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アイエスビー Research Memo(2):自動車電話の開発プロジェクトへの参画を契機に、モバイル市場とともに成長

配信元:フィスコ
投稿:2018/03/30 16:56
■会社概要

1. 沿革
アイ・エス・ビー<9702>は1970年、汎用系及び業務系のシステム開発・運用を手掛ける情報サービス事業を目的に、株式会社インフォメイション・サービス・ビューローとして設立された。その後、ソフトウェアの自社開発、受託開発、システム構築(SI)を中心に業容を拡大していった。

1980年代にアナログ交換機の事業を手掛けていた縁でNEC<6701>のプロジェクトに参画し、自動車電話の開発に関与したことが今日の同社の基礎を築いたと言える。そこでソフトウェア開発力が評価され「モバイルのISB」という評価を確立した。その後90年代には三菱電機<6503>富士通<6702>、ソニー<6758>といった国内大手携帯電話機メーカーと全方位的にビジネスを行い、モバイル関連を主要な事業ドメインとして業容を拡大させた。

同社はシステムの構築・保守・運営からソフトウェアの受託開発まで幅広い情報サービスを提供しているが、ソフトウェア開発が中核となっている。特に強みを有するのが、ハードウェアの基本的な制御を司るファームウェアと呼ばれる組込みソフトウェアの領域だ。同社の顧客は、モバイル関係のみならず、自動車、医療・介護、金融、官公庁・自治体など、幅広い分野に及んでいることも特長の1つだ。

株式市場には1990年に店頭登録を行い、株式公開を果たした。その後2004年のJASDAQ上場、2008年の東証2部上場を経て、2015年3月に東証1部に上場を果たした。

2. 事業の概要とグループ企業
アイ・エス・ビー<9702>は2017年1月にセキュリティ事業を手掛ける(株)アートを子会社化した。この結果、従来は情報サービス事業の単独セグメントであったが、アートの事業をセキュリティシステム事業とし、情報サービスと合わせて2セグメント体制へと変更された。

2017年12月期実績ベースの売上構成比は、情報サービス事業が81%、セキュリティシステム事業が19%となっている。一方、営業利益の構成比は情報サービス事業が78%、セキュリティシステム事業が22%となっており、セキュリティシステム事業の利益率が高いことがわかる。セキュリティシステム事業の営業利益はアート買収に伴うのれん償却費を負担後の数値であり、5年間の償却期間が終了した後は営業利益率がさらに上昇する見込みだ。

事業セグメントの開示に加えて、同社は売上高について、ユーザー、用途、事業タイプといった観点で分類した「分野別売上高」を開示している。決算の詳細はこの分野別売上高に基づいて説明されている。現状は「携帯端末」、「組込み」、「モバイルインフラ」、「金融」、「公共」、「業務システム(旧・情報サービス)」、「フィールドサービス」、及び「プロダクト事業(旧・新事業)」の8つに分類されている。

8分野のうち、「携帯端末」、「組込み」、「モバイルインフラ」の3分野は基本的にはファームウェアを中心としたソフトウェアの開発がその業務内容となっている。「携帯端末」、「モバイルインフラ」というのは、そのうち特に構成比の大きい需要分野を切り出したものだ。それ以外の家電や自動車・車載、医療機器などの需要分野向けは、すべて「組込み」に含まれている。

一方、「金融」、「公共」、「業務システム」及び「フィールドサービス」はSI(システムインテグレーション)に代表される広義の情報サービス業務であり、その中から顧客の業種別(「金融」、「公共」)あるいは業務内容(「フィールドサービス」)に応じて切り出した形となっている。

「プロダクト事業」は、創業以来の事業であるソフトウェアの受託開発ビジネス(同社は“既存事業”と呼称)に対するもので、“ソフトウェアを活用したサービスの提供”である点がポイントだ。自社開発にこだわらず外部から導入したサービス・商材も含まれている。アートを買収して参入したセキュリティシステム事業も分野別分類ではプロダクト事業に含まれている。

同社はM&Aに対しても積極的だ。特定分野で強みを有し、同社と補完関係にあるか、相乗効果を狙える会社の子会社化を進めてきている。最近では2015年7月に(株)インフィックスを完全子会社化した。インフィックスは公共分野や、金融業界の中でも特に銀行向けに強みを有しており、証券会社に強い同社と補完関係を構築できることが買収の決め手となった模様だ。さらに2017年1月には出入室管理システムでリーディングカンパニーの一角を占めるアートを子会社化した。アートの子会社化により、同社が成長分野と位置付ける新事業の収益規模が一気に拡大した。今後も自社の成長に適切と判断する案件が出てくれば、積極姿勢で臨む方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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配信元: フィスコ

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