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ステップのニュース
■ステップ<9795>の今後の見通し
2. 成長基盤の構築に向けた事業戦略
2019年9月期より2年間を将来の持続的な成長を実現していくための基盤を構築する期間と位置付け、様々な取り組みを実施していく方針となっている。具体的な施策としては以下のとおりとなる。
(1) 新スクールの開校は川崎、横浜北部等の地域を中心に展開
今後の新スクールの進出地域は、現在、4スクールにとどまっている川崎市や横浜北部等を中心とした地域に積極的にシフトしていく予定にしている。神奈川県内でも少子化が今後徐々に進む見通しだが、川崎市や横浜市北部地区、藤沢市においては今後10年以上、人口の増加が見込まれているためだ。県内の公立中学校の地域別生徒数で見ると、川崎市と横浜北部地区で全体の32.5%を占めており(2018年5月時点)、今後10年間でその比率はさらに上昇することが予想される。このため、これら地域で進学学習塾として圧倒的な基盤を確立することが、持続的な成長を実現していくうえで重要となる。
ただ、一方でこれら地域については条件に適う不動産物件が見つかりにくかったことが、スクール展開を遅らせたことも事実。賃貸物件に入居したとしても家賃が県西部エリアと比較して約1.5倍と高いこともあり、必然的に利益率が低くなるといった課題もある。ただ、対価に見合うだけの教育サービスを提供できれば、料金の見直しも可能と考えている。
(2) 「横浜プロジェクト」を始動
横浜・川崎地区において圧倒的地盤を確立するために、ブランド力の強化に取り組んでいく。学習塾でブランド力を高めるには、難関校の合格者実績がもっとも客観的でわかりやすい指標となる。そこで、同社では今後2年間で横浜・川崎地区で影響力の最も強い難関公立校である横浜翠嵐高校の合格実績でNo.1を目指すとともに、横浜市内にある公立トップ校(9校)合計で合格者数No.1にする「横浜プロジェクト」を始動している。
横浜翠嵐高校の2018年春の合格者実績は、湘南ゼミナール132名、臨海セミナー120名に次ぐ3位で77名となっているが、その差は年々縮小してきており、2年後にトップを奪取する可能性はあると見られる。また、横浜市トップ校合計の合格者数については、湘南ゼミナールが765名で1位だが、同社が731名と僅差の2位であり、年々その差も縮小していることから、こちらは2019年春の入試でトップが逆転する可能性がある。同社では「横浜プロジェクト」を実現していくために、今後2年間は新規出校を従来の年間4〜5校ペースから2〜3校ペースにやや抑え、同プロジェクトの達成に向けて全社一丸となって取り組んでいく方針となっている。
「横浜プロジェクト」が達成されれば、ブランド力が一段と向上することになり、学習塾激戦区である横浜北部や川崎地区における生徒募集も今まで以上にスムーズに進むと予想される。
(3) 学童保育で2スクール目を2020年春に開校
「STEPキッズ」を2016年に開始して以降、試行錯誤を繰り返しながら運営方法や学習プログラム等の充実に努め、運営体制が充実してきたことから、2020年春にJR茅ヶ崎駅近くに「STEPキッズ茅ヶ崎教室」を開校することを決定した。2019年9月期にも校舎新築工事に着手する計画だ(土地は取得済み)。定員数は140〜150名規模を想定している。今後の課題は、継続的な人材育成となる。将来の学童保育事業の成長に向けて、指導ノウハウが高く、かつ低学年の児童教育ノウハウを身に付けた人材を継続的に育成していく必要がある。特に低学年の児童は感受性が豊かであり、心情の変化を機微に察知し適切な対応を取れるような人材が必要とされる。同社では「STEP」の女性講師で結婚後に育児休職から復帰してくる人材を、学童保育部門のスタッフとして充当していく予定にしている。教師と子育ての両方を経験しているため、学童保育のスタッフとして適任と考えている。同社では今後、人材育成が順調に進めば、県内各地に2年に1校ペースで開校していきたい考えだ。
(4) IT投資
