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シノケングループのニュース
■スカラ<4845>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) IT/AI/IoT/DX事業
IT/AI/IoT/DX事業の売上収益は前年同期比0.6%増の1,945百万円、営業利益は同33.9%減の201百万円と増収減益となったが、全社費用配賦前営業利益(Non-GAAP、以下同)は同17.8%増の499百万円であった。企業や地方自治体のDX推進に向けて新サービスの企画・開発を推進するなど、大型案件の受注獲得に注力したことにより、主力サービス「i-シリーズ」の新規顧客獲得ペースが鈍化し、売上収益の伸び悩みにつながった。売上形態別で見ると、月額課金収入が前年同期比3.1%減となった一方で、従量課金収入が同2.9%増、受託開発等の一時売上が同12.0%増となった。受託開発案件としては、シノケングループ<8909>と共同開発した「不動産トラストDXプラットフォーム」が第2四半期に売上計上されたことが増収要因となっている。同プラットフォームについては、IT重説※や売買契約の電子化により、第3四半期以降も追加開発を継続する予定である。
※オンラインによる重要事項説明。
(2) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業の売上収益は前年同期比32.5%減の700百万円、営業損失は15百万円(前年同期は4百万円の利益)、全社費用配賦前営業損失は13百万円(同26百万円の利益)となった。光通信グループ各社の新規商材販売に対する従来型のコールセンター業務で回復の動きは見られず、厳しい状況が継続した。一方で、アフターコロナのニーズの多様化に柔軟に対応すべく、第1四半期から組織体制及び営業活動の強化に取り組んでいる。組織体制の強化に伴い先行投資費用が発生しているものの、従来は外注していたサポート案件の内製化により共創開発事業とのシナジー効果が現れるなど、カスタマーサポートサービスの具体化が進行している。
(3) 人材・教育事業
人材・教育事業の売上収益は前年同期比7.5%増の706百万円、営業利益は89百万円(前年同期は131百万円の損失)、全社費用配賦前営業利益は124百万円(同49百万円の損失)と黒字転換した。人材事業については、大企業を中心に採用意欲が回復していることから、新卒学生向けの支援体制の強化及びサービス提供に注力した結果、増収となった。教育事業については、2021年6月期より運営を開始した学童「UK Academy」の児童確保に注力したほか、コロナ禍でも柔軟な施策を実施した結果、売上収益は前年同期並みとなった。
(4) EC事業
EC事業の売上収益は前年同期比31.4%増の815百万円、営業利益は同56.2%増の120百万円、全社費用配賦前営業利益は同48.7%増の141百万円と過去最高を更新した。コロナ禍の巣籠り需要を追い風に、オンラインでの売買ニーズが継続するなかで、SEOをはじめとしたデジタルマーケティングを強化したことが奏功したほか、2021年末に実施したセールが好評を得た。また、2021年6月期末にリリースしたiOSアプリは順調にユーザー数を伸ばしている。
(5) 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業の売上収益は前年同期比174.5%増の99百万円、営業損失は474百万円(前年同期は128百万円の損失)、全社費用配賦前営業損失は164百万円(同28百万円の損失)となった。売上収益は「逆プロポ」が順調に拡大したことが増収に寄与した。一方で利益面では、事業投資に伴う各種アドバイザリー費用、成長に向けての開発や人件費等の先行費用の増加、SCSV1号投資事業有限責任組合における投資先上場企業の株価下落等などが損失要因となったものの、これらの費用の大半は一過性のものである。
スカラパートナーズでは、ワーケーションサービス※などが貢献した。また、SCSV1号投資事業有限責任組合による投資事業では、第三者割当増資を引き受けたアーキテクツ・スタジオ・ジャパンやクックビズ等に対し、中期経営計画の策定などを含むIR支援やDX推進等のバリューアップに取り組んだ。
※好きな場所や新しい仕事を通じて、地域や人とつながる体験を提供するサービスで、主にワーケーション施設の紹介サイト「KomfortaWorkation」の運営を行っている。
