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サンワテクノスのニュース
■今後の見通し
2020年3月期通期についてサンワテクノス<8137>は、売上高140,000百万円(前期比3.7%減)、営業利益1,600百万円(同53.1%減)、経常利益1,900百万円(同47.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同46.7%減)を予想している。
同社は第1四半期決算発表の2019年7月に通期見通しを大幅に下方修正したが、第2四半期決算に際してそれまでの実績を踏まえて通期予想を見直した。直近の2019年10月予想は2019年7月予想に比べて、売上高は横ばいだが、営業利益以下の各利益項目は2019年7月予想から上方修正となっている。
同社の通期予想については、その評価がなかなか難しいというのが正直なところだ。同社は期初予想を発表後、2019年7月末(第1四半期発表時)と2019年10月末(第2四半期発表時)にそれぞれ通期見通しを修正した。その結果としての下期の営業利益予想は、7月予想の900百万円から10月予想では691百万円へと下方修正された形となっている。この点について同社は、2019年7月時点に比べて2019年10月時点の予想の方が下期予想の精度が上がっているとしている。
この説明自体に一定の説得力はあるものの、売上高において下期の売上高が上期のそれを上回っている点との整合性をどう考えるかが戸惑うところだ。この点については、下期において上期にはなかった費用が織り込まれていることや、売上におけるプロダクトミクスの悪化による利益率の低下などいくつかの要因が考えられる。どれか1つというよりは複数の要因が重なる形で、売上高とは逆に下期の営業利益が上期比で減益となる予想へとつながっているとみられる。
一方で、2021年3月期以降については明るい兆候も見え始めている。既述のように、同社の事業の主軸はFA・産業機器業界向けだ。そしてその商流は、産業機械メーカー(セットメーカー)に対して同社が部材を納入するというものが中心となっている。そして、最終需要先と同社との間にセットメーカーが介在するため、同社の収益が設備投資の実需以上に上下に変動しやすい傾向にある点も、既述のとおりだ。
この点に関し足元で変化が出てきているようだ。既述のように、上期はセットメーカーが自社の在庫調整を進めたため、同社への部材の発注を減少させた結果、同社の業績は実需の動向以上に減収・減益幅が拡大した。その後セットメーカーの在庫調整が進んだ結果、かつての好況時の水準には及ばないものの、実需の動きを反映した形で同社へ注文が来る状況となっているもようだ。
こうしたセットメーカーの在庫調整の終了をどの程度業績予想に織り込んでいるかは明らかではない。“2019年10月予想は2019年7月予想に比べて精度が高い”という部分に、こうした点が織り込まれていると考えておくほうが妥当だと弊社では考えている。それゆえ、下期の業績が現在の会社予想値から上振れを織り込むのは過度の期待と言うべきと考える。
しかしながら2021年3月期に入ると、米中貿易摩擦の状況などにもよるが現状よりも設備投資関連の実需が一段強まり、それがセットメーカーの生産活動にも反映されてくると考えられる。その際には過去に見られたように、実需動向を上回る部材の発注が同社に対して成される可能性があると弊社ではみている。中国企業の追い上げもあり、日本のセットメーカーは需要に対しては即座に対応できる体制を整えたい意向と考えられる。そうであるならば、最短の納期で製品を納入できるよう部材について前倒しで発注するという行動が繰り返される可能性が高いと弊社では考えており、それは同社の業績にとっては大いなるプラスになるとみている。
2020年3月期下期は業績回復の“兆し”が本物で2021年3月期の回復へとつながるものかどうかを見極め、また、そうした回復期入りした局面において需要を着実に取り込んで自社の収益成長につなげるための体制固めをする時期だと弊社では考えている。“体制固め”とは具体的に何かと言えば、それは新中期経営計画で掲げた基本方針・重要施策の着実な実行にほかならない。既述のように第2四半期までのところは全般に順調な進捗となっているが、下期もこの流れが継続できるかという点が、業績数値以上に重要な評価軸だというのが弊社の考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
