9日前場の日経平均株価は前日比106円89銭安の9535円23銭と続落。円高への警戒感から輸出関連株を中心に売りが先行した。円相場がこう着感を強めたため、日経平均も売り一巡後は下げ止まったが、日銀金融政策決定会合や、FOMC(米連邦公開市場委員会)を控えて様子見気分が強く、「買えない材料が多い」(準大手証券)との声もあって、薄商いのなか、安値圏で停滞した。東証1部の出来高は5億9074万株。売買代金は4134億円。騰落銘柄数は値上がり470銘柄、値下がり1004銘柄、変わらず159銘柄。
みずほインベスターズ証券・エクイティ情報部部長の稲泉雄朗氏は「足元では外国人による寄り付き前の売買動向で大幅な買い越しが目立つが、代わりに先物で売りを出しているため、株が上がるはずもない。日経平均9000円まで500円上にあるために安心感はあるが、支えになっているのは資源国の株高のほか、国内企業業績の好調というミクロ面。資金還流促進税制の導入によって海外子会社から利益送金による円高が加速する懸念もある。円相場が1ドル=85円台を割り込んで、昨年11月の円高水準よりもさらに上昇すれば、あっという間に底割れする可能性が高まる」と指摘している。
業種別では、11年3月期連結業績予想を据え置いたパイオニア などハイテク株が軟調。ユニデン も急落した。トヨタ 、ホンダ など自動車株も下押した。住金 など鉄鋼株も売りが優勢となり、DOWA など非鉄金属株の下げもきつい。9月中間期連結業績予想を上方修正した住友鉱 も売られた。国際帝石 、昭シェル など石油関連株も下げ基調。郵船 など海運株も安い。三井不 など不動産株は利益確定売りに押された。個別では、第1四半期の連結決算(国際会計基準)で営業益8割減の日電波 や、赤字継続の日本CMK などが値下がり率上位となった。
半面、11年3月期第1四半期連結で2ケタ増益のクレセゾン などノンバンク株は買いが先行した。前週末6日の取引時間中に第1四半期の連結決算を発表し、急上昇した芙蓉リース も引き続き物色された。タイヤ株では、住友ゴム が買われ、10年12月期連結業績予想を上方修正したブリヂス もしっかり。個別では、10年9月期連結純利益予想を上方修正したフルキャストH がストップ高カイ気配。9月中間期連結業績予想を上方修正したタチエス や、第1四半期で黒字転換のミツバ なども高い。なお、東証業種別株価指数は、全33業種中、27業種が下落した。
提供:モーニングスター社