ユリウスさんのブログ

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簡保の宿は不良債権の処理の筈だ!

 あらゆる意味で、麻生総裁ひきいる自由民主党は古い昔の自民党に戻り始めている。麻生総理はそれをポカンと見ているだけで、ハドメをかけようともしない。

 例えば、最近の鳩山総務相が簡保の宿の売却に待ったをかけている問題など、全く本筋をはずした議論なのに放置したまま、正しい議論に戻そうともしない。このことは、メディアも同罪、そもそも簡保の宿はどういう経緯で売却するのか、しなければならないのか、を完全に忘れたかのような報道をしている。

 鳩山総務相の意見はおおよそこんなところだろうか? (彼はあえて本筋の議論をせず、巧妙に大衆世論をミスリードしようとしている。)

(1) 70箇所ものかんぽの宿を一私企業に一括して売却するのは好ましくない。
→ これだけを聞かされたら、反対する理由はないけれど。

(2) 資産価格が落ち込んでいる今の時期に、急いで売却するのは適切ではない。
→ これも、このことに限って言えば、その通りである。

(3) オリックスの宮内義彦会長は規制改革会議の議長を務めており、郵政民営化による資産処分にかかわるのは「できレース」的である。
→ これが大衆を扇動するのにもっとも効果的になっている。どのようにかかわったのかを言わずに、何かあるように思わせている。(翔年はオリックスに何の肩入れもするつもりはありませんが、ずる賢い政治家のこういう言動が大嫌いなだけ))

 翔年は根本問題を避ける議論はしない。政治家は故意に本筋を触れない議論をするし、マスコミはややもすると本筋を忘れた議論をわぁわぁ騒ぎ立てるが、たいていそういう議論は間違っている。

 そもそも簡保の宿の売却はどうして必要になったのか? この議論をまず思い出しておこう。

(1)かんぽの宿は、今でも年間約50億円の赤字を計上している。民営化に当たって、これを廃止・売却するのは当然のこと。不良債権は早期処理しなければ、会社の存続が危うくなる。一括売却であれ、個別売却であれ、早期処理が最優先の課題である。

(2)そのことを念頭に置けば、資産価値が落ちており時期が悪いというのは、経営的には間違った判断になる。毎年50億の赤字を垂れ流している現状を放置して、資産価値の回復を待つ余裕などないのだ。不良資産の売却をここで先送りすることは、また国民に迷惑をかける心配につながる行為だ。何のための民営化だったのか全く忘れた議論をし始めている。

(3) オリックスの会長がこの売却のどこに不正にかかわったのか? 誰も指摘していない。売却は一般入札で行われており、これが厳正に行われていたのなら、鳩山総務相の異論は全くの言いがかりになる。鳩山総務相はこの点でのみクレームをつける権限を持つが、不正があったとは言えないので、自分の権限を越えた現地視察とかのパフォーマンスに走っているように見える。

(4)不良資産を何時売却するべきかの判断は経営者が判断すべき事項である。市場や経営を知らない政治家が民間の経営判断に口出しすることは許される事ではない。このことだけでも、鳩山総務相の言っていることは間違っているのに、その上政府の政策決定に民間人が参加できないようにする(政治家と官僚で物事を決める)意図がありありと見える。それは古い自民党に帰ることだ。古い自民党に戻ろうと画策する古い体質の政治家が麻生政権では跋扈し始めていることを注意しておきたい。

(5)完全民営化されたかんぽ生命保険は、他の民間企業と同様に保険業法が適用される。民間の保険会社でホテル業を営んでいる所があるだろうか? ないはずです。なぜなら、ホテル業のリスクが金融の本業に影響を及ぼすことがあってはならないという、いわゆるリスク遮断という根本的な理由があるからです。

 上に見てきたように、麻生総務相の最近の言動は正論抜きの大衆扇動を狙っているとしか見えません。国民はこんな目くらましにあってはならにと思っています。
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