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NSWのニュース
■業績動向
1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期における日本経済は、度重なる新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、コロナ禍収束には時間を要するとの見方が強まっており、依然として不透明な状況が続いている。日本システムウエア<9739>が属する情報サービス産業界においては、景気悪化に伴う企業のIT投資の先送りや抑制など一部に慎重な動きが見られたものの、ウィズコロナ・アフターコロナを支えるサービスやソリューションの需要が急速に高まっているほか、IoT、AI、5G(高速で大容量の通信や多数の機器に同時接続できる、第5世代移動通信システム)/ローカル5Gなどのデジタル技術を駆使し、ビジネスプロセスや業務プロセスを大きく変えていくDXの取り組みが加速している。
このような状況の下、同社グループは、中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に基づいて、長年培ってきた幅広い業種・業務知識やノウハウと最新のデジタル技術を融合し、顧客のビジネスモデル変革と業務プロセス改革に貢献することにより、事業拡大と収益力強化に取り組んだ。
この結果、2021年3月期の連結業績は、売上高39,282百万円(前期比2.6%増)、営業利益4,197百万円(同8.7%増)、経常利益4,240百万円(同8.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,765百万円(同3.6%増)と、9期連続の増収増益を記録し、営業利益率も10.7%(同0.6ポイント上昇)となった。特に期初計画比では、営業利益は19.9%、営業利益率も1.6ポイント上回るなど、計画を大きく上回る着地となった。上期はコロナ禍の影響から受注活動が停滞したが、下期は回復したことで売上高は増加した。売上増に加え、不採算案件の減少やコロナ禍に伴う交通費減少などから販売費及び一般管理費が減少し、営業増益となった。同社が多岐にわたる取引先を確保していることが功を奏し、厳しい経営環境下でも、増収増益を達成したと評価できるだろう。
ITソリューションセグメント及びプロダクトソリューションセグメントで増益を確保
2. セグメント別概況
セグメント別の業績は、以下のとおりであった。
(1) ITソリューションセグメント
ITソリューションセグメントの売上高は13,202百万円(前期比1.6%減)、営業利益は1,298百万円(同7.7%増)、営業利益率は9.8%(同0.8ポイント上昇)となった。売上高については、一部案件が開発フェーズの谷間に当たることや前期の不採算案件による機会損失等により減収となったものの、利益については、不採算案件の減少などにより増益となった。なお、計画比では売上高2.3%増、営業利益23.6%増となり、プロダクトソリューションセグメントと並んで同セグメントの利益改善が同社の好決算に大きく貢献した。
売上高の内訳を見ると、金融・公共ソリューションの売上高は6,447百万円(前期比1.1%増)となった。官公庁・団体向けは、前期大型案件の反動により減少したものの、金融・保険業向けは、システム移行案件や自動車保険関連システム開発などが伸長した。また、ビジネスソリューションの売上高は4,086百万円(同14.4%減)となった。製造業向けは、パッケージ関連や既存顧客案件を中心に伸長したものの、小売業、物流業向けで、前期不採算案件の影響による機会損失(営業活動の停滞等)や、その他一部案件が開発の谷間に当たることなどにより減少した。なお、不採算案件は前期中にほぼ収束している。さらに、システム機器販売の売上高は2,669百万円(同17.9%増)となった。小売業向けのセミセルフレジ(商品のスキャンまでを店のスタッフが行い、精算はレジ横に設置された精算機で行うレジ)関連が増加した。
(2) サービスソリューションセグメント
サービスソリューションセグメントの売上高は10,380百万円(前期比5.4%増)、営業利益は564百万円(同10.5%減)、営業利益率は5.4%(同1.0ポイント低下)となった。売上高については、IoT&AIや「RealWear(リアルウェア)」など新サービスを中心にデジタルソリューション事業が拡大した。利益については、事業拡大に向けた体制強化などにより減益となった。一方、計画比では、売上高が1.8%増、営業利益も2.6%増と、おおむね計画通りの着地であった。同セグメントは2020年3月期より独立したセグメントであるが、新事業が軌道に乗り、同社全体の業績を支えるセグメントにまで成長してきたと言えるだろう。
