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■中長期の成長戦略
3. 最近の取り組み状況
日本システムウエア<9739>では、中期経営計画実現に向けて、次々に新たなDX関連の取り組みをスタートしている。「IoTやAIなどテクノロジーを用いてDX推進をサポートする取り組み」と、「DX推進の弊害を取り除く取り組み」の両面で進めていく計画である。
DX推進をサポートする取り組み事例としては、まずDX推進企業とのアライアンスとして、2019年6月に日本マイクロソフトのパートナープログラムへの参画を発表した。これはMSの製品・サービス群を使って、顧客のDX推進を進めるための枠組みであり、同社は「製造」と「流通」分野に参画した。さらに、同年9月には大手機械部品メーカーのTHK<6481>が開始した、顧客とのコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK(オムニTHK)」を、同社、MS、THK3社で連携して進めることを発表した。これは、在庫検索やWeb経由の見積り、AI活用した共通部品の絞り込み、生産計画の支援などの機能を提供するものである。同社は、MSのクラウド基盤であるMicrosoft Azureの上で、このしくみを構築する。今後もMSとはこのような枠組みで、顧客のDX推進を支援していく計画である。
次に、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)への取り組み事例として、同社では、2019年8月に、米国RealWearと販売代理店契約を締結し、一次代理店であるプラチナパートナーとして、スマートグラス「RealWear(リアルウェア)」の販売を発表した。スマートグラスとは、普通のメガネにITの要素を加えて、メガネ上に情報が表示されるもので、RealWearは音声機能も持っている。このスマートグラスは、産業用途として作られ、防水・防塵・耐衝撃性を備えており、工場や工事現場などでの利用に適しており、日本で唯一(2019年8月当時、RealWear調べ)の防爆対応モデルもあるため、化学工場などより危険を伴う場所でも利用できる。また、工事現場では手が離せない状況も多いため、音声による操作で全機能を利用できるようになっている。既にグローバルで1,000社へ導入の実績があるという。同社は、RealWearの販売に加え、ゴールドパートナー、シルバーパートナーが保有するRealWear対応アプリケーションを組み込み、顧客に最適な形で提供する。販売開始発表以降4、50件の問い合わせがあり、ニーズの高さを実感しているという。
また、ドローン/ロボット系の自社開発の取り組み事例としては、同社では、2019年10月に、農機や建機など自動車以外の走行装置に接続することで、自動運転やADAS(エーダス:先進運転支援システム)機能を追加することができる汎用制御ユニットの提供開始を発表した。制御ユニットには、カメラやLiDAR(ライダー:光測距技術)など各種センサーとの接続インターフェースや画像認識・ディープラーニングのアプリケーションライブラリなどを搭載している。この制御ユニットと接続実績のある、クローラー型モビリティロボット「ユニボ」((有)クエストエンジニアリング製)もあわせて提供し、新たな自動運転のニーズ発掘に注力する計画だ。農機や建機など、自動車以外の走行装置でもニーズはあるものの、自動運転については開発・検証費用がかかり、技術専門性が求められることから、本格的な採用はまだわずかにとどまっている。そこで、このユニットを用いた実証実験を実施し、大きな初期投資をすることなく、商用に向けた機能検証を支援する。
さらに、DX推進の弊害を取り除く取り組みとしては、2019年8月には、同社の統合運用監視サービス「マネージェント」に、AIによるシステム運用の自動化であるAIOps(エーアイ・オプス)のメニュー追加を発表した。マネージェントは様々な運用方法をメニュー化することで、顧客にあった柔軟な運用サービスを提供していくソリューションである。2018年より協業を進めている(株)フィックスポイントのサービス「Kompira cloud Sonar(コンピラクラウドソナー)」と、システム運用で蓄積される各種データに対しAI分析を行うサービスを開始した。これにより従来、運用管理者が判断していた障害原因の特定や復旧対応作業の一部を、AIによる自動判定で代替することが可能になり、運用コストの削減や人員不足の課題解決に貢献するものだ。
同社が推進するDX関連の売上高は、2019年3月期の15億円から、2020年3月期上期には12億円に達しており、通期計画の30億円達成に向けて順調に推移している。このDX関連事業には、Toamiを始めとするIoT関連と、自動運転やクラウドなど顧客のDXを推進する取り組みが含まれている。Toamiについては、顧客の本番フェーズへの移行が引き続き拡大しているという。アライアンスの拡大や分析・AIソリューションの強化により、引き合いも増加傾向にあるようだ。また、自動運転やADAS領域の強化、AR、スマートグラスなど先端技術やデバイスの活用、クラウドやデータ連携など、既存デジタルビジネスの拡大によりIoT以外のDX関連売上も増加しているという。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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3. 最近の取り組み状況
