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バローホールディングスのニュース
―進化する事業形態、新戦略・新機軸で新しい顧客層の開拓にまい進―
新型コロナウイルス発生から4年目の夏を迎えようとしている。政府は、8日から新型コロナの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げるが、こうしたこともあり久々に開放的なサマーシーズンを迎えそうだ。ただ、肌の露出が一気に増える夏を前に、ボディーメイクはおすみだろうか? 「まだ」という答えも多そうだが、となればコロナ禍でなまってしまった体をフィットネスジムで鍛えなおす人も増えそうだ。新型コロナの感染拡大で辛酸をなめたフィットネス業界だが、いよいよ成長ロード復帰が迫っている。夏を前に躍動期待の「フィットネス」関連株を点検した。
●出遅れムードも漂う
フィットネス関連株が、いよいよ復活の時を迎えている。ただ、リオープン(経済再開)の動きが活発化するなか、百貨店、観光、飲食などさまざまな業界に投資家の熱い視線が集まるが、フィットネス関連株には出遅れムードも漂う。企業の業績もまちまちで、好調に推移するものから、いまだ復活ロードに乗り切れないものまでさまざまだ。とはいえ、コロナ禍を経て更なる健康意識の高まりが予想されるだけに、早晩業界全体の底上げにつながると見る向きは少なくない。
振り返れば、新型コロナの感染拡大当初、トレーニングジムなどでクラスターが発生したことで、フィットネス業界は窮地に追いやられた。緊急事態宣言による休業要請も響いた。当時、業界関係者に取材をすると、「コロナが相手じゃ、どうしようもない」と、あきらめムードがまん延していたのを記憶している。ただ、フィットネス業界も手をこまねいてはいなかった。感染を避けるため、ウェブを活用したオンラインフィットネスなどに活路を見いだそうとした。これは、時間の制約も少なく、手ごろなこともあり現在でも利用者は多く、いまにもつながる光明のひとつだったといえるかもしれない。
昨年は3年ぶりとなる行動制限のない夏だったが、感染拡大第7波の最中でもあり、もろ手を挙げてウィズコロナの到来とは言えなかった背景がある。今年は、リオープンが叫ばれるなか、「5類」への引き下げもあり、いよいよ4年ぶりとなる本格的なサマーバカンスの季節がやって来る。まずは、フィットネスジムでシェイプアップが肝要で、需要拡大に拍車がかかりそうだ。
●RIZAPは「chocoZAP」でニーズ捉える
フィットネス業界も進化している。24時間ジムに加え、専属トレーナーによるパーソナルジムの増加、そして前述したオンラインによるフィットネスサービスなどの新サービスで攻勢をかけている。こうしたなか、競争激化も顕在化しており、いままでにない戦略で新たなニーズの開拓にも懸命だ。
RIZAPグループ <2928> [札証A]は、昨年7月にコンビニジム「chocoZAP(ちょこざっぷ)」をスタートし話題を集めている。同ジムは月額2980円(税別)で、24時間使い放題、服装自由、靴の履き替えも不要だ。手軽さに加え、毎日継続すれば1日おおよそ100円という手ごろさも目を引く。chocoZAPへの入会者は当初の計画を大幅に上回っており、スタートからの短期間で会員数は29万人超(2月14日時点)と急成長。23年3月期末300店としていた出店目標を450店超に上方修正し、出店投資を加速している。2月には、23年3月期の連結最終損益予想を従来計画の20億円の赤字~5億円の黒字から95億円の赤字に下方修正するなど厳しい状況が続く。ただ、chocoZAP事業に戦略的投資を集中する先行投資期間として一時的な減益の見込みとなることについては、昨年9月の中期経営計画で既に公表していた。収穫期にはまだ時間を要しそうだが、“chocoZAP効果”の発現期待もあるだけに、今後の動向には目を配っておく必要がある。
●カーブスHD、上半期は2ケタ営業増益
女性向けフィットネス施設「カーブス」を運営するカーブスホールディングス <7085> [東証P]は、順調に復活ロードを走る。23年8月期通期業績は営業利益段階で37億円(前期比34.9%増)を計画。4月7日に発表した第2四半期累計(22年9月-23年2月)の連結決算は、同利益が前年同期比17.6%増の20億3300万円と2ケタ増益となった。国内カーブスの会員数が前期末比3000人増の75万8000人に増加したことなどが寄与。男性向け運動施設「メンズ・カーブス」に加え、海外でも攻勢をかけている点は見逃せない。株価は、4月10日に年初来安値702円をつけた後、急速に切り返す展開で同月17日には直近高値の832円まで買われた。現在は上昇一服。800円手前でもみ合うが、復活の狼煙は上がり始めたばかりと言えそうで、投資家の熱い視線が注がれている。
