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Jトラスト Research Memo(1):日本金融事業の拡大と東南アジア金融事業の早期黒字化に取り組む

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/08 15:01
■要約

Jトラスト<8508>は、東証2部に上場しており、傘下に国内外の金融事業を有するホールディングカンパニーである。藤澤信義(ふじさわのぶよし)社長のもと、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に資産規模を拡大してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による世界的な経済環境悪化に直面し、抜本的な事業ポートフォリオの再編に着手した。2020年8月以降、不動産事業ではキーノート(株)(現 (株)グローベルス)、日本金融事業ではJトラストカード(株) (現 Nexus Card (株))、韓国及びモンゴル金融事業ではJT親愛貯蓄銀行及びJTキャピタル(株)を売却するなど、大きな変革期にある。

1. 2021年12月期第3四半期の業績概要
2021年12月期第3四半期の営業収益は30,624百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は7,827百万円(前年同期は1,301百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,405百万円(同0.3%減)であった。JTキャピタルの売却損を計上した結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は横ばいとなったものの、通期予想には織り込み済みである。主力の各金融事業の損益が計画を上回って推移していることなどから、通期計画に対する第3四半期進捗率については、営業利益が142.2%、親会社の所有者に帰属する四半期利益は120.3%と、好調に推移した。セグメント別では、東南アジア金融事業のうちカンボジア金融事業のJトラストロイヤル銀行(以下、JTRB)が貸出残高を順調に積み増したことに加え、インドネシア金融事業も営業損失幅が縮小した。

2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績予想については、投資事業において訴訟回収金2,420万米ドルを追加計上すること、株式売却予定のJTキャピタルについて非継続事業とする一方で、JT貯蓄銀行については譲渡が確定するまでは継続事業に戻すことなどを前提に見直した。その結果、第1四半期決算発表時の2021年5月13日に、営業収益42,101百万円(期初予想比9,431百万円増)、営業利益5,503百万円(同5,397百万円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,000百万円(同1,473百万円増)に上方修正した。第3四半期決算発表時点では、コロナ禍の影響が不透明なことや事業再編を行っていることを考慮して、上述の5月に公表した通期予想を据え置いた。しかし、安定した利益を確保している日本金融事業や韓国及びモンゴル金融事業の営業収益幅が上振れているほか、東南アジア金融事業の損失幅が縮小しており、計画を上回って推移している。また投資事業では、Group Lease Holdings Pte.Ltd.(以下、GL)向け債権については全額引き当て済みであり、回収金は全額利益計上されることになる。以上の点を考慮すると、2021年12月期の業績はさらなる上方修正の可能性が高いと弊社では見ている。

3. 成長戦略
これまで同社グループでは、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業で安定的に利益を確保する一方で、中期的には成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力として、持続的な成長を目指す方針であった。ただ、現在は「ウィズコロナ」状況下での経済に最適化した事業ポートフォリオの再編に着手している。当面は日本金融事業で安定した利益を計上しながら、東南アジア金融事業の早期黒字化を図る方針である。また、韓国のJT貯蓄銀行の株式売却については、2021年11月30日に中止が発表された。業績好調が続いている韓国金融事業の成長を促すための新たな一手に注目が集まる。

■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ
・2021年12月期第3四半期は、日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業の利益幅が上振れているほか、東南アジア金融事業の損失が計画より縮小したことなどから営業利益は大幅に改善し、通期計画を上回って推移
・2021年12月期は2021年5月の上方修正値を据え置いたものの、主力の各金融事業の損益が計画を上回って推移していることなどから、さらなる上方修正の可能性も
・日本金融事業の拡大及び東南アジア金融事業の早期黒字化を図る。また、好調な業績が続いているJT貯蓄銀行の売却が中止されたことから、韓国金融事業における次の戦略は大きな注目点

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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配信元: フィスコ
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