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アイ・エス・ビーのニュース
■中長期の成長戦略と進捗状況
3. 高付加価値業務へのシフト
高付加価値業務へのシフトというテーマは、アイ・エス・ビー<9702>の中核事業である受託開発型事業の拡大を念頭に置いたものだ。前中期経営計画における“新規優良顧客の獲得”というテーマを引き継ぎ、一段発展させた。具体的な目標・課題として、“新規優良顧客の獲得”に加えて、“プライム業務の拡大”、“提案型業務の拡大”、“将来性の高い市場・技術への進出”を掲げている。
このテーマにおいて1つのけん引役となっているのがQt(キュート)だ。QtはThe Qt Companyが手掛けるアプリケーション開発キットで、最大の特徴は1つのソースコードで、複数のOS(Windows、MacOS、Linuxなど)やデバイス(デスクトップ、モバイル機器等)に対応可能な“クロスプラットフォーム”だという点だ。同社は2008年以来、日本及びベトナムでのQtの正規販売代理店となっている。
アプリ開発ツールとしてのQtの採用は、車載やデジタル家電、組込装置、スマートフォン市場で一段と活発化しており、2018年12月期のQt売上高は前期比22%増の359百万円に達した。需要先の分野としては、車載分野と医療分野での採用が加速している。同社は両分野ともに得意としているが特に車載については後述するように動きが急だ。人材確保を含めた体制作りが課題だが、携帯端末やモバイルインフラの市場が縮小していることから、そこからの人材シフトで対応し、旺盛な需要の着実な取り込みによる収益拡大を狙っている。
Qt業務の受託開発促進に向けて2018年に大きな進捗があった。同社は2018年10月に、カナダのBlackberryとの間でVAIパートナー契約を締結したことを発表した。VAIはValue-Added Integratorの略で、組込みテクノロジーのエキスパートで構成されるVAIプログラムの参加企業となったということだ。
このニュースの意味合いを理解するのは多少説明を要する。車載用機器や家電機器、産業用機器など様々な機械・装置には、その機能を実現するために、組込みシステムと呼ばれるコンピューターシステムが搭載されている。前述のように、同社の売上高分野別内訳のなかの「携帯端末」、「モバイルインフラ」「組込み」、の3分野はこれを扱うもので、構成比の高い通信機器関連について「携帯端末」及び「モバイルインフラ」として切り出し、それ以外の車載用機器や医療用機器などの組込みシステムの業務を「組込み」としている。
この組込みシステム向けのOS(オペレーティングシステム。PCにおけるWindowsに相当)の1つにカナダのQNXソフトウェアシステムズが開発した「QNX」があり、QNXはカーテレマティクス(自動車向け移動体通信システム)で幅広く利用されており、QNXを搭載した自動車の台数は世界で1億2,000万台に及ぶとされている(参考までに、日本の2018年12月時点の自動車保有台数は8,200万台超)。このQNXは2010年にBlackberry(ブラックベリー)(当時の社名はリサーチ・イン・モーション(RIM))に売却され、現在はBlackberry QNXとして提供されている。
同社は、Blackberry VAIパートナーとなったことで、QNXの様々なOS(車載機器や医療機器など目的別に多数のバージョンが存在している)について、サポートとサービスを提供できることになる。そして重要なポイントは、QtがQNXの標準GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)として採用されていることだ。すなわち同社は、QtとQNXのペアを活用して車載分野という成長領域において、今後さらに収益を拡大させる足掛かりをつかんだということだ。
前述のように、2018年12月期において組込み分野の売上高は前期比13.4%増収の4,034百万円となったが、その大きなけん引役は車載分野だった。同社によれば、車載分野の売上高は、2014年から2019年までの5年間で10倍以上に増加する見通しとなっている。この急成長においてQtが大きな貢献をしたのは疑いないが、Blackberry VAIパートナーとなったことで、これが一段と加速することが期待される状況となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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3. 高付加価値業務へのシフト
高付加価値業務へのシフトというテーマは、アイ・エス・ビー<9702>の中核事業である受託開発型事業の拡大を念頭に置いたものだ。前中期経営計画における“新規優良顧客の獲得”というテーマを引き継ぎ、一段発展させた。具体的な目標・課題として、“新規優良顧客の獲得”に加えて、“プライム業務の拡大”、“提案型業務の拡大”、“将来性の高い市場・技術への進出”を掲げている。
このテーマにおいて1つのけん引役となっているのがQt(キュート)だ。QtはThe Qt Companyが手掛けるアプリケーション開発キットで、最大の特徴は1つのソースコードで、複数のOS(Windows、MacOS、Linuxなど)やデバイス(デスクトップ、モバイル機器等)に対応可能な“クロスプラットフォーム”だという点だ。同社は2008年以来、日本及びベトナムでのQtの正規販売代理店となっている。
アプリ開発ツールとしてのQtの採用は、車載やデジタル家電、組込装置、スマートフォン市場で一段と活発化しており、2018年12月期のQt売上高は前期比22%増の359百万円に達した。需要先の分野としては、車載分野と医療分野での採用が加速している。同社は両分野ともに得意としているが特に車載については後述するように動きが急だ。人材確保を含めた体制作りが課題だが、携帯端末やモバイルインフラの市場が縮小していることから、そこからの人材シフトで対応し、旺盛な需要の着実な取り込みによる収益拡大を狙っている。
Qt業務の受託開発促進に向けて2018年に大きな進捗があった。同社は2018年10月に、カナダのBlackberryとの間でVAIパートナー契約を締結したことを発表した。VAIはValue-Added Integratorの略で、組込みテクノロジーのエキスパートで構成されるVAIプログラムの参加企業となったということだ。
このニュースの意味合いを理解するのは多少説明を要する。車載用機器や家電機器、産業用機器など様々な機械・装置には、その機能を実現するために、組込みシステムと呼ばれるコンピューターシステムが搭載されている。前述のように、同社の売上高分野別内訳のなかの「携帯端末」、「モバイルインフラ」「組込み」、の3分野はこれを扱うもので、構成比の高い通信機器関連について「携帯端末」及び「モバイルインフラ」として切り出し、それ以外の車載用機器や医療用機器などの組込みシステムの業務を「組込み」としている。
この組込みシステム向けのOS(オペレーティングシステム。PCにおけるWindowsに相当)の1つにカナダのQNXソフトウェアシステムズが開発した「QNX」があり、QNXはカーテレマティクス(自動車向け移動体通信システム)で幅広く利用されており、QNXを搭載した自動車の台数は世界で1億2,000万台に及ぶとされている(参考までに、日本の2018年12月時点の自動車保有台数は8,200万台超)。このQNXは2010年にBlackberry(ブラックベリー
同社は、Blackberry VAIパートナーとなったことで、QNXの様々なOS(車載機器や医療機器など目的別に多数のバージョンが存在している)について、サポートとサービスを提供できることになる。そして重要なポイントは、QtがQNXの標準GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)として採用されていることだ。すなわち同社は、QtとQNXのペアを活用して車載分野という成長領域において、今後さらに収益を拡大させる足掛かりをつかんだということだ。
前述のように、2018年12月期において組込み分野の売上高は前期比13.4%増収の4,034百万円となったが、その大きなけん引役は車載分野だった。同社によれば、車載分野の売上高は、2014年から2019年までの5年間で10倍以上に増加する見通しとなっている。この急成長においてQtが大きな貢献をしたのは疑いないが、Blackberry VAIパートナーとなったことで、これが一段と加速することが期待される状況となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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