●年初来高値にらむFFJ
24時間型フィットネスクラブ「エニタイムフィットネス」を運営するFast Fitness Japan <7092> [東証P]にも注目。さまざまな施策で新規会員の獲得に努め、店舗当たりの平均会員数は前年同期を上回って推移し、回復基調が継続している。同社は、「安全」「安心」「清潔」「快適」な店舗運営を目標に掲げるが、3月には空間内を抗菌コーティングする「delfino(デルフィーノ)」を直営店169店舗に先行導入し、今後導入店舗を順次拡大することを発表した。いまだ感染症への不安が続くなか、これも顧客獲得へとつながりそうだ。業績も好調で、2月に発表した23年3月期第3四半期累計(22年4-12月)の連結営業利益は、前年同期比14.6%増の26億4800万円に伸び、通期計画の30億円に対する進捗率は88%に達している。株価は、4月17日につけた1756円の年初来高値をにらむ展開。
●新機軸で攻勢かけるコナミG
コナミグループ <9766> [東証P]は家庭・携帯用ゲームが主力だが、フィットネスをはじめとして、スイミング・体操・ダンス・サッカー・テニス・ゴルフなどのスクール運営でも名を馳せる。行動制限の緩和が進み、スポーツや健康増進の需要が戻りつつあるなか、「コナミスポーツ」の存在感は一層増しそうだ。6月18日には、天井ミラーを設置したマシンピラティススタジオ、「Pilates Mirror 溝の口」と「Pilates Mirror 宮崎台」の2店舗を同時にオープンする予定。Pilates Mirrorは、「もっと鏡が見たくなる」をコンセプトに、鏡を効果的に利用する新しいピラティススタジオで、こうした新機軸でも攻勢をかける。株価は、上値追い姿勢を強め年初来高値圏で頑強展開。昨年6月には9040円まで買われた経緯もあり、一段の上昇余地が期待できそうだ。
●東祥は通期進捗率99%
東祥 <8920> [東証S]は、愛知県を地盤に全国で「ホリデイスポーツクラブ」を展開。ホテル事業も展開しており、インバウンド関連の一角としても投資家の関心が高い。23年3月期の連結営業利益は前期比42.0%減の26億円を計画するが、第3四半期累計(22年4-12月)の同利益は前年同期比59.7%増の25億8100万円となり、通期計画の99%に達している。株価は、きょうも1379円まで買われ年初来高値を更新している。
●スポーツクラブでも注目したいグンゼ、バローHD
肌着メーカーのグンゼ <3002> [東証P]もフィットネス関連の一角として目を向けてみたい。連結子会社運営の「グンゼスポーツ」は、プール設備もあり全国展開している。ここフィットネス業界には異業種参入も相次ぐが、1984年の創業というから経験と実績が一味違う。3月には、つかしん店(兵庫県尼崎市)に目的特化型スタジオを導入し、リニューアルオープン。4月から同店では、日中は女性のための新しいフィットネス&コミュニティースタジオ「ミライゼ」、夜間からは楽しい・効果的に加え“非日常”を体感できる「Gritter's studio(グリッターズスタジオ)」を提供している。グンゼの株価は年初来高値圏で推移しており、ここからの動向に注目が集まる。
そのほかでは、中部地盤の食品スーパーで総合スポーツクラブも展開するバローホールディングス <9956> [東証P]にも目を配っておきたい。同社は1998年にスポーツクラブを開始し、グループ会社のアクトスで全国展開を行っている。株価は上昇基調を強め、きょうも2105円まで買われ高値引けで年初来高値を更新した。ただ、中長期スタンスに立てば、ようやく底値圏を離脱した格好なだけに今後の展開から目が離せない。
そのほかでは、需要回復が期待されるなか、フィットネス大手のルネサンス <2378> [東証P]、セントラルスポーツ <4801> [東証P]などにも、当然のことながら注視が必要だ。
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