授業の質の向上と講師の生産性向上を図るために、IT関連機器の投資を積極的に進めていく。既に、授業の中で積極的に活用しているプロジェクターを全教室、最新型の機種に入れ替えた。高輝度プロジェクターで室内の明かりを暗くしなくても綺麗な画像を視認できるため、目が疲れることもない。また、人気の高い「はば広教養」でクイズ形式の授業を行う際に使用している早押しボタン機について、メーカーとの共同開発でコードレスタイプを作り、各教室に導入している。そのほか、講師用のパソコンも積極的に追加導入しているほか、図書の拡充も進めている。
(5) 働き方改革への対応
「働き方改革関連法案」が成立したことを受け、同社でも講師の高いモチベーションを維持しながら、専門職・技術職として、より働きやすく合理性の高い働き方への対応を進めていく。
(6) 人材採用・育成の強化
校舎数を拡大していくためには、講師となる人材の採用・育成を強化していくことが重要となる。採用については新卒採用に加えて、2017年より開始したリファラル採用(社員紹介入社)を強化していく。同業他社からの入社も多く、会社の状況をある程度理解し共感して入社するので、通常の転職サイトや一般応募から入社する社員と比較して、仕事が進めやすく離職率も低くなるといった効果が期待できるためだ。2018年9月期は中途入社24名のうち、9名がリファラル採用であった。
また、人材育成については研修プログラムなども常に改善に向けた検討を行いながら、時間をかけて研修を行ったうえで、スクールに配属する体制づくりを進めていく。
(7) 運営方針と生徒募集活動、価格政策について
進行する少子化に対応すべく、今後も校舎規模を必要以上に拡大せず、「何よりも授業の質を大切にする」という基本方針を徹底させていく。生徒募集活動については従来、生徒や保護者からの口コミが中心で、一部チラシ広告を行っていたが、新聞購読者数の減少とインターネットの普及といった環境変化に対応し、今後はチラシ広告をより抑制し、各教室ごとのホームページの充実とウェブの活用を積極的に進め、長期的なスタンスで生徒募集・校舎運営の体制を構築していく方針となっている。なお、「塾ナビ」のような学習塾の比較サイトへの広告出稿については今後も予定していない。価格政策については、「高品質の授業とシステム」を「安売りはせず」提供していく方針を今後も継続していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 成長基盤の構築に向けた事業戦略
2019年9月期より2年間を将来の持続的な成長を実現していくための基盤を構築する期間と位置付け、様々な取り組みを実施していく方針となっている。具体的な施策としては以下のとおりとなる。
(1) 新スクールの開校は川崎、横浜北部等の地域を中心に展開
今後の新スクールの進出地域は、現在、4スクールにとどまっている川崎市や横浜北部等を中心とした地域に積極的にシフトしていく予定にしている。神奈川県内でも少子化が今後徐々に進む見通しだが、川崎市や横浜市北部地区、藤沢市においては今後10年以上、人口の増加が見込まれているためだ。県内の公立中学校の地域別生徒数で見ると、川崎市と横浜北部地区で全体の32.5%を占めており(2018年5月時点)、今後10年間でその比率はさらに上昇することが予想される。このため、これら地域で進学学習塾として圧倒的な基盤を確立することが、持続的な成長を実現していくうえで重要となる。
ただ、一方でこれら地域については条件に適う不動産物件が見つかりにくかったことが、スクール展開を遅らせたことも事実。賃貸物件に入居したとしても家賃が県西部エリアと比較して約1.5倍と高いこともあり、必然的に利益率が低くなるといった課題もある。ただ、対価に見合うだけの教育サービスを提供できれば、料金の見直しも可能と考えている。
(2) 「横浜プロジェクト」を始動
横浜・川崎地区において圧倒的地盤を確立するために、ブランド力の強化に取り組んでいく。学習塾でブランド力を高めるには、難関校の合格者実績がもっとも客観的でわかりやすい指標となる。そこで、同社では今後2年間で横浜・川崎地区で影響力の最も強い難関公立校である横浜翠嵐高校の合格実績でNo.1を目指すとともに、横浜市内にある公立トップ校(9校)合計で合格者数No.1にする「横浜プロジェクト」を始動している。