売上高の内訳を見ると、クラウド・インフラサービスの売上高は7,575百万円(前期比0.9%増)となった。インフラ・DCにおいてハウジング案件やインフラ構築案件が減少したものの、クラウドでパブリッククラウド(サーバーなどのクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービス)の移行案件などが増加したことに加え、その他サービスでもデータ連携サービスなどが堅調に推移した。また、デジタルソリューションの売上高は2,805百万円(同19.7%増)と好調に推移した。IoT・AI関連では、IoTシステム構築案件を中心に拡大したほか、産業用スマートグラス「RealWear」が好調に推移した。また、Web・EC関連では、前期大型案件の反動があったものの、既存顧客の深耕等により事業規模を維持した。
(3) プロダクトソリューションセグメント
プロダクトソリューションセグメントの売上高は15,699百万円(前期比4.6%増)、営業利益は2,335百万円(同15.4%増)、営業利益率は14.9%(同1.4ポイント上昇)と好調に推移した。売上高については、半導体市場の伸びを背景にデバイス開発事業が堅調に推移した。利益については、増収に伴う利益増により増益となった。前期に一部落ち込んだオートモーティブの利益率が改善するなどして、組込み開発が増益となった。計画比でも、売上高は1.9%増、営業利益も22.9%増となり、同社全体の好業績を牽引した。引き続きセグメントで最も高い利益率を維持しているが、これは既述のとおり技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。
売上高の内訳を見ると、組込み開発の売上高は8,881百万円(前期比1.5%増)となった。医療機器などの設備機器は横ばい、モバイルは減少したものの、オートモーティブではCASE(次世代技術や新サービスを示す造語)、ADAS(先進運転支援システム)、モビリティ関連などが増加し、通信では5G/ローカル5G関連の開発・評価が拡大した。また、デバイス開発の売上高は6,817百万円(同9.1%増)と大きく伸長した。半導体市場の伸びを背景に開発体制を拡大したことで、同社の得意領域である画像処理分野を中心に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期における日本経済は、度重なる新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、コロナ禍収束には時間を要するとの見方が強まっており、依然として不透明な状況が続いている。日本システムウエア<9739>が属する情報サービス産業界においては、景気悪化に伴う企業のIT投資の先送りや抑制など一部に慎重な動きが見られたものの、ウィズコロナ・アフターコロナを支えるサービスやソリューションの需要が急速に高まっているほか、IoT、AI、5G(高速で大容量の通信や多数の機器に同時接続できる、第5世代移動通信システム)/ローカル5Gなどのデジタル技術を駆使し、ビジネスプロセスや業務プロセスを大きく変えていくDXの取り組みが加速している。
このような状況の下、同社グループは、中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に基づいて、長年培ってきた幅広い業種・業務知識やノウハウと最新のデジタル技術を融合し、顧客のビジネスモデル変革と業務プロセス改革に貢献することにより、事業拡大と収益力強化に取り組んだ。
この結果、2021年3月期の連結業績は、売上高39,282百万円(前期比2.6%増)、営業利益4,197百万円(同8.7%増)、経常利益4,240百万円(同8.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,765百万円(同3.6%増)と、9期連続の増収増益を記録し、営業利益率も10.7%(同0.6ポイント上昇)となった。特に期初計画比では、営業利益は19.9%、営業利益率も1.6ポイント上回るなど、計画を大きく上回る着地となった。上期はコロナ禍の影響から受注活動が停滞したが、下期は回復したことで売上高は増加した。売上増に加え、不採算案件の減少やコロナ禍に伴う交通費減少などから販売費及び一般管理費が減少し、営業増益となった。同社が多岐にわたる取引先を確保していることが功を奏し、厳しい経営環境下でも、増収増益を達成したと評価できるだろう。
ITソリューションセグメント及びプロダクトソリューションセグメントで増益を確保
2. セグメント別概況
セグメント別の業績は、以下のとおりであった。
(1) ITソリューションセグメント
