品を売買して儲けることですが、リスクがない本当の裁定と、(理論的な)割安株を買うというようにリスクがある裁定があり、文脈により両方の意味で使われます。

 

 同じ株が複数の取引所に上場されていて、価格差ができれば、同時に高いほうを売って安いほうを買えば、リスクなしで儲かります。日経平均の現物と先物には次のような関係があって、ほぼリスクのない裁定取引ができ、多くの証券会社のコンピュータが自動売買しています。

◆日経平均先物の理論価格 = 日経平均現物価格+金利-配当-貸株料

 先物価格は金利の分だけ高くなって、配当と貸株料の分が安くなるわけです。証券会社のセールスでも、顧客の投資家に「将来の見通しが楽観的だから日経平均は先物価格のほうが上になっている」とか「悲観的だから先物が下になっている」とか話している人がいて、恥ずかしいです(笑)。相場予想と先物と現物の上下は関係ありません。

 割安な先物を買って、割高な現物を売る裁定取引を考えてみましょう。現物株にはそれぞれビッド・オファー・スプレッドがあり、バスケットを成行でぶん投げるとスプレッドを跨ぐコストが発生します。ちなみに先物と現物の裁定取引は空売り規制の対象外なので空売りも成行で売れます。

 

 先物と現物の理論価格のズレが、少なくとも現物株のビッド・オファー・スプレッド以上に広がれば、ほぼ確実に自動売買で儲かります。これは一番単純な裁定取引で、実際はもっと狭い範囲で多少のリスクを取ってうまいこと儲けます。こうして先物の価格と現物の価格差は、常に裁定取引のコストの範囲内(数十円)に収まっていて、先物と現物は完全に“鎖”で繋がっているのです。

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