平成23年8月21日(日)、
「医療と消費税」という日本医師会が日比谷公会堂にて開催した無料公演には、
「貧困大国アメリカ」の著者である堤未果氏と、
「チームバチスタの栄光」の著者である海堂尊氏が壇上にいたのであった。
http://minkabu.jp/blog/show/367544「医師の年収なんて、屁みたいなもんだ」
http://minkabu.jp/blog/show/367554「真実を知った人、国を愛する人」
http://minkabu.jp/blog/show/367559「消費税が上がると医療は崩壊する」
海堂氏の作品を読んでみたいと思っていた折、
行きつけの書店にて、
たまたま新潮文庫フェスティバルが開催されており、
「ジーン・ワルツ」という小説を手にしたのであった。
★「ジーン・ワルツ」
海堂尊著 新潮文庫 520円+税 H22.7.1.初版 H23.6.15.第十二刷
小説は、ストーリーとキャラクターが強ければ、
かなりオモロクなるのだと大沢在昌氏は著書に書いていたが、
この作品はなるほどそういう作りになっているかと思う。
ミステリー系エンタテーメント小説なのだが、題材が人工授精というだけあって、
しかもそれを医師が手がけた小説ということで、新奇性がある。
主人公は30代前半のいかした女医で、彼女を取り巻く医局の上司、
女医のバイト先にいる上司とベテラン看護師、患者たちによって
繰り広げられるエピソードが充実しており、かなり楽しめる内容になっていた。
海堂氏の作品を初めて読んだのだが、
こうもオモロイと、他の作品にも手が伸びるは時間の問題だ。
また、解説によるとこの作品に出てきたキャラクターたちは、
別の作品にて主人公になっているというあたりも心憎い。
そうした流れは、村上春樹氏の作品にも端緒が垣間みえていたので、
少しばかりブームなようだ。
高橋源一郎氏が著書にて、
「小説には音楽のようなコードがある」故に、
手慣れた読者が読むとそのコードが手に取るようにわかる、
つまり先が読めるのだという。
プロットを重視する作家には、そうした弱点があるようだ。
そうした弱点をカバーするために、
村上春樹氏を筆頭に、大沢在昌氏も追随したリスキーな手法があるのだが、
これは内緒にしておこう(静笑)
「ジーン・ワルツ」は前者の小説に思えるが、
なるほどストーリーとキャラクターがオモロイので、
そうした弱点をカバーして余りあると感じるが、いかがだろうか。
PS:生意気なことをいってしまうと、
ページ数や締め切りなど事情があったのかと思われはするのだが、
ラスト近辺の流れが少し唐突で、急がれた感じがするのは惜しかったかな。