2020年3月期通期についてサンワテクノス<8137>は、売上高140,000百万円(前期比3.7%減)、営業利益1,600百万円(同53.1%減)、経常利益1,900百万円(同47.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同46.7%減)を予想している。
同社は第1四半期決算発表の2019年7月に通期見通しを大幅に下方修正したが、第2四半期決算に際してそれまでの実績を踏まえて通期予想を見直した。直近の2019年10月予想は2019年7月予想に比べて、売上高は横ばいだが、営業利益以下の各利益項目は2019年7月予想から上方修正となっている。
同社の通期予想については、その評価がなかなか難しいというのが正直なところだ。同社は期初予想を発表後、2019年7月末(第1四半期発表時)と2019年10月末(第2四半期発表時)にそれぞれ通期見通しを修正した。その結果としての下期の営業利益予想は、7月予想の900百万円から10月予想では691百万円へと下方修正された形となっている。この点について同社は、2019年7月時点に比べて2019年10月時点の予想の方が下期予想の精度が上がっているとしている。
この説明自体に一定の説得力はあるものの、売上高において下期の売上高が上期のそれを上回っている点との整合性をどう考えるかが戸惑うところだ。この点については、下期において上期にはなかった費用が織り込まれていることや、売上におけるプロダクトミクスの悪化による利益率の低下などいくつかの要因が考えられる。どれか1つというよりは複数の要因が重なる形で、売上高とは逆に下期の営業利益が上期比で減益となる予想へとつながっているとみられる。
一方で、2021年3月期以降については明るい兆候も見え始めている。既述のように、同社の事業の主軸はFA・産業機器業界向けだ。そしてその商流は、産業機械メーカー(セットメーカー)に対して同社が部材を納入するというものが中心となっている。そして、最終需要先と同社との間にセットメーカーが介在するため、同社の収益が設備投資の実需以上に上下に変動しやすい傾向にある点も、既述のとおりだ。
この点に関し足元で変化が出てきているようだ。既述のように、上期はセットメーカーが自社の在庫調整を進めたため、同社への部材の発注を減少させた結果、同社の業績は実需の動向以上に減収・減益幅が拡大した。その後セットメーカーの在庫調整が進んだ結果、かつての好況時の水準には及ばないものの、実需の動きを反映した形で同社へ注文が来る状況となっているもようだ。
こうしたセットメーカーの在庫調整の終了をどの程度業績予想に織り込んでいるかは明らかではない。“2019年10月予想は2019年7月予想に比べて精度が高い”という部分に、こうした点が織り込まれていると考えておくほうが妥当だと弊社では考えている。それゆえ、下期の業績が現在の会社予想値から上振れを織り込むのは過度の期待と言うべきと考える。
しかしながら2021年3月期に入ると、米中貿易摩擦の状況などにもよるが現状よりも設備投資関連の実需が一段強まり、それがセットメーカーの生産活動にも反映されてくると考えられる。その際には過去に見られたように、実需動向を上回る部材の発注が同社に対して成される可能性があると弊社ではみている。中国企業の追い上げもあり、日本のセットメーカーは需要に対しては即座に対応できる体制を整えたい意向と考えられる。そうであるならば、最短の納期で製品を納入できるよう部材について前倒しで発注するという行動が繰り返される可能性が高いと弊社では考えており、それは同社の業績にとっては大いなるプラスになるとみている。
2020年3月期下期は業績回復の“兆し”が本物で2021年3月期の回復へとつながるものかどうかを見極め、また、そうした回復期入りした局面において需要を着実に取り込んで自社の収益成長につなげるための体制固めをする時期だと弊社では考えている。“体制固め”とは具体的に何かと言えば、それは新中期経営計画で掲げた基本方針・重要施策の着実な実行にほかならない。既述のように第2四半期までのところは全般に順調な進捗となっているが、下期もこの流れが継続できるかという点が、業績数値以上に重要な評価軸だというのが弊社の考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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