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■中長期の成長戦略
ベネフィット・ワン<2412>は2024年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画を2021年5月に策定し、推進している。そのなかで「ベネワン・プラットフォーム」を利用する会員数を拡大させることにより、2024年3月期に売上高60,640百万円、営業利益20,950百万円、営業利益率34.5%、決済事業の年間利用額100,000百万円、2024年4月の福利厚生サービス会員数1,600万人(2022年4月時点の会員数は902万人)、家族会員の獲得を含むアクティブユーザー2,000万人の達成を目標に掲げている。
同社は、会員数の拡大、収益構造の多様化とそれによるさらなる会員数の拡大、ベネワン・プラットフォーム上に蓄積された人事関連のビッグデータの活用による顧客支援によって、日本で唯一のBtoEプラットフォーマー「HRDXのリーディングカンパニー」を目指している。
1. 2022年3月期末時点での進捗状況
(1) ベネアカウントの運用開始
同社は2021年6月よりベネアカウントの運用を開始した。これにより今まで会員が福利厚生やポイント、健康プログラムサービスにおいて個別の専用アカウントでのログインを行わなければならない煩雑な状態にあったものを、「ベネアカウント」でログインを一本化できるようにする。また、今後「ベネワン・プラットフォーム」へ実装し、サービス利便性の大幅な向上を図る。これにより健診結果の経年管理やストレスチェックの実施、管理、ワクチン接種管理等の健康管理、各種従業員データの参照や目標管理、評価(MBO)、異動シミュレーション等のタレントマネジメント、そして従業員向けアンケートの実施、ライフスタイル調査の結果管理、回答状況の確認、リマインド等の従業員サーベイを可能にしていく。
(2) 「ベネワン・プラットフォーム」の普及推進
同社は、従来単品売りしていたタレントマネジメント、教育研修、福利厚生、健康プログラム、ポイント、BTMなどのサービスを集約し、ワンストップでの提供を可能にする「ベネワン・プラットフォーム」を2020年6月にリリースした。
同プラットフォームにおいては様々な商材とのクロスセルが可能になったことを生かしていくほか、デジタルマーケティングへの積極的な投資を背景に会員拡大を目指していく予定である。同プラットフォームは、パソコンにたとえると基本ソフト(OS)にあたり、その上にアプリケーションに相当する各サービスが乗る。同社が取り扱っていない機能については、プラットフォーム上で他社サービスとも連携できる柔軟な設計になっている。また、ミドルウェアとして各サービスの利用実績や従業員の健康、そのほか多様な人事関連のビッグデータも融合し、顧客企業の人事分野でのデジタル化を推進していく方針だ。なお、アプリケーション連携の状況に関しては、給与天引きサービス「給トク払い」とポイントプログラムが既にリリース済みである。福利厚生、カフェテリアプラン、健診代行、保健指導に関しても順次リリースを行っていく予定である。
コロナ禍において「働き方改革・健康経営・デジタル化」という課題に向けた企業の取り組みが活発化するなか、ビッグデータの融合による利便性も重なり、同プラットフォームの普及はスムーズに進むと予想される。普及の先には、ヘルスケアやポイント、福利厚生といった課金アプリケーションの利用による収益計上が期待される。
(3) SaaSプレイヤーとの協業
同社は、SaaSプレイヤーと協業で企業のHRDXを推進している。2021年6月にはSCSK<9719>と、2021年10月には(株)SmartHRとの協業・データ連携を開始し、人事・総務部の業務効率化支援、セミナーの共催やマーケティング、顧客紹介等の営業連携による会員の獲得加速を目指すなど、外部連携によりプラットフォームの価値向上及び企業のHRDXの一段の推進を図っている。
(4) M&Aによる成長加速
同社は2021年10月29日にJTBベネフィットの株式を12,177百万円で取得し子会社化するなど、M&Aにより成長を一段と加速させた。JTBベネフィットの子会社化により、既存事業で積み上げてきた従業員会員635万人及び140万件のサービスにJTBベネフィット従業員会員253万人を加えることに成功した。これにより2022年4月時点の総会員数は福利厚生会員が902万人、CRM会員が138万人、パーソナル会員が86万人の合計1,126万人となった。
同社では事業の加速度的な成長のため、今後もM&Aを積極的に活用していくことを明言していることから、既存事業の会員拡大やプラットフォーム強化における高いシナジーが見込まれる企業とのM&Aに弊社は注目している。
(5) 給与天引き決済サービスの普及推進
同社は2021年6月より、給与天引き決済サービス「給トク払い」をリリースし普及を推進している。同サービスは電気・ガスなど毎月かかってくる固定費を給与から自動的に天引きする新決済サービスで、給与天引きを条件に生活固定費を中心としたサービスを最安値で提供可能にするものである。
今後はガス、携帯電話、賃貸といった生活インフラ関連の月額課金型サービス等、日常的に利用されるメニューも給与天引き対象とすべく順次開発していく。サプライヤーの多角化にも注力しているが、保険商品等は業法上やや時間を要するもようである。しかし、ユーザーファーストの観点から考慮すると、将来的には広範囲なサービスを最安値で提供するプラットフォームへと仕上げる計画であり、足下ではそれに向けた事業基盤が構築されつつある状況である。なお、2022年3月期末時点で187サービスの給与天引きが可能になっているほか、キラーコンテンツとして電気・ガスなどの生活インフラ関連に加えて定期購買のウォーターサーバーサービス、U-NEXT、Eマガジン、フィットネス、学習塾などのサービスも利用可能となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