官民共創マッチングプラットフォーム「逆プロポ」サービスでは、12のプロジェクトが立ち上がるとともに、これに関連して「こども食堂応援Wi-Fi」や共創する自動車保険「&e(アンディー)」等、新サービスの開発・提供を実施した。「逆プロポ」とは、大企業やスタートアップ企業などの民間企業が、社会課題解決型の新規事業を実施する際に、当該事業の需要動向の把握や仮説検証等をスピーディに実施したいときに活用するサービスとなる。従来の公募プロポーザルは、自治体が予算を持って公募するプロジェクトに対して、受注を狙う企業が事業計画書を作成・提出し、それを第三者機関が評価し選定するといったものだが、「逆プロポ」では企業が費用を負担して企画する社会課題解決型のテーマに対して、参加を希望する自治体を公募する流れとなる。参加可能な自治体はテーマに則した実証実験などの提案書を作成・申し込みを行う。選定する自治体数は複数でも可能なため、企業は多くの実証実験を行うことも可能となる。なお、選定された自治体に対しては公募する企業側から「寄付受納」という形で予算が支払われる。直接得られる収益は少ないが、同プロジェクトで活用するシステム開発を同社が受注するケースがあるほか、マッチングした自治体に対してDX支援などほかのプロジェクトを受注する可能性も増えるため、官民共創プロジェクト拡大のフック役と位置付けている。実際、「逆プロポ」のマッチングをきっかけとして、滋賀県日野町から新型コロナワクチン接種の予約システム及びマイナンバーカードを活用した予約システムの開発を受託した。なお、「逆プロポ」は(株)Public dots & Companyと共同で運営してきたが、2021年9月に同社単独で事業運営することを決定し、運営会社として(株)ソーシャル・エックスを設立した。
手元キャッシュは成長投資と株主還元に充当する方針
3. 財務状況と経営指標
2022年6月期第2四半期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比367百万円減少の19,962百万円となった。流動資産では、現金及び現金同等物が1,185百万円増加した一方で、その他の流動資産が減少した。また、非流動資産では使用権資産が227百万円減少したほか、投資事業有価証券が37百万円減少した。
負債合計は前期末比56百万円増加の9,915百万円となったが、主に有利子負債の増加340百万円などによる。資本合計は同423百万円減少の10,047百万円となったが、主に親会社の所有者に帰属する四半期損失72百万円の計上及び配当による利益剰余金の減少316百万円などによる。
経営指標を見ると、親会社所有者帰属持分比率は前期末の50.0%から48.9%と若干低下し、有利子負債比率は58.8%から64.7%に上昇した。ただ、ネットキャッシュ(現金及び現金同等物−有利子負債)については前期末比844百万円増加の4,680百万円と過去最高水準に積み上がるなど潤沢であり、財務の健全性は高いと判断される。なお、手元キャッシュは事業投資やM&A等の成長投資に投下していくほか、株主還元にも積極的に充当していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) IT/AI/IoT/DX事業
IT/AI/IoT/DX事業の売上収益は前年同期比0.6%増の1,945百万円、営業利益は同33.9%減の201百万円と増収減益となったが、全社費用配賦前営業利益(Non-GAAP、以下同)は同17.8%増の499百万円であった。企業や地方自治体のDX推進に向けて新サービスの企画・開発を推進するなど、大型案件の受注獲得に注力したことにより、主力サービス「i-シリーズ」の新規顧客獲得ペースが鈍化し、売上収益の伸び悩みにつながった。売上形態別で見ると、月額課金収入が前年同期比3.1%減となった一方で、従量課金収入が同2.9%増、受託開発等の一時売上が同12.0%増となった。受託開発案件としては、シノケングループ<8909>と共同開発した「不動産トラストDXプラットフォーム」が第2四半期に売上計上されたことが増収要因となっている。同プラットフォームについては、IT重説※や売買契約の電子化により、第3四半期以降も追加開発を継続する予定である。
※オンラインによる重要事項説明。
(2) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業の売上収益は前年同期比32.5%減の700百万円、営業損失は15百万円(前年同期は4百万円の利益)、全社費用配賦前営業損失は13百万円(同26百万円の利益)となった。光通信グループ各社の新規商材販売に対する従来型のコールセンター業務で回復の動きは見られず、厳しい状況が継続した。一方で、アフターコロナのニーズの多様化に柔軟に対応すべく、第1四半期から組織体制及び営業活動の強化に取り組んでいる。組織体制の強化に伴い先行投資費用が発生しているものの、従来は外注していたサポート案件の内製化により共創開発事業とのシナジー効果が現れるなど、カスタマーサポートサービスの具体化が進行している。
(3) 人材・教育事業
人材・教育事業の売上収益は前年同期比7.5%増の706百万円、営業利益は89百万円(前年同期は131百万円の損失)、全社費用配賦前営業利益は124百万円(同49百万円の損失)と黒字転換した。人材事業については、大企業を中心に採用意欲が回復していることから、新卒学生向けの支援体制の強化及びサービス提供に注力した結果、増収となった。教育事業については、2021年6月期より運営を開始した学童「UK Academy」の児童確保に注力したほか、コロナ禍でも柔軟な施策を実施した結果、売上収益は前年同期並みとなった。
