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レノバのニュース
―新政権で加速するカーボンニュートラル政策、躍動する関連株に刮目せよ―
地球温暖化防止の観点から脱炭素 社会の実現を目指したグリーン革命の号砲が鳴り響いている。石油や石炭などの化石燃料依存から脱却することがその骨子であり、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギー の活用が盛んに叫ばれているのは周知の通りだ。そして、もう一つ注目されているのが、クリーンエネルギーの象徴となっている水素 や、工業品・農業肥料用途として使われていたアンモニア である。これらは燃焼時に二酸化炭素を排出しないサプライチェーンの構築を可能とし、カーボンニュートラル の切り札ともいえる。この水素やアンモニア分野で商機を膨らませている企業群に、世界の投資マネーが今熱い視線を向けている。
●水素&アンモニアで新たな株高ストーリー
二酸化炭素の排出規制では環境先進国である欧州が先行、2019年時点で温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「欧州グリーンディール」を推進していたが、米国でバイデン大統領が新政権を樹立するや否や2兆ドル規模の環境インフラ投資計画を発表し、グリーン革命に向けたストーリーが本格化した。日本でも菅政権が地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」を視野に50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする方針を打ち出し、更に4月の気候変動サミットに合わせて30年度までに排出量を13年度比で46%削減する具体的な数値目標を発表している。これは、削減率を従来目標の26%から大幅に引き上げたもので、脱炭素に向けた不退転の決意を世界に示したともいえる。
政府が昨年12月に発表した「グリーン成長戦略」では水素の活用促進に向けた戦略が盛り込まれ、再生エネ由来の「グリーン水素」のほか、化石燃料を改質して製造した水素であっても発生した二酸化炭素を地下に貯蔵することでカーボンニュートラルを実現する「ブルー水素」などが有力視されている。今後はその活用に向けたインフラ整備を国策として積極推進していく方向だ。日本の水素導入量は、年間で現在の200万トンから50年には10倍の2000万トンに膨大化すると試算されている。
一方、アンモニアは工業製品や農業用化学肥料として使われていたが、にわかに脱炭素の強力なカードとして注目され始めた。アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を出さないということに加え、水素と異なる性質として、極低温でなくても液化するため輸送や貯蔵が技術的に容易であることが挙げられる。アンモニアの年間導入目標は50年に3000万トンで、これは現在の実に30倍以上の水準となる。
●新政権下では脱炭素政策が加速する
いうまでもなく、日本は今大きな政局の変化期を迎えている。自民党総裁選が来週17日に告示され、29日投開票の運びとなることでメディアを賑わしている。現時点では勝利者が誰になるのか全く予測のつかない状態だが、各候補が示す政策はその後の政権公約として意味をなすだけに、マーケット目線でも注目度は極めて高い。ここで確かなことは、各候補ともに脱炭素を政策面で重視していることだ。
脱原発の推進論者である河野太郎規制改革相は、党内のパワーバランスを意識して長期視野での原発ゼロへと態度を緩和させ、一方で再生エネ導入を最優先する姿勢を示している。岸田文雄前政調会長もコロナ対策以外では当然のように脱炭素を重点課題に置いている。更に、今回の総裁選の台風の目となりそうな高市早苗前総務相は、より具体的に環境・エネルギー政策を統括する「環境エネルギー省」の新設を主張、これは菅義偉首相が看板政策として打ち出し、株式市場にも多大な影響を与えた「デジタル庁」にも似たアナウンス効果をもたらしている。
こうした新総裁候補を横目に、関連銘柄が軒並み活気づいている。例えば再生エネの開発・運営を行うレノバ <9519> は前週末から一直線の上昇波を形成し最高値街道をまい進中、メガソーラー建設のウエストホールディングス <1407> [JQ]も今週8日にマドを開けて買われた後、更に上値を慕う展開で連日の上場来高値更新となった。このほか、再生エネや水素、電気自動車(EV)、蓄電池、そしてアンモニアと、これら「脱炭素」から分岐した一連のテーマでくくられる銘柄群はにわかに発生した強烈なマネーフロー、文字通りの上げ潮相場に乗る形となっている。
