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―AIインフラ構築に向け需要拡大、新潮流の発生で日本企業の設備投資も活発化―
株式市場で「データセンター(DC)」が高い関心を集めている。DCは、サーバーやネットワーク機器を設置・保管した設備で氾濫するさまざまな「情報」や「サービス」を裏側で支えているが、 生成AIの登場によるAI技術の発展によりその存在感は一段と高まっている。市場の急拡大が見込まれているDC市場に焦点を当てた。
●生成AIでデータセンター市場は急拡大
DCとは「インターネット用のサーバーやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称」を指す。光ファイバーなどの通信回線を大量に利用可能とするため、通常のオフィスビルと比べて非常に多数の通信回線が使用されている。また、各種インターネットサービスの心臓部となる場所のため、災害時にも支障が出ないように建物の耐震性も非常に高くなっている。同様に災害など、何らかの要因で電力供給が途絶えた場合を想定し、大容量の蓄電池や発電装置などの対策設備を備えている。また、管理者が24時間365日体制で運用を効率的に行っているため、自前で対応する場合と比較して大幅なコスト削減にもつながる。
とりわけ、「Chat(チャット)GPT」に代表される生成AIが登場し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が高まるなか、DCは一段と高い注目を集めている。AI技術の発展とともに、大量のデジタルデータの保管場所が求められており、高性能サーバーを備えるDCの需要が高まっている。更に大量のAI半導体が必要とされるためエヌビディア
一部調査会社によると、DCの市場規模は2022年の2640億ドル(約39兆720億円)から35年には6450億ドル(同95兆4600億円)まで拡大すると予想されている。また、DCの消費電力も大幅に伸びることが予測されている。エヌビディアのジェンスン・ファンCEOが2月の決算説明会において「生成AIにより数兆ドル規模のAIインフラへの新たな投資サイクルが始まった」と発言したことが伝わっているが、当然「AIインフラ」の中にはDCも含まれることになる。
●日本も国際的なデータ流通のハブを目指し注力姿勢
こうした状況のもと、日本企業もビジネス活動を加速している様子がうかがえる。例えばNTTデータグループ <9613> [東証P]は、インドを中心に設備投資計画の6割にあたる3500億円を24年3月期にDC事業に充てる見込みだ。加えて三菱商事 <8058> [東証P]は3月に入り、24年中に米DC事業に進出すると発表したばかりだ。企業の動向から更に視線を大局に移せば、岸田文雄首相が発表した「デジタル田園都市国家構想」に関し、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」が策定されている。この中でも日本を国際的なデータ流通のハブとすべく、DCに注力することが示されている。以下では、DCを運営する銘柄をメインに、同センターの建設が増加するなかで恩恵を受けるとみられる設備機器を手掛ける企業に着目した。
●さくらネット、TOKAI、NSWなど注目
さくらインターネット <3778> [東証P]~日本最大規模の大容量・高速の通信回線を確保したDCを運営。23年11月に、ガバメントクラウドサービス(政府共通のクラウドサービスの利用基盤)提供事業者に日本企業で初めて選定されたのを機に、1200円近辺で推移していた株価は動意を強め、3月7日には1万980円まで買われた。その後はエヌビディアの急落の影響もあってスピード調整を強めたが、生成AIの普及加速でDC需要の拡大が見込まれていることもあり、押し目を狙いたいところだ。
三菱商事 <8058> [東証P]~同社は17年に国内におけるDC事業への本格参入を企図し、米DC専業REIT最大手であるデジタル・リアルティ・トラスト
TOKAIホールディングス <3167> [東証P]~東海エリアから関東・南東北エリアまでの1都14県で、LPガスをはじめ、太陽光発電などの再生可能エネルギーやセキュリティー、保険など、住生活に密着した幅広い商品・サービスを提供する。傘下のTOKAIコミュニケーションズにおいて、DC事業を展開しており、アマゾンウェブサービス(AWS)などクラウドインテグレーションについても多数の実績を有する。
NSW <9739> [東証P]~システムインテグレーター。DCは都市型・郊外型を所有し、機器の調達からシステムインテグレーション、システム運用、保守まで、幅広い分野で一貫したトータルアウトソーシングを提供する。なお、渋谷データセンターは、緊急時のSE及び保守員対応も容易に実現できる利便性の高いDCとなる。
インターネットイニシアティブ <3774> [東証P]~DCやクラウド、システム開発など幅広い事業を展開する。DC建設エンジニアリングソリューションでは、同社が建設・運用するモジュール型DCなどのノウハウを生かし、コンセプトデザインから運用まで一貫して支援する。
NTTデータグループ <9613> [東証P]~22年10月にNTTグループでDCなど海外事業を担うNTTリミテッドと事業統合し、海外事業を束ねるNTTデータインクを設立。DC事業は高い成長が見込まれる事業領域とし、27年度までに、同事業へ約1兆5000億円の投資を計画している。
そのほか、DC建設の増加によって需要が期待されるところでは、富士古河E&C <1775> [東証S]が、DCなどの情報通信設備の据え付け・配線、空調設備工事を行う。オプテックスグループ <6914> [東証P]は、DC向け製品として、侵入検知機器、監視カメラ用投光器、アクセスコントロールシステムや防災機器などを手掛けている。また、三櫻工業 <6584> [東証P]は、CPU/GPUの高発熱化対策やDCのエネルギー効率を高めることが可能な水冷式冷却システムを開発。
高砂熱学工業 <1969> [東証P]は、DC用高効率空冷パッケージ空調機を手掛けるほか、三機工業 <1961> [東証P]は、高密度サーバーを搭載したラックの真下に設置し冷却する高発熱サーバー冷却装置を扱っている。新日本空調 <1952> [東証P]は、高発熱サーバーの排気気流対策製品として、局所的な温度上昇を解消し、サーバールームの温熱環境の維持と省エネルギー運用に寄与する「フローシールド」を開発しており、需要拡大が期待されよう。
株探ニュース
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