横浜翠嵐高校の2018年春の合格者実績は、湘南ゼミナール132名、臨海セミナー120名に次ぐ3位で77名となっているが、その差は年々縮小してきており、2年後にトップを奪取する可能性はあると見られる。また、横浜市トップ校合計の合格者数については、湘南ゼミナールが765名で1位だが、同社が731名と僅差の2位であり、年々その差も縮小していることから、こちらは2019年春の入試でトップが逆転する可能性がある。同社では「横浜プロジェクト」を実現していくために、今後2年間は新規出校を従来の年間4〜5校ペースから2〜3校ペースにやや抑え、同プロジェクトの達成に向けて全社一丸となって取り組んでいく方針となっている。
「横浜プロジェクト」が達成されれば、ブランド力が一段と向上することになり、学習塾激戦区である横浜北部や川崎地区における生徒募集も今まで以上にスムーズに進むと予想される。
(3) 学童保育で2スクール目を2020年春に開校
「STEPキッズ」を2016年に開始して以降、試行錯誤を繰り返しながら運営方法や学習プログラム等の充実に努め、運営体制が充実してきたことから、2020年春にJR茅ヶ崎駅近くに「STEPキッズ茅ヶ崎教室」を開校することを決定した。2019年9月期にも校舎新築工事に着手する計画だ(土地は取得済み)。定員数は140〜150名規模を想定している。今後の課題は、継続的な人材育成となる。将来の学童保育事業の成長に向けて、指導ノウハウが高く、かつ低学年の児童教育ノウハウを身に付けた人材を継続的に育成していく必要がある。特に低学年の児童は感受性が豊かであり、心情の変化を機微に察知し適切な対応を取れるような人材が必要とされる。同社では「STEP」の女性講師で結婚後に育児休職から復帰してくる人材を、学童保育部門のスタッフとして充当していく予定にしている。教師と子育ての両方を経験しているため、学童保育のスタッフとして適任と考えている。同社では今後、人材育成が順調に進めば、県内各地に2年に1校ペースで開校していきたい考えだ。
(4) IT投資
授業の質の向上と講師の生産性向上を図るために、IT関連機器の投資を積極的に進めていく。既に、授業の中で積極的に活用しているプロジェクターを全教室、最新型の機種に入れ替えた。高輝度プロジェクターで室内の明かりを暗くしなくても綺麗な画像を視認できるため、目が疲れることもない。また、人気の高い「はば広教養」でクイズ形式の授業を行う際に使用している早押しボタン機について、メーカーとの共同開発でコードレスタイプを作り、各教室に導入している。そのほか、講師用のパソコンも積極的に追加導入しているほか、図書の拡充も進めている。
(5) 働き方改革への対応
「働き方改革関連法案」が成立したことを受け、同社でも講師の高いモチベーションを維持しながら、専門職・技術職として、より働きやすく合理性の高い働き方への対応を進めていく。
(6) 人材採用・育成の強化
校舎数を拡大していくためには、講師となる人材の採用・育成を強化していくことが重要となる。採用については新卒採用に加えて、2017年より開始したリファラル採用(社員紹介入社)を強化していく。同業他社からの入社も多く、会社の状況をある程度理解し共感して入社するので、通常の転職サイトや一般応募から入社する社員と比較して、仕事が進めやすく離職率も低くなるといった効果が期待できるためだ。2018年9月期は中途入社24名のうち、9名がリファラル採用であった。
また、人材育成については研修プログラムなども常に改善に向けた検討を行いながら、時間をかけて研修を行ったうえで、スクールに配属する体制づくりを進めていく。
(7) 運営方針と生徒募集活動、価格政策について
進行する少子化に対応すべく、今後も校舎規模を必要以上に拡大せず、「何よりも授業の質を大切にする」という基本方針を徹底させていく。生徒募集活動については従来、生徒や保護者からの口コミが中心で、一部チラシ広告を行っていたが、新聞購読者数の減少とインターネットの普及といった環境変化に対応し、今後はチラシ広告をより抑制し、各教室ごとのホームページの充実とウェブの活用を積極的に進め、長期的なスタンスで生徒募集・校舎運営の体制を構築していく方針となっている。なお、「塾ナビ」のような学習塾の比較サイトへの広告出稿については今後も予定していない。価格政策については、「高品質の授業とシステム」を「安売りはせず」提供していく方針を今後も継続していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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