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借り物

日本の年金も金投資開始

公開日時
2011/6/7 10:16




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 米国では減価するドルに対するヘッジとしてテキサス大学基金が金現物約20トンを購入した。更にテキサス教職員共済年金基金も金投資に本格的に着手したことを公表している。そして、この流れは日本にも波及した。

 ところは岡山である。岡山県機械金属工業厚生年金基金が今年度から金投資を開始することを決めたのだ。金ETFと他のゴールドファンドなどが投資対象となるようだ。

 素地はでき上がっていた。まずNYで年金向け金投資商品として元カルパース(カリフォルニア州職員共済年金基金=米国最大の年金)CEOの肝煎りで商品開発、組成されNYSE(NY証券取引所)に上場され、今や運用資産残高が5兆円相当を超えるSPDR・ゴールドシェアが2008年6月に日本上陸。東証に相互上場された。

 その後も、三菱UFJ信託銀行が2010年6月に独自の金ETFを“金の果実”と銘打ち、三菱商事とタイアップして組成。東証に上場。日本の金融機関がイニシアチブを採ったことで“日の丸ETF”ともいわれた。

 そして、今年に入り、みずほ信託が、企業年金向けに提案しているオルタナティブ(代替資産)を含むバランス型運用の標準的資産配分計画の中に金を2.6%組み込んだのだ。

 

 2010年度末時点での時価構成比は以下の通り。

 国内債券  24.4%

 国内株式  26.9%

 外国債券   8.0%

 外国株式  26.7%

 オルタナティブ投資 8.6%(そのうち金 2.6%)

 預貯金    5.3%

 

 なお2011年度計画では、代替資産の配分を10%程度に引き上げるとのことだ。興味深いことは、年金が金投資に踏み切る理由として、単なるインフレヘッジだけではなく、通貨リスクの分散も考慮されていることだ。年金にとって金はインカム(配当・利子)を生まず、運用適格資産とみなされるかという根源的問題は存在する。流動性の懸念もある。

 とはいえサブプライムローン問題発生以降、ポートフォリオ投資におけるリスク分散効果の重要性が再認識され、金が伝統的アセットクラス(資産の種類)との相関が低いことが注目されるに至った。

 これまでコモディティーへのエクスポージャー(価格変動リスクのある状態・商品)としてはエネルギー関連が7割以上のウエートを占めるインデックスものが圧倒的に多かった。貴金属となると数%程度に留まっていた。しかし、ここにきてアンダーウエートであった貴金属にリアロケーション(再配分)の流れも出てきている。特に東日本大震災後は、日本の財政リスクも強まり、福島のような地政学的リスクへの備えも長期運用の観点からは無視できなくなった。確定拠出年金のメニューにも金関連商品が入り始めている。現状では、まだまだ大半の年金が金には無関心とはいえ、運用の潮目には確実に変化の兆しが見え始めた。

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