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円最高値…米欧不安飛び火、消去法で円買いに

 円相場が19日、戦後最高値を更新し、1ドル=75円台に突入したのは、世界経済の後退懸念が広がり、投資マネーがドルやユーロから相対的に安全とされる円になだれ込んでいることが原因だ。米国債の格付けが今月5日、米格付け会社によって最上位から格下げされ、基軸通貨である米ドルに対する信認がゆらいでいる影響も大きい。投資マネーが消去法的に円を選んでいるだけで、日本経済の強さを反映したものではない。

 日本経済はデフレが続き、リーマン・ショックからの景気回復を果たす前に東日本大震災に見舞われた。日本の財政は先進国中で最悪の水準にあり、本来なら円はドルやユーロに対して売られ、円安になってもおかしくない状況だ。しかし、米欧の景気後退懸念は深刻化しており、欧州では政府債務危機問題が依然としてくすぶっている。

 ドイツ株式指数(DAX)は8月に入って2割近く下落したほか、英FTSE100種総合株価指数は11%、米ダウ工業株30種平均も9%下落するなど軒並み急落。欧米の景気後退懸念は高まっている。11年4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は、米国が前期(1~3月期)比1.3%増と2四半期連続で2%を下回り、欧州経済をけん引するドイツは0.1%増と前期の1.3%増から急減速。経済指標の悪化が鮮明だ。投資マネーは、株などのリスクを回避し、円や金、米国債といった安全な資産に流れ込んでいる。

 政府・日銀は今月4日に円売りの市場介入を実施。円相場はいったんは1ドル=80円台まで急落したものの、8月中旬以降、1ドル=76円台が定着し、震災後につけた最高値(76円25銭)をにらむ展開が続いた。介入から最高値を更新するまでわずか半月。円高の根本的な原因が米欧の抱える深刻な債務問題や、景気後退懸念にあるだけに、日本だけでは有効な手立てが見つけきれずにいるのが現状だ。【谷川貴史】
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