では、ここからの上値余地が大きい銘柄は何か。カーボンゼロの担い手として再生エネは不動の4番バッターだが、これ以外に水素とアンモニアはクリーンアップを打てる有力なテーマとして株式市場で強烈な存在感を示すことになるだろう。今回のトップ特集では、ここから株価変貌の可能性を内包する有望株を3銘柄ずつ計6銘柄厳選エントリーした。
●アンモニア関連で頭角を現す要注目3銘柄
◎伊藤忠エネクス <8133>
石油製品や電力・ガスなどのエネルギー商社で伊藤忠商事 <8001> が過半の株式を保有する。22年3月期業績はトップラインが前期比8%強の伸びを予想、増収効果を背景に営業利益も同6%増の205億円を見込むなど安定成長が続く。水素やアンモニア燃料の分野で親会社との連携が強い。直近ではシンガポールでの舶用アンモニア燃料サプライチェーン構築に向けた共同開発を加速させている。また、宇部興産 <4208> なども交え20年代半ばにかけて実用化されるアンモニア燃料船の燃料供給網作りで協業を続けていく計画。時価予想PER9倍前後でPBR0.8倍台と割安感があり、4ケタ大台絡みは買い場と判断される。信用買い残も枯れた状態で、5日移動平均線を下支えに戻り足が強まる公算も。
◎東亜ディーケーケー <6848>
環境用や工業用など電子応用計測器の専業メーカーで、地球環境分野に力を入れている。水・大気・ガスなどを事業領域に世界的な環境保全意識の高まりを背景に他社の追随を許さない独自の商品ラインアップで商機を捉えている。また、ライフサイエンス事業を主力展開する米ダナハー
◎東洋エンジニアリング <6330>
石油化学や肥料などのプラント 建設大手で足もとの業績は回復歩調にある。21年4-6月期営業利益は前年同期比3.2倍の18億2300万円を達成、22年3月期通期では前期比55%増の25億円を見込んでいるが増額が濃厚。アンモニアやバイオマスなどのプラントで高い実績を持つ。東シベリアと日本間のブルーアンモニアバリューチェーン構築では、7月初旬に伊藤忠などと協業で事業化調査のフェーズ2をスタートすることで合意している。一方、8月下旬には新潟県でバイオマス発電所建設プロジェクトを受注したことを発表している。株価は8月16日に1040円の年初来高値をつけてから調整局面に移行し800円台半ばまで下押しているが、時価は拾い場を提供している。
●水素関連で輝き放つ要注目3銘柄
◎ダイハツディーゼル <6023> [東証2]
船舶用ディーゼルエンジンで世界屈指の実力を有し、海運業界の収益変貌を受けて同社にも恩恵が及ぶことが予想される。地球環境問題を経営上の最重要課題の一つに掲げ、ESGへの取り組みに注力していることはポイントで、ファンド系資金など機関投資家の買いを誘引しやすい。また、「ゼロエミッション船」分野の技術開発で先行している点が注目され、水素専焼技術を確立して外航船向け水素燃料推進プラントの実現に向けた取り組みを進めている。22年3月期営業利益は前期比31%増の13億円予想と回復色を強める見込みだが、更なる上振れも視野に入る。株価は今月6日に580円の年初来高値をつけた後、上昇一服しているが、早晩切り返しが有望。0.4倍台のPBRは見直し余地が大きい。
◎新日本理化 <4406>
化学素材メーカーで界面活性剤のほか医薬中間体なども手掛ける。オレオケミカル分野で先駆した実力を持つとともに、EV向け駆動オイルや水素添加技術などで高い技術力を有する。水素の研究拠点として、京都R&Dセンターを設立し5月から業務を開始している。高圧水素化をはじめ高度な製造技術が同社の強みだが、親和性の高いビジネスパートナーとの交流や共同研究を今後積極的に進めていく構えだ。22年3月期は売上高が前期比12.5%増の275億円と2ケタ増収予想で、営業利益は同2.4倍の7億円を見込む。株価は昨年12月に344円の高値をつけているが、当面はその水準を意識した戻り相場が想定される。20年3月期に3円復配を果たしており、PBR0.7倍台で割安感も十分。
◎山王 <3441> [JQ]
電子機器用デバイスの金メッキ加工を手掛けており、世界的に販売好調な自動車向けや商用サービスの本格化で加速する5G基地局向けなどの需要を獲得している。また、同社は水素の精製に必要な水素透過膜の開発で先駆しており、脱炭素関連としてのテーマ性も豊富だ。電解メッキによる水素透過膜とその製造方法について既に昨年4月に特許を取得しているが、直近では8月中旬に水素透過膜開発に関する技術の進捗について発表している。21年7月期業績予想は期中2度にわたる上方修正を行っており、営業利益段階で前期比29%増の2億3000万円を見込んでいる。株価は足が速く、早晩2000円大台回復から昨年12月下旬につけた2155円の上場来高値更新も意識されてきそうな気配がある。
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