ITソリューションセグメントの売上高は13,202百万円(前期比1.6%減)、営業利益は1,298百万円(同7.7%増)、営業利益率は9.8%(同0.8ポイント上昇)となった。売上高については、一部案件が開発フェーズの谷間に当たることや前期の不採算案件による機会損失等により減収となったものの、利益については、不採算案件の減少などにより増益となった。なお、計画比では売上高2.3%増、営業利益23.6%増となり、プロダクトソリューションセグメントと並んで同セグメントの利益改善が同社の好決算に大きく貢献した。
売上高の内訳を見ると、金融・公共ソリューションの売上高は6,447百万円(前期比1.1%増)となった。官公庁・団体向けは、前期大型案件の反動により減少したものの、金融・保険業向けは、システム移行案件や自動車保険関連システム開発などが伸長した。また、ビジネスソリューションの売上高は4,086百万円(同14.4%減)となった。製造業向けは、パッケージ関連や既存顧客案件を中心に伸長したものの、小売業、物流業向けで、前期不採算案件の影響による機会損失(営業活動の停滞等)や、その他一部案件が開発の谷間に当たることなどにより減少した。なお、不採算案件は前期中にほぼ収束している。さらに、システム機器販売の売上高は2,669百万円(同17.9%増)となった。小売業向けのセミセルフレジ(商品のスキャンまでを店のスタッフが行い、精算はレジ横に設置された精算機で行うレジ)関連が増加した。
(2) サービスソリューションセグメント
サービスソリューションセグメントの売上高は10,380百万円(前期比5.4%増)、営業利益は564百万円(同10.5%減)、営業利益率は5.4%(同1.0ポイント低下)となった。売上高については、IoT&AIや「RealWear(リアルウェア)」など新サービスを中心にデジタルソリューション事業が拡大した。利益については、事業拡大に向けた体制強化などにより減益となった。一方、計画比では、売上高が1.8%増、営業利益も2.6%増と、おおむね計画通りの着地であった。同セグメントは2020年3月期より独立したセグメントであるが、新事業が軌道に乗り、同社全体の業績を支えるセグメントにまで成長してきたと言えるだろう。
売上高の内訳を見ると、クラウド・インフラサービスの売上高は7,575百万円(前期比0.9%増)となった。インフラ・DCにおいてハウジング案件やインフラ構築案件が減少したものの、クラウドでパブリッククラウド(サーバーなどのクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービス)の移行案件などが増加したことに加え、その他サービスでもデータ連携サービスなどが堅調に推移した。また、デジタルソリューションの売上高は2,805百万円(同19.7%増)と好調に推移した。IoT・AI関連では、IoTシステム構築案件を中心に拡大したほか、産業用スマートグラス「RealWear」が好調に推移した。また、Web・EC関連では、前期大型案件の反動があったものの、既存顧客の深耕等により事業規模を維持した。
(3) プロダクトソリューションセグメント
プロダクトソリューションセグメントの売上高は15,699百万円(前期比4.6%増)、営業利益は2,335百万円(同15.4%増)、営業利益率は14.9%(同1.4ポイント上昇)と好調に推移した。売上高については、半導体市場の伸びを背景にデバイス開発事業が堅調に推移した。利益については、増収に伴う利益増により増益となった。前期に一部落ち込んだオートモーティブの利益率が改善するなどして、組込み開発が増益となった。計画比でも、売上高は1.9%増、営業利益も22.9%増となり、同社全体の好業績を牽引した。引き続きセグメントで最も高い利益率を維持しているが、これは既述のとおり技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。
売上高の内訳を見ると、組込み開発の売上高は8,881百万円(前期比1.5%増)となった。医療機器などの設備機器は横ばい、モバイルは減少したものの、オートモーティブではCASE(次世代技術や新サービスを示す造語)、ADAS(先進運転支援システム)、モビリティ関連などが増加し、通信では5G/ローカル5G関連の開発・評価が拡大した。また、デバイス開発の売上高は6,817百万円(同9.1%増)と大きく伸長した。半導体市場の伸びを背景に開発体制を拡大したことで、同社の得意領域である画像処理分野を中心に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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