トミー(先端システムトレード研究室)さん
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システムトレードの進化の歴史

「システム取引の進化」というタイトルでひまわり証券のシステムトレード関連コラムの紹介です。

当コラムは日本を代表するチェリストである田中雅氏によって書かれています。

同時に田中氏は日本を代表するシステムトレーダーでもあり、1993年に米国で一年かけて競われたワールドカップ先物運用競技会で第3位に入賞しています。



さて、田中氏によるとシステムトレードは1980年代に第1世代からはじまり、現在は第4世代に至っています。



第1世代



そもそもの発端はラリーウィリアムズによる「レンジ平均パーセント法」。ブレークアウト手法の一つであり当時大きな成果を収めていたが、当手法はトレンドを意識するものではなかった。米国の先物CTA達を中心にこの手法の変化させ、トレンドが強い相場では更なる収益をあげるものへと改良していきました。



このようにして米国の先物CTA達を中心に、市場データの統計的数値計算に根拠を置くエントリー、利食い、損切り及び有用な制約条件(フィルター)のありとあらゆる変化形のシステマティックな検証が進められていきました。これがシステム取引の第一世代です。





第2世代



システム取引が盛んになるにつれ、シミュレーションの根本的問題がカーブフィッティングであることが意識されるようになりました。そこでシミュレーション手法そのものの根本的見直しが始まり、革新的なシミュレーション手法が編み出されました。



ウォーク・フォワード方式と言われ、過去だけをシミュレーションするのではなく、過去を未来に適用したときにどのような結果となるかをシミュレーションするようになりました。これが第二世代のシステム構築法です。



この構築法はカーブフィッティングを避ける一つの方法として有効であるとは思いますが、”革新的な”と呼ぶほどではないと思っています。一体どれだけフォワードテストを実施すればよいのか明確な基準はありませんし、仮にフォワードテストが上手くいったからと言ってもそれは単に市場がよかっただけであり、カーブフィッテングを回避できていると断言するまでにはいかないと思うからです。



むしろ、ルールがなぜ有効なのかを説明できるモデルであり、十分な統計母数、さらにはあらゆるトレンドの市場で検証を実施しているか。それこそカーブフィッテングを回避する最良の方法だと思います。





第3世代



ところが、1990年代後半から2000年以降、この人間の知恵を凌駕するような全く新式の研究方法が台頭してきました。人間の頭脳だけでは絶対に見つけることが出来ないようなアイデアやパラメータを探索する人工知能の出現です。



これらはPCが発明される以前には全く想像することすらできなかった新時代の探索技術です。遺伝子アルゴリズムやニューラルネットを市場取引の手法に適用する研究が成果を見せ始めました。

これが第三世代のシステム取引である。これらの研究は先物CTAの手に余るものだったようで、大学の金融工学部門が研究主体として目立ってくるようになりました。



この第3世代は失敗に終わったと聞いています。確か有名システムトレーダーの土屋氏もニューラルネット等をずいぶんと研究された様ですが、そもそもニューラルネット自体研究としては失敗に終わったというのが一般的な見解です。ニューラルネットは非常に多くの要素が複雑にからんだ事象から、シンプルな結論を出す計算手法であり、まさに市場の動きに活用できそうな予感があり、業界からの期待も大きかったようですが、市場の複雑な動きはさらにその上をいっていたというところでしょうか。





第4世代



高度な統計学を応用したデータ・マイニング手法や、同じく高度な数学を駆使した特異な取引手法やリスク解除の数学的処理の新アイデア等が現実に応用されるようになりました。市場価格変動の中に潜む未知の収益パターンだけではなく、収益機会さえあれば何であろうと探し出し、数式化しモデル化しようとするアイデアのスーパー探索の仕組み:これが第四世代です。



この試みは上手くいきはじめていると思います。デイトレーダー的な手法に似ているのかなと思っています。超短期的に市場に生まれる隙を瞬時に察知し、利益をあげる。



現在デイトレーダーが稼げなくなってきている理由には、市場の悪さ加減もありますが、このシステムが動き出していることも大きな要因となっているのではないでしょうか。



そして、最後に田中氏は第5世代:全市場取引ロボットの登場を示唆していますが、これは僕も同感です。いずれそんな時代がくるのかもしれません。

■参照元
 http://www.systr-lab.com/blog_242.html
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