ベネフィット・ワン<2412>は2024年3月期を最終年度とする3ヶ年中期経営計画を2021年5月に策定し、推進している。そのなかで「ベネワン・プラットフォーム」を利用する会員数を拡大させることにより、2024年3月期に売上高60,640百万円、営業利益20,950百万円、営業利益率34.5%、決済事業の年間利用額100,000百万円、2024年4月の福利厚生サービス会員数1,600万人(2022年4月時点の会員数は902万人)、家族会員の獲得を含むアクティブユーザー2,000万人の達成を目標に掲げている。
同社は、会員数の拡大、収益構造の多様化とそれによるさらなる会員数の拡大、ベネワン・プラットフォーム上に蓄積された人事関連のビッグデータの活用による顧客支援によって、日本で唯一のBtoEプラットフォーマー「HRDXのリーディングカンパニー」を目指している。
1. 2022年3月期末時点での進捗状況
(1) ベネアカウントの運用開始
同社は2021年6月よりベネアカウントの運用を開始した。これにより今まで会員が福利厚生やポイント、健康プログラムサービスにおいて個別の専用アカウントでのログインを行わなければならない煩雑な状態にあったものを、「ベネアカウント」でログインを一本化できるようにする。また、今後「ベネワン・プラットフォーム」へ実装し、サービス利便性の大幅な向上を図る。これにより健診結果の経年管理やストレスチェックの実施、管理、ワクチン接種管理等の健康管理、各種従業員データの参照や目標管理、評価(MBO)、異動シミュレーション等のタレントマネジメント、そして従業員向けアンケートの実施、ライフスタイル調査の結果管理、回答状況の確認、リマインド等の従業員サーベイを可能にしていく。
(2) 「ベネワン・プラットフォーム」の普及推進
同社は、従来単品売りしていたタレントマネジメント、教育研修、福利厚生、健康プログラム、ポイント、BTMなどのサービスを集約し、ワンストップでの提供を可能にする「ベネワン・プラットフォーム」を2020年6月にリリースした。
同プラットフォームにおいては様々な商材とのクロスセルが可能になったことを生かしていくほか、デジタルマーケティングへの積極的な投資を背景に会員拡大を目指していく予定である。同プラットフォームは、パソコンにたとえると基本ソフト(OS)にあたり、その上にアプリケーションに相当する各サービスが乗る。同社が取り扱っていない機能については、プラットフォーム上で他社サービスとも連携できる柔軟な設計になっている。また、ミドルウェアとして各サービスの利用実績や従業員の健康、そのほか多様な人事関連のビッグデータも融合し、顧客企業の人事分野でのデジタル化を推進していく方針だ。なお、アプリケーション連携の状況に関しては、給与天引きサービス「給トク払い」とポイントプログラムが既にリリース済みである。福利厚生、カフェテリアプラン、健診代行、保健指導に関しても順次リリースを行っていく予定である。
コロナ禍において「働き方改革・健康経営・デジタル化」という課題に向けた企業の取り組みが活発化するなか、ビッグデータの融合による利便性も重なり、同プラットフォームの普及はスムーズに進むと予想される。普及の先には、ヘルスケアやポイント、福利厚生といった課金アプリケーションの利用による収益計上が期待される。
(3) SaaSプレイヤーとの協業
同社は、SaaSプレイヤーと協業で企業のHRDXを推進している。2021年6月にはSCSK<9719>と、2021年10月には(株)SmartHRとの協業・データ連携を開始し、人事・総務部の業務効率化支援、セミナーの共催やマーケティング、顧客紹介等の営業連携による会員の獲得加速を目指すなど、外部連携によりプラットフォームの価値向上及び企業のHRDXの一段の推進を図っている。
(4) M&Aによる成長加速
同社は2021年10月29日にJTBベネフィットの株式を12,177百万円で取得し子会社化するなど、M&Aにより成長を一段と加速させた。JTBベネフィットの子会社化により、既存事業で積み上げてきた従業員会員635万人及び140万件のサービスにJTBベネフィット従業員会員253万人を加えることに成功した。これにより2022年4月時点の総会員数は福利厚生会員が902万人、CRM会員が138万人、パーソナル会員が86万人の合計1,126万人となった。
同社では事業の加速度的な成長のため、今後もM&Aを積極的に活用していくことを明言していることから、既存事業の会員拡大やプラットフォーム強化における高いシナジーが見込まれる企業とのM&Aに弊社は注目している。
(5) 給与天引き決済サービスの普及推進
同社は2021年6月より、給与天引き決済サービス「給トク払い」をリリースし普及を推進している。同サービスは電気・ガスなど毎月かかってくる固定費を給与から自動的に天引きする新決済サービスで、給与天引きを条件に生活固定費を中心としたサービスを最安値で提供可能にするものである。
今後はガス、携帯電話、賃貸といった生活インフラ関連の月額課金型サービス等、日常的に利用されるメニューも給与天引き対象とすべく順次開発していく。サプライヤーの多角化にも注力しているが、保険商品等は業法上やや時間を要するもようである。しかし、ユーザーファーストの観点から考慮すると、将来的には広範囲なサービスを最安値で提供するプラットフォームへと仕上げる計画であり、足下ではそれに向けた事業基盤が構築されつつある状況である。なお、2022年3月期末時点で187サービスの給与天引きが可能になっているほか、キラーコンテンツとして電気・ガスなどの生活インフラ関連に加えて定期購買のウォーターサーバーサービス、U-NEXT、Eマガジン、フィットネス、学習塾などのサービスも利用可能となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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