ひさっちさんのブログ

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外資系金融マンにカモにされる学校法人

大学は偉そうに経済学や経営学を教えているのに、満足な資産運用すら出来ない。

このニュースに近いこと肌で実感した事あります。

大学時代、当時の金融学の教授から「企業金融、とりわけ転換社債については詳しくないから」って言われた時に唖然としたのを覚えています。

学者は所詮学者、経済のプロでもなんでもない。
学校のトップ、とりわけ理事にいたっては尚の事でしょうね。

これからどんどんこの手のニュース出てくるでしょうね。
破綻する大学まで出てくるのではないかと心配になってきます。



金融マンにカモにされる大学 駒澤大と立正大は氷山の一角
http://diamond.jp/series/yamazaki/10057/

 最近の経済ニュースは、兆円単位、場合によっては、兆ドル単位の話が多いので、今回の150億円程度の話はいかにも小さく聞こえる。しかし、アメリカのAIGやシティグループの損失に比べると金額が小さいとはいえ、関係者には相当に深刻な話だ。金融機関にカモにされている大学の話である。

 11月19日付けの各紙報道によれば、駒澤大学が昨年度から始めたデリバティブ(金融派生商品)取引による資産運用で、約154億円の損失を出していたことが分かった。問題のデリバティブ取引は、「金利スワップ」と「通貨スワップ」の2種類で、昨年度、外資系の金融機関2社と契約していたという。ところが、2007年後半以降の金融危機の影響などを受けて、時価が一気に値下がりし、今年3月末の年度決算時点で、評価損は53億円を超え、その後も含み損が増え続けたため、結局、損切りを決めたという(損切りが出来た事には拍手を送りたい)。

 この損失の穴埋めのため、駒澤大は世田谷区内にある野球部グラウンドなど複数の土地建物を担保に、みずほ銀行から110億円の融資を受けることを決めたらしい。駒澤大学は、幸い、いい場所にいいものを持っていたので、救われた。

 昨年度末での同大の資産総額は約940億円。うち土地建物などの基本財産は580億円、現金預金は127億円というから、運用資金は結構あったのだろうが、それにしても大きな損失だ。

 似たような話は他からも出ている。11月21日には、立正大学で148億円の含み損があることが明らかになった。国債、地方債、社債、投資信託だけならまだしも、豪ドルを組み込んだ仕組み債までも抱えていて、3月末時点で96億円だった評価損がやはり金融市場の混乱や円高の影響で拡大した模様だ。しかし立正大は各種金融取引について、「満期保有を基本としているため、最終的な損失額は確定していない」と言っていて、現時点では評価損を計上していない。後述するが、こうした認識には大いに心配な点がある。

 19日付の朝日新聞の記事によると、全国約650の大学・短期大学のうち、少なくとも75大学がデリバティブ取引を行っていたという(日本私立学校振興・共済事業団調査。2005年度の集計と古いため、数はさらに増えている可能性もある)。むろん、このご時勢に資産運用で苦労していないところはないだろうが、率直に言って、大学は金融機関(特に外資系)のいいカモになっている。

 筆者もかつて外資系証券会社に勤めていたのでよく分かるが、大学や学園という名の付く学校法人は、もともと金融機関にとって上客中の上客だ(学校法人のいい客にがっちり食い込んだセールスマンは毎年、億を超えるボーナスをもらっていた)。

 というのも学校法人には授業料のほか、入学金、入試の受験料などが毎年まとまって入ってくるが、学校以外の事業に使うわけではないから、現金が貯まる。しかも、土地や建物といった担保になる資産もそれなりに保有しているところが多い。たまったお金の運用をどうするかというのは、実は学校経営上重要なポイントでもあるが、金融機関の狙い所でもある。

 そもそも日本の学校には、ハーバード大学の基金のように運用の専門家がいるわけではない。経理担当者、そしてその担当者の上司が判子を押すためにいる程度であり、自分で運用計画を立てたり、商品選択をしたりするような専門的な能力があるわけではない場合が殆どだ。自分で運用を考えるわけではないから、「そこそこのリスクでいい利回りです」と取引金融機関に提示される「案件」を検討するという受動的な姿勢になってしまう。銀行の窓口で、毎月分配型の投資信託セールスに引っ掛かる高齢者とそう大差がない。

 駒澤、立正の両大学に訊いてみたいものだが、運用担当者は、たとえば、取引していたデリバティブのプライシングを計算して、実質的な手数料を割り出すようなことが出来る人たちだったのだろうか。そうでなければ、金融機関側から見ると、利鞘の抜き放題だ。また、損失に至った運用商品は、大学側が自発的に思いついて買ったものなのか、それとも金融機関の「ご提案」を受けて、検討したものだったのか。

 詳しいことの分からない担当者が受動的に案件を検討しただけという推測が当たっているのであれば、そもそも、両大学は、100億円単位のお金を運用できる体制を、人材面でも、管理体制の面でも、持っていなかったということだろう。

 セールスする側からすると、学校法人は、ごく少数のキーマンを落とすだけで、言いなりにしやすい極めて営業効率のいいお客様なのだ。金融機関のファンドマネジャーのように世間ずれしていたり、接待(受ける方)に関するルールに縛られていたりもしないから、絡め手からの攻撃(接待)も効率がいい。

 大きな問題は、新聞各紙でも指摘されている通り、駒澤大や立正大はおそらくは氷山の一角だということだ。自分の学校の資産運用について大きな損が生じていると気づいていない学校法人のトップが、実はかなりいるのではないだろうか。担当者が一人で抱え込んでいて、理事長は全然分かっていない、というケースがあるのではないだろうか。

