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サンワテクノスのニュース
*16:09JST サンワテクノス Research Memo(9):PBR1.0倍超の早期実現に向け収益性の向上などに注力
■長期ビジョンと中期経営計画
3. 企業価値向上のための施策
サンワテクノス<8137>は2023年10月30日付で、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針を発表した。現状、株価は2,000円台前半の水準であり、1,000円前後で推移していた2020年からは2倍強に上昇してはいるものの、PBRでは1.0倍を下回り、純資産価値を下回る評価となっている。同社では、良好な収益性に対して株価が依然割安な水準にとどまっていると考えており、改めて企業価値(=株価)向上のための施策を発表した。
株価が割安な評価にとどまっている要因としては、持続的成長に向けた事業戦略や成長戦略が投資家に十分に理解されていないこと、株式の流動性が低いこと(2022年度平均:40,308株/日)、時価総額が300億円強の水準で大手機関投資家の投資対象になりにくいことなどにあると同社では認識している。このため、まずは中期経営計画の着実な実行による収益性向上を図り、連結営業利益の最大化を通じて高水準のROEを維持していくとともに、株主還元の充実やIR・SR活動の拡充によって、PBR1.0倍超の早期実現を目指す考えだ。弊社でも概ね会社側の考えと同意見であり、特に個人投資家にとっては産業用エレクトロニクス・メカトロニクス系の専門商社の馴染みが薄いことも投資対象になりにくい一因と考えられる。実際、同業他社も多くはPBR1倍割れの評価となっている。このため、同社固有の成長戦略を打ち出すことも重要となる。例えば、今回の(株)エムテックとの協業によりロボット関連事業が大きく成長する見通しが立てば、株式市場での注目度も一段と高まり、企業価値向上につながるものと弊社では考えている。
(1) 中期経営計画「SNS2024」の着実な実行による収益性の向上
同社では、中期経営計画において以下の5点を重点方針として取り組むことで、収益性の向上を実現していく考えだ。
a) 顧客セグメント戦略と拠点営業戦略の融合による収益性の向上
前述のとおり、顧客セグメントを「積極的リソース投入分野」と「選択的リソース投入分野」に分類し、地域横断型の専門チームによって戦略的にリソースの投入施策を決定し、各営業拠点と連携しながら重点顧客の開拓並びに既存顧客への取引深耕を図る。
b) 「イノベーション本部」の設置による取り組み
2023年4月に新設した「イノベーション本部」において、顧客課題の解決を目指した独自の技術サポートとソリューション開発に投資し、成長事業のビジネスモデル確立と新規ビジネスの創出、外部リソースを活用した成長手段であるアライアンス等の実施を推進する。前述した(株)エムテックとの業務提携案件なども「イノベーション本部」で主導していくことになる。
c) 自動化・省人化ニーズを捉えるためのロボティクス営業の強化
労働人口の減少とともに普及拡大が見込まれる産業用ロボット(人協働ロボット、自動搬送ロボット等)の拡販に向け、営業体制の強化を図る。具体的には、各地区にロボット拡販専任者を配置し、商談の成約率向上と利益の拡大を図る。成長が見込める電気自動車やリチウムイオン電池関連のほか、自動化・省人化ニーズの強い食品関連、物流関連業界もターゲットに拡販を強化する方針だ。また、「イノベーション本部」主導でRobot Solutionチームと連携し、(株)エムテックとの共同開発品の販売にも取り組む。
d) 脱炭素化に向けた環境対応への投資機会の獲得
前述の通り、EMSに特化した拡販プロジェクトや、脱炭素化に貢献するソリューションの提案を推進する。
e) 米中デカップリング サプライチェーンからの脱中国対応
中国リスクが高まるなかで、生産拠点の移転・国内回帰の動きに対応したグローバルSCMソリューションの提案や、インド、東南アジア地域の体制強化を図るほか、中国ビジネスについても継続しつつ、情報収集活動を強化しながら様々なリスクに対応して臨機応変に対応できる体制を構築していく。
(2) 株主還元の充実
業績連動利益配分の指標として連結配当性向25~35%を目標とするほか、時期及び財政状況に応じて機動的に自己株式の取得を実施する(詳細は後述)。
(3) IR・SR活動の充実
企業価値が株価に適正に反映されるためには、業績を伸ばすだけでなく、投資家や株主に対する情報開示もより充実させていく必要があると考え、2023年4月にIR専任部署となる「広報・IR室」を新設した。IR活動としては取締役やIR担当役員による個人投資家向け会社説明会や機関投資家向け決算説明会の開催、メディア(ラジオ、専門誌)を通して定期的な情報発信を行っている。そのほか、IR・SR活動で株主や投資家から寄せられた意見等を取締役会議等で共有し、経営戦略のレビュー等にも活用している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
