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澁澤倉庫のニュース
*12:12JST 澁澤倉庫 Research Memo(12):長期ビジョンの上方修正も視野に
■業績動向
3. 次期中期経営計画のイメージ
(1) 「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」の上方修正
2023年3月期は、「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」目標数値を1年前倒して達成した。さらに営業収益で8%、営業利益で9%、経常利益で24%を上回り、業績は非常に順調に推移した。海上運賃・航空運賃の高止まりや円安、ベトナムの持分法適用関連会社の業績好調といった特殊要因もあったが、中期経営計画で掲げているDX推進による業務効率化や拠点拡充によるニーズへの対応強化、物流の枠を超えた業域の拡大といった事業戦略が着実に進捗した。特殊要因となった海上運賃・航空運賃については、2024年3月期は正常化への動きが加速する見通しであることから、今後はやや引き下げた前提をとる必要があるが、澁澤倉庫<9304>は、中期経営計画最終年度の目標となる2024年3月期の業績に関して、従来の営業収益730億円、営業利益45億円を、営業収益790億円、営業利益47億円へと上方修正した。2025年3月期以降の次期中期経営計画については、長期ビジョンに掲げる営業収益1,000億円、営業利益60億円の上方修正も視野に入れつつ、定量目標を設定する考えである。
(2) 次期中期経営計画のイメージ
次期中期経営計画では、海上運賃・航空運賃の高止まりや円安といった特殊要因はなくなる見込みであるが、本牧埠頭倉庫や関西の危険物倉庫の稼働に加え、本牧埠頭倉庫と近隣の恵比須町倉庫、大黒埠頭倉庫の間で取扱い貨物の集約による機能分化を進め、各拠点の運営効率化を図る考えである。茨木と神戸七突の危険物倉庫は、危険物倉庫へのニーズが拡大していることから集荷は十分に可能だと思われる。次期中期経営計画における重点戦略は、進捗が良好な現中期経営計画の延長に設定される可能性が高いと思われ、飲料や多品種少量貨物に適したDX推進、国内外での拠点拡充、物流前後の業務や在庫機能の取り込みなど業域の拡大を、引き続き追求していく。このため、特定カテゴリーにおいて優位性やアウトソーシングサービスなどをさらに磨く必要はあるだろうが、長期ビジョンに向かって次期中期経営計画も成長トレンドを持続することになると予想される。
(3) 物流の2024年問題
懸念点があるとすれば、いわゆる「2024年問題」である。2024年問題とは、2024年4月以降、自動車運転業務の時間外労働時間を960時間とする規制が設けられることによって生じる様々な問題のことである。2024年問題により1人あたり稼働時間が減るためトラック需給が逼迫し、極短期的に運送会社の利益の減少や、トラックドライバーの給与の減少、それに伴う離職などが懸念されている。下請けの労務管理の必要性も生じるだろう。その点で極短期的には波乱要因になりそうだ。しかし、中期的には輸送単価や従業員給与の上昇につながることが予想される。同社が長く提唱しているモーダルシフトも価格や時間の面での使いにくさが相対的に消え、配送メニューの幅も広がるだろう(政府もモーダルシフトを改めて後押ししている)。もちろんCO2排出削減にもつながる。したがって、中長期的にはポジティブな結果になると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
3. 次期中期経営計画のイメージ
(1) 「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」の上方修正
2023年3月期は、「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」目標数値を1年前倒して達成した。さらに営業収益で8%、営業利益で9%、経常利益で24%を上回り、業績は非常に順調に推移した。海上運賃・航空運賃の高止まりや円安、ベトナムの持分法適用関連会社の業績好調といった特殊要因もあったが、中期経営計画で掲げているDX推進による業務効率化や拠点拡充によるニーズへの対応強化、物流の枠を超えた業域の拡大といった事業戦略が着実に進捗した。特殊要因となった海上運賃・航空運賃については、2024年3月期は正常化への動きが加速する見通しであることから、今後はやや引き下げた前提をとる必要があるが、澁澤倉庫<9304>は、中期経営計画最終年度の目標となる2024年3月期の業績に関して、従来の営業収益730億円、営業利益45億円を、営業収益790億円、営業利益47億円へと上方修正した。2025年3月期以降の次期中期経営計画については、長期ビジョンに掲げる営業収益1,000億円、営業利益60億円の上方修正も視野に入れつつ、定量目標を設定する考えである。
(2) 次期中期経営計画のイメージ
次期中期経営計画では、海上運賃・航空運賃の高止まりや円安といった特殊要因はなくなる見込みであるが、本牧埠頭倉庫や関西の危険物倉庫の稼働に加え、本牧埠頭倉庫と近隣の恵比須町倉庫、大黒埠頭倉庫の間で取扱い貨物の集約による機能分化を進め、各拠点の運営効率化を図る考えである。茨木と神戸七突の危険物倉庫は、危険物倉庫へのニーズが拡大していることから集荷は十分に可能だと思われる。次期中期経営計画における重点戦略は、進捗が良好な現中期経営計画の延長に設定される可能性が高いと思われ、飲料や多品種少量貨物に適したDX推進、国内外での拠点拡充、物流前後の業務や在庫機能の取り込みなど業域の拡大を、引き続き追求していく。このため、特定カテゴリーにおいて優位性やアウトソーシングサービスなどをさらに磨く必要はあるだろうが、長期ビジョンに向かって次期中期経営計画も成長トレンドを持続することになると予想される。
(3) 物流の2024年問題
懸念点があるとすれば、いわゆる「2024年問題」である。2024年問題とは、2024年4月以降、自動車運転業務の時間外労働時間を960時間とする規制が設けられることによって生じる様々な問題のことである。2024年問題により1人あたり稼働時間が減るためトラック需給が逼迫し、極短期的に運送会社の利益の減少や、トラックドライバーの給与の減少、それに伴う離職などが懸念されている。下請けの労務管理の必要性も生じるだろう。その点で極短期的には波乱要因になりそうだ。しかし、中期的には輸送単価や従業員給与の上昇につながることが予想される。同社が長く提唱しているモーダルシフトも価格や時間の面での使いにくさが相対的に消え、配送メニューの幅も広がるだろう(政府もモーダルシフトを改めて後押ししている)。もちろんCO2排出削減にもつながる。したがって、中長期的にはポジティブな結果になると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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