日本システムウエア<9739>では、中期経営計画実現に向けて、次々に新たなDX関連の取り組みをスタートしている。「IoTやAIなどテクノロジーを用いてDX推進をサポートする取り組み」と、「DX推進の弊害を取り除く取り組み」の両面で進めていく計画である。
DX推進をサポートする取り組み事例としては、まずDX推進企業とのアライアンスとして、2019年6月に日本マイクロソフトのパートナープログラムへの参画を発表した。これはMSの製品・サービス群を使って、顧客のDX推進を進めるための枠組みであり、同社は「製造」と「流通」分野に参画した。さらに、同年9月には大手機械部品メーカーのTHK<6481>が開始した、顧客とのコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK(オムニTHK)」を、同社、MS、THK3社で連携して進めることを発表した。これは、在庫検索やWeb経由の見積り、AI活用した共通部品の絞り込み、生産計画の支援などの機能を提供するものである。同社は、MSのクラウド基盤であるMicrosoft Azureの上で、このしくみを構築する。今後もMSとはこのような枠組みで、顧客のDX推進を支援していく計画である。
次に、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)への取り組み事例として、同社では、2019年8月に、米国RealWearと販売代理店契約を締結し、一次代理店であるプラチナパートナーとして、スマートグラス「RealWear(リアルウェア)」の販売を発表した。スマートグラスとは、普通のメガネにITの要素を加えて、メガネ上に情報が表示されるもので、RealWearは音声機能も持っている。このスマートグラスは、産業用途として作られ、防水・防塵・耐衝撃性を備えており、工場や工事現場などでの利用に適しており、日本で唯一(2019年8月当時、RealWear調べ)の防爆対応モデルもあるため、化学工場などより危険を伴う場所でも利用できる。また、工事現場では手が離せない状況も多いため、音声による操作で全機能を利用できるようになっている。既にグローバルで1,000社へ導入の実績があるという。同社は、RealWearの販売に加え、ゴールドパートナー、シルバーパートナーが保有するRealWear対応アプリケーションを組み込み、顧客に最適な形で提供する。販売開始発表以降4、50件の問い合わせがあり、ニーズの高さを実感しているという。
また、ドローン/ロボット系の自社開発の取り組み事例としては、同社では、2019年10月に、農機や建機など自動車以外の走行装置に接続することで、自動運転やADAS(エーダス:先進運転支援システム)機能を追加することができる汎用制御ユニットの提供開始を発表した。制御ユニットには、カメラやLiDAR(ライダー:光測距技術)など各種センサーとの接続インターフェースや画像認識・ディープラーニングのアプリケーションライブラリなどを搭載している。この制御ユニットと接続実績のある、クローラー型モビリティロボット「ユニボ」((有)クエストエンジニアリング製)もあわせて提供し、新たな自動運転のニーズ発掘に注力する計画だ。農機や建機など、自動車以外の走行装置でもニーズはあるものの、自動運転については開発・検証費用がかかり、技術専門性が求められることから、本格的な採用はまだわずかにとどまっている。そこで、このユニットを用いた実証実験を実施し、大きな初期投資をすることなく、商用に向けた機能検証を支援する。
さらに、DX推進の弊害を取り除く取り組みとしては、2019年8月には、同社の統合運用監視サービス「マネージェント」に、AIによるシステム運用の自動化であるAIOps(エーアイ・オプス)のメニュー追加を発表した。マネージェントは様々な運用方法をメニュー化することで、顧客にあった柔軟な運用サービスを提供していくソリューションである。2018年より協業を進めている(株)フィックスポイントのサービス「Kompira cloud Sonar(コンピラクラウドソナー)」と、システム運用で蓄積される各種データに対しAI分析を行うサービスを開始した。これにより従来、運用管理者が判断していた障害原因の特定や復旧対応作業の一部を、AIによる自動判定で代替することが可能になり、運用コストの削減や人員不足の課題解決に貢献するものだ。
同社が推進するDX関連の売上高は、2019年3月期の15億円から、2020年3月期上期には12億円に達しており、通期計画の30億円達成に向けて順調に推移している。このDX関連事業には、Toamiを始めとするIoT関連と、自動運転やクラウドなど顧客のDXを推進する取り組みが含まれている。Toamiについては、顧客の本番フェーズへの移行が引き続き拡大しているという。アライアンスの拡大や分析・AIソリューションの強化により、引き合いも増加傾向にあるようだ。また、自動運転やADAS領域の強化、AR、スマートグラスなど先端技術やデバイスの活用、クラウドやデータ連携など、既存デジタルビジネスの拡大によりIoT以外のDX関連売上も増加しているという。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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