立正大の満期保有宣言は運用放棄に等しい

 では、学校はどうしたらいいか。そもそもおカネは毎年入ってくるわけで、それを活用しないのもいけない。

 端的に言って、まずは現状の把握から始めるべきだ。現在いったい何を保有していて、今売却したらいったいいくらで売れるのか。それを一本一本丁寧に調査すべきだ。その際、大学の経理担当者など、運用担当者に調べさせるのは、実態をごまかすリスクがあるので、避けなければならない。できれば直接利害関係のないアドバイザーを外部から雇った上で、一から内容を調査すべきだ。また、取引している金融機関と、学校側の資産運用の担当者との関係も調査する方がいい場合が多いと思う。

 次に、事態を把握したら、直ちに手を打つことだ。その意味で何とも心配なのは、立正大のケースだ。前述の通り、同大学は「満期保有を基本としているため、最終的な損失額は確定してない」と主張しているわけだが、満期保有は始めから前提に出来るまともな運用方針ではない。

 なぜかというと、たとえば、ある債券を買おうとしたときに、当然そのときの利回りが高いか安いかも含めて、投資環境と投資対象を評価して、買うか買わないかを判断しているはずだが、仮に10年の満期があるとしても、運用を始めて2年経ったところで、利回りが上がったり下がったり、あるいは投資環境が大きく変化しているときに、何も判断しなくていいのだろうか。

 むろん途中で売り買いすることが、売買コスト上不利な場合はある。ただ、当初に満期まで持ちたいと思っていたとしても、満期まで売り買いしないと決めつけるのは、判断の放棄、運用の放棄に等しい。

 会計的には満期保有だからいちいち時価評価をしたくないという小市民的な気持ちは分からぬではないが、小手先の会計よりも、経済実態として最も得な(あるいは損の小さい)行動を躊躇無く行うことが、資金運用では重要だ。経済学や経営学を教えている学校なら、分かりそうなものだが、どうなっていたのか。

 今回のような問題は、恐らく、駒澤大、立正大に限らないだろう。各大学は、現状を認識したら、次のステップとしては、資産運用に関する規約を作るべきだ。

 投資対象については何と何が適格なのか、どこまでのリスクを取る用意があり、そのリスクはどう計算するのか、そこから逸脱するものについてはどういうプロセスを経て承認を取るのか、損失が発生した場合の報告はいつどのように行うのか、運用の内容について誰がモニタリングするのか、といったことについて、細かく決めておくことが大切だ。

 いきなり完璧な運用規約(まとめると冊子になるくらいの分量になるはずだ)は作れないかも知れないが、ここから手を付けなければ、適切な管理は無理だ。

 こうした運用規約は、最終的には、資産運用の適切性を確保することと同じくらいのウェイトで、運用担当者の立場を守ることができるように出来ていなければならない。規約に従ったプロセスをしっかり踏んでいれば、運用結果のよしあしで、運用担当者の責任が問われるようなことは無いという安心感が必要だ。

 その際に大事なことは、証券会社や銀行に勧められる商品に合わせて規約を作るのではなく、自分たちで理解しコントロールできる範囲の中で、自分たちの身の丈にあった運用をしていくことを前提に、規約を作ることだ。そのためにも、取引金融機関とは独立した形で運用規約を作る必要がある。取引金融機関に相談したり、誰かを紹介してもらうのは禁物だ。

 金融機関が勧める仕組み債やスワップは、プライシングの中にたっぷりと利益が隠されている。しかも、こうしたものは、簡単に時価評価ができないことが多い。証券会社にプライシングを聞いて、そのまま鵜のみにしなければならないものには、そもそも手を出してはいけないのだが、ここのところが分からない(分かりたくない?)人が、金融機関のカモには多い。客観性のある時価評価が出来ない資産には投資してはいけないと決めておくのも、運用規約作成上有効なポイントだ。

 また、外部者というか第三者(経営陣とも経理とも、かつ金融機関からも独立している人)の存在は、運用規約の策定時だけでなく、運用のチェック時にも有効だ。運用状態のモニタリングのやり方を定めて、ボラティリティの意味のリスクも、人的・システム的なリスクも管理しなければならない。

 さらに、いままで取引していた金融機関や証券会社との取引を見直すこと、極論すれば、取引相手を変えることも一考に値する。多くの学校において、取引金融機関が偏っていて、そことべったり癒着している可能性がある。

 今回の件で、池の中で泳ぐカモの群れをイメージした。たまたま病気が見つかったカモが何匹かニュースに出てきたが、重篤な鳥インフルエンザに罹っているカモ(金融機関から見れば、脂ののったカモ!)がまだ池の中には何匹もいるはずだ。何よりも、悪い菌を運んでくる鳥(金融機関)には気を付けて欲しい。
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2件のコメントがあります
  • イメージ
    ひさっちさん
    2008/11/29 20:17
    はんちくさん

    こんばんわ

    ほんま典型的な鴨が葱しょっている状態ですね。
    しかしここまで損失膨らむまでまったく意識もしてなかったのでしょうね。

    呆れるというか情けなくなってきますわ。
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    はんちくさん
    2008/11/26 15:23
     うわあ、典型的なカモだw

     「金利だけ受け取る預金」程度の運用姿勢だったことは、想像に難くない。「こうなったら、このくらいの損失が出る」という想定もできてない。

     売り込んでくる営業マンも素人、買うほうも素人じゃ、こうなるのは当たり前です。

     金融の教授って、金融商品の内実を知らなくてもなれるものなんですね。


     アメリカの市場も、リスク面に目を向けず、プラス面のみを拾っていって、ああなったんだと思います。

     本当のプロなんて、ほとんど居やしません。