3. 企業価値向上のための施策
サンワテクノス<8137>は2023年10月30日付で、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針を発表した。現状、株価は2,000円台前半の水準であり、1,000円前後で推移していた2020年からは2倍強に上昇してはいるものの、PBRでは1.0倍を下回り、純資産価値を下回る評価となっている。同社では、良好な収益性に対して株価が依然割安な水準にとどまっていると考えており、改めて企業価値(=株価)向上のための施策を発表した。
株価が割安な評価にとどまっている要因としては、持続的成長に向けた事業戦略や成長戦略が投資家に十分に理解されていないこと、株式の流動性が低いこと(2022年度平均:40,308株/日)、時価総額が300億円強の水準で大手機関投資家の投資対象になりにくいことなどにあると同社では認識している。このため、まずは中期経営計画の着実な実行による収益性向上を図り、連結営業利益の最大化を通じて高水準のROEを維持していくとともに、株主還元の充実やIR・SR活動の拡充によって、PBR1.0倍超の早期実現を目指す考えだ。弊社でも概ね会社側の考えと同意見であり、特に個人投資家にとっては産業用エレクトロニクス・メカトロニクス系の専門商社の馴染みが薄いことも投資対象になりにくい一因と考えられる。実際、同業他社も多くはPBR1倍割れの評価となっている。このため、同社固有の成長戦略を打ち出すことも重要となる。例えば、今回の(株)エムテックとの協業によりロボット関連事業が大きく成長する見通しが立てば、株式市場での注目度も一段と高まり、企業価値向上につながるものと弊社では考えている。
(1) 中期経営計画「SNS2024」の着実な実行による収益性の向上
同社では、中期経営計画において以下の5点を重点方針として取り組むことで、収益性の向上を実現していく考えだ。
a) 顧客セグメント戦略と拠点営業戦略の融合による収益性の向上
前述のとおり、顧客セグメントを「積極的リソース投入分野」と「選択的リソース投入分野」に分類し、地域横断型の専門チームによって戦略的にリソースの投入施策を決定し、各営業拠点と連携しながら重点顧客の開拓並びに既存顧客への取引深耕を図る。
b) 「イノベーション本部」の設置による取り組み
2023年4月に新設した「イノベーション本部」において、顧客課題の解決を目指した独自の技術サポートとソリューション開発に投資し、成長事業のビジネスモデル確立と新規ビジネスの創出、外部リソースを活用した成長手段であるアライアンス等の実施を推進する。前述した(株)エムテックとの業務提携案件なども「イノベーション本部」で主導していくことになる。
c) 自動化・省人化ニーズを捉えるためのロボティクス営業の強化
労働人口の減少とともに普及拡大が見込まれる産業用ロボット(人協働ロボット、自動搬送ロボット等)の拡販に向け、営業体制の強化を図る。具体的には、各地区にロボット拡販専任者を配置し、商談の成約率向上と利益の拡大を図る。成長が見込める電気自動車やリチウムイオン電池関連のほか、自動化・省人化ニーズの強い食品関連、物流関連業界もターゲットに拡販を強化する方針だ。また、「イノベーション本部」主導でRobot Solutionチームと連携し、(株)エムテックとの共同開発品の販売にも取り組む。
d) 脱炭素化に向けた環境対応への投資機会の獲得
前述の通り、EMSに特化した拡販プロジェクトや、脱炭素化に貢献するソリューションの提案を推進する。
e) 米中デカップリング サプライチェーンからの脱中国対応
中国リスクが高まるなかで、生産拠点の移転・国内回帰の動きに対応したグローバルSCMソリューションの提案や、インド、東南アジア地域の体制強化を図るほか、中国ビジネスについても継続しつつ、情報収集活動を強化しながら様々なリスクに対応して臨機応変に対応できる体制を構築していく。
(2) 株主還元の充実
業績連動利益配分の指標として連結配当性向25~35%を目標とするほか、時期及び財政状況に応じて機動的に自己株式の取得を実施する(詳細は後述)。
(3) IR・SR活動の充実
企業価値が株価に適正に反映されるためには、業績を伸ばすだけでなく、投資家や株主に対する情報開示もより充実させていく必要があると考え、2023年4月にIR専任部署となる「広報・IR室」を新設した。IR活動としては取締役やIR担当役員による個人投資家向け会社説明会や機関投資家向け決算説明会の開催、メディア(ラジオ、専門誌)を通して定期的な情報発信を行っている。そのほか、IR・SR活動で株主や投資家から寄せられた意見等を取締役会議等で共有し、経営戦略のレビュー等にも活用している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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