ユリウスさんのブログ
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危機に際してのリーダーシップ -菅総理大臣は???
好ましいリーダーのタイプにはいろいろあることは承知の上で、今回の菅総理の行動に「うん?」、「これはなんだ?」、と翔年が考えるものを、今回の福島原発の危機対応に絞ってリストアップてみました。情報はネット上の風評や怪しげな週刊誌の記事ではなく、政府の発表している資料と要人の記者会見、加えて信頼できる人的ネットワークで確かめたものを材料にしています。はたしてこんなリーダーでいいのか、みなさんとともに考えてみたいのです。
情報源-1「平成23年(20011年)東北地方太平洋沖地震について」 緊急災害対策本部が発表(3月12日20:50、3月18日18:00)しているものです。合計93ページあります。
情報源-2 「ネット上にある記者会見のニュース」 読売オンラインなどマスメディアによりました。
情報源-3 「翔年の人的ネットワーク」 主に電話、メールでネット上の情報を確かめました。
考えるのに必要なイベントを時系列で並べて考えます。→以下は翔年のコメントです。
11日
1 地震発生 平成23年3月11日14時46分頃
→ 気象庁発表には「頃」がついています。
15:42 福島第一原発1,2,3号機に関し、全交流電源喪失のため(原災法10条報告対象)東電から所管官庁に通報あり
16:36 1,2号機に関し、非常用炉心冷却装置注水不能(15条報告対象)の連絡(※注水状態が分らないため念のため)
16:45 2号機に関し、原災法15条にもとずく通報あり。
→ ここで発電所の大惨事が予想されたはずです。
19:03 原子力緊急事態宣言発令、第1回原子力災害対策本部開催
→ 妥当な時間で発令されてます。
21:23 内閣総理大臣から避難指示、半径3Km圏内は避難、10Km圏内は屋内退避せよ。
→ これも妥当ですね。
23:00 1号機に関し、タービン建屋内で放射線量が上昇
→ なぜか数値が示されていません? 計測できなかったと推測するしかありません。何故漏れたのか、何処から漏れたのかも分りません。不気味です。
12日
00:00 池田経済産業副大臣が現地本部(福島原子力センター)に到着。
→ 防衛省のへりでいち早く現地入りしているのはいいですね。現地の政府高官と行動すれば、後の総理大臣の現地入りは不要のはず。
00:30 1号機に関し、ドライウェル圧力が600Kpa(設計上の最高圧力:427Kpa)を越えている可能性あり。
→ 原子炉格納容器の非常に危険な状態です。冷却がうまくいっていない事が明らかです。
03:00 原子炉圧力容器内の圧力をベントを開放して降下させる措置を行う予定
→ これをやって8気圧から一気に1気圧にさげる計画だったらしい。この予定の降圧措置がなぜか遅れるのです。ここが一番のポイントです。
07:11 総理大臣視察に現地到着
→ これは一国のリーダーの取るべき行動であろうか? 余計な行動ではないか。前日に政府は池田副大臣を現地に派遣済みである。
地震被害、津波被害、原子力被害のまさに国難の最中に、大局的判断をしなければならないリーダーが、災害本部の持ち場を離れ、原子力が重大事とはいえ、一部のことにとらわれてはならないと思う。加えて、総理を迎える現地では所長やスタッフが、本社では社長をはじめとする幹部が総理大臣へのレクチャーやら接待やら、総理の状況把握やらに手を割かれて、肝心の発電所全体の被害状況の把握と発電所としての大局判断の邪魔をしたのではないか?と心配する。
08:30 原子炉格納容器の圧力を降下させるライン構成を実施、設定値に到達次第放出する。全号機9:00以降。
→ ここまで準備ができている。放出すれば放射性物質が外部にでるのだから慎重なのは分るが、今にしておもえば水素爆発の起こる前に早く決断するべきだったと惜しまれる。この時間帯に発電所長は総理に説明していたのではないでしょうか?
15:36頃 水素爆発? 発生 直下型の大きな揺れ、一号機付近で白煙が上る。
→ 燃料棒が露出し、被覆管のジルコニウムが溶けて触媒となって、水の分解に至り、水素が発生し漏れ出し、空気と混合して爆発に至ったと考えられる。
→ 圧力降下をさせる準備が出来ているのに、遅らせた原因は何か? 一刻を争う判断を要する時に、最終的な判断は誰がするのか? 発電所長であろう。それを邪魔した人物はいなかったか?
17:39 内閣総理大臣から半径10Km圏内は避難せよ。
→ 好意的に解釈すれば、放出は住民の避難が済んでからしようとしたのかも知れません。また他の何らかの要因があったかも…。
18:00 総理大臣指示「福島原子力発電所について真水による処理を諦め海水を使え」
→ この政府発表の記録を見た時ほど、驚き、怒りを覚えた時はありません。何故なら、余りにも細かいことに総理大臣が口出ししているからです。勿論、総理大臣に発電所に対してそんな指示をする権限は与えられていません。発電所の運転は東電の責任においてなされています。それも緊急時の判断は発電所のすべてのことを把握している現地発電所長の固有の仕事です。横から口を出す総理のリーダーとしての資質を疑います。
後は情報源-2によるものです。
A 首相の最大の関心事は、原発事故への対応にあるとされる。周辺は、最近の首相について「東京電力との統合本部と連絡を取り、指示を出していることが多い」 読売オンライン
→ 総理大臣の指示で発電所を動かしてはいけませんね。東電は凛とした態度で拒否をすべきでした。
B 枝野官房長官の23日記者会見、「(首相は)慌ただしく過ごしている。表に見える形で動くことがリーダーシップとして効果的な場合もあるが、多くの場合は、必ずしも目に見えるものではない」と首相の仕事ぶりを説明した。
→ 枝野官房長官は巧妙に総理をかばっている。今回の彼の仕事ぶりは、翔年は評価します。
C 菅直人首相は3月15日早朝、福島の原発事故に際して東京電力本店に乗り込み、「撤退などありえない。覚悟を決めて下さい」とまくし立てたが、16日の自衛隊の注水活動には撤収命令を出した。菅首相はなぜ、常軌を逸した行動に走ったのか。
→ このネットの報道は大手のものではありませんが、概ね事実のようです。総理大臣と言えば日本国の船長です。この船長、日本丸をどこへ連れていくのか?
こんな行動をしていては、周囲の者も下の者も効率的な仕事ができないばかりか、モチベーションの維持にも苦労すると思います。
今政府に求められているのは、被災者支援をする傍ら、復興に向けた青写真をつくって、着々と実行することなのですから。この困難な仕事を遂行するために、政府、地方自治体、民間企業、住民が一丸となって邁進できるようにするのがリーダーの役割と信じます。
参考
〇 在日米軍の空母「ロナルド・レーガン」は12日19時宮城沖に到着
→ 飛行場が着たのです。それも翌日に。
〇 揚陸艦「トーテガ」12日に佐世保を出向、宮城沖に派遣
→ 陸の飛行場と港はつぶれたけれど、米軍のこの二つの軍艦によって海からの物資補給が12日からできるようになっているのです。どのように活用されたのか知りたいと思っています。
国の危難に際し、軍隊ほど頼りになるものはありません。人的資源、運搬のための航空機や船や車両、工事資機材、消防隊、医師、食料、それらを効率的に動かすためのしっかりした組織があるからです。
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