(4) EC事業
EC事業の売上収益は前年同期比31.4%増の815百万円、営業利益は同56.2%増の120百万円、全社費用配賦前営業利益は同48.7%増の141百万円と過去最高を更新した。コロナ禍の巣籠り需要を追い風に、オンラインでの売買ニーズが継続するなかで、SEOをはじめとしたデジタルマーケティングを強化したことが奏功したほか、2021年末に実施したセールが好評を得た。また、2021年6月期末にリリースしたiOSアプリは順調にユーザー数を伸ばしている。
(5) 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業の売上収益は前年同期比174.5%増の99百万円、営業損失は474百万円(前年同期は128百万円の損失)、全社費用配賦前営業損失は164百万円(同28百万円の損失)となった。売上収益は「逆プロポ」が順調に拡大したことが増収に寄与した。一方で利益面では、事業投資に伴う各種アドバイザリー費用、成長に向けての開発や人件費等の先行費用の増加、SCSV1号投資事業有限責任組合における投資先上場企業の株価下落等などが損失要因となったものの、これらの費用の大半は一過性のものである。
スカラパートナーズでは、ワーケーションサービス※などが貢献した。また、SCSV1号投資事業有限責任組合による投資事業では、第三者割当増資を引き受けたアーキテクツ・スタジオ・ジャパンやクックビズ等に対し、中期経営計画の策定などを含むIR支援やDX推進等のバリューアップに取り組んだ。
※好きな場所や新しい仕事を通じて、地域や人とつながる体験を提供するサービスで、主にワーケーション施設の紹介サイト「KomfortaWorkation」の運営を行っている。
官民共創マッチングプラットフォーム「逆プロポ」サービスでは、12のプロジェクトが立ち上がるとともに、これに関連して「こども食堂応援Wi-Fi」や共創する自動車保険「&e(アンディー)」等、新サービスの開発・提供を実施した。「逆プロポ」とは、大企業やスタートアップ企業などの民間企業が、社会課題解決型の新規事業を実施する際に、当該事業の需要動向の把握や仮説検証等をスピーディに実施したいときに活用するサービスとなる。従来の公募プロポーザルは、自治体が予算を持って公募するプロジェクトに対して、受注を狙う企業が事業計画書を作成・提出し、それを第三者機関が評価し選定するといったものだが、「逆プロポ」では企業が費用を負担して企画する社会課題解決型のテーマに対して、参加を希望する自治体を公募する流れとなる。参加可能な自治体はテーマに則した実証実験などの提案書を作成・申し込みを行う。選定する自治体数は複数でも可能なため、企業は多くの実証実験を行うことも可能となる。なお、選定された自治体に対しては公募する企業側から「寄付受納」という形で予算が支払われる。直接得られる収益は少ないが、同プロジェクトで活用するシステム開発を同社が受注するケースがあるほか、マッチングした自治体に対してDX支援などほかのプロジェクトを受注する可能性も増えるため、官民共創プロジェクト拡大のフック役と位置付けている。実際、「逆プロポ」のマッチングをきっかけとして、滋賀県日野町から新型コロナワクチン接種の予約システム及びマイナンバーカードを活用した予約システムの開発を受託した。なお、「逆プロポ」は(株)Public dots & Companyと共同で運営してきたが、2021年9月に同社単独で事業運営することを決定し、運営会社として(株)ソーシャル・エックスを設立した。
手元キャッシュは成長投資と株主還元に充当する方針
3. 財務状況と経営指標
2022年6月期第2四半期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比367百万円減少の19,962百万円となった。流動資産では、現金及び現金同等物が1,185百万円増加した一方で、その他の流動資産が減少した。また、非流動資産では使用権資産が227百万円減少したほか、投資事業有価証券が37百万円減少した。
負債合計は前期末比56百万円増加の9,915百万円となったが、主に有利子負債の増加340百万円などによる。資本合計は同423百万円減少の10,047百万円となったが、主に親会社の所有者に帰属する四半期損失72百万円の計上及び配当による利益剰余金の減少316百万円などによる。
経営指標を見ると、親会社所有者帰属持分比率は前期末の50.0%から48.9%と若干低下し、有利子負債比率は58.8%から64.7%に上昇した。ただ、ネットキャッシュ(現金及び現金同等物−有利子負債)については前期末比844百万円増加の4,680百万円と過去最高水準に積み上がるなど潤沢であり、財務の健全性は高いと判断される。なお、手元キャッシュは事業投資やM&A等の成長投資に投下していくほか、株主還元にも積極的に充当していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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