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日銀が設備投資の先送り警戒

日銀が追加緩和議論の可能性、設備投資の先送り警戒

[東京 3日 ロイター] 日銀12月19、20日に開く金融政策決定会合で、下振れリスクの根強い景気の先行きを慎重に分析し、追加緩和が必要な局面かどうかを議論する可能性が大きい。足元で鉱工業生産を始め、改善の兆候を示す指標も散見されるが、これまでの輸出・生産の減少により、設備投資の先送りなど内需にも悪影響が及んでいる。


14日に公表される日銀短観などで足元の状況を確認し、追加緩和の必要性を最終判断する。


日銀は9、10月と異例の2カ月連続緩和に踏み切ったが、欧州や中国を中心とした世界経済の減速長期化に加え、日中関係悪化の影響も顕在化しており、景気の先行きは下振れリスクが強い状況に変化はない。特に懸念されるのは、これまで堅調だった企業の設備投資計画。輸出や生産の減少を背景に、計画が先送りや中止されれば、景気を下支えしてきた内需が下押しされかねない。日銀は、来年度に景気が緩やかに回復するとのシナリオが今一度下振れしないか警戒感を強めている。


9月時点の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の2012年度の設備投資計画は前年度比12.3%増と堅調だった。しかし、11月に公表された7-9月期の国内総生産(GDP)速報値は設備投資が前期比3.2%減と、2四半期ぶりのマイナスに落ち込んだ。さらに12月3日発表の7─9月期法人企業統計では、設備投資(除くソフトウエア)が季節調整済みで前期比マイナス2.5%と3四半期連続で減少。特に製造業は同3.9%のマイナスとなった。海外経済の不透明感の強まりなどを背景に、投資を手控える動きが顕在化しているとみられる。日銀では、エコカー補助金終了による国内の自動車販売の減少が、自動車業界のやや強気な投資計画にどう響くか注視している。


一方、日銀が最重視する指標の一つである鉱工業生産は、先週末に公表された10月実績が事前予想に反して前月比1.8%の上昇と、4カ月ぶりのプラスに転じた。もっとも、これまで低下が続いてきた反動という面もあり、経済産業省は「低下傾向にある」との基調判断を維持。電機業界などの生産計画が、実需に対してやや強気でないかとみる日銀関係者もいる。生産を大きく左右する輸出は10月に前年比6.5%減と5カ月連続のマイナス。白川方明聡明は11月26日の講演で、日中関係悪化の影響が10─12月の輸出に「明確に出てくる」と指摘している。実際、10月の中国向け自動車輸出は前年比8割減少した。


衆院選で金融政策が争点化していることもあり、すでに市場では16日の投開票直後に開かれる12月会合での追加緩和を織り込む格好で株高・円安が進んでいる。来春任期を迎える日銀の正副総裁の人事を新政権が握るうえ、消費増税実現に向けた景気刺激策の必要性なども浮上しており、日銀に対する政治からの緩和圧力はこれまで以上に高まっている。日銀会合前の11、12日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾(QE3)の拡充が見込まれていることも、市場の緩和期待を高めやすい。


しかし日銀は過度な金融緩和が財政ファイナンスとの思惑を呼び、国債市場で急激な金利上昇が発生するリスクも警戒している。このため10日に発表される7─9月期のGDP2次速報値や、12日の機械受注、14日の12月短観など一連の重要指標を踏まえ、生産や輸出の悪化が内需をどの程度浸食するかなどを精査し、追加緩和の是非を決める見通しだ。

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