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シナネンHD Research Memo(8):2021年3月期第2四半期の営業利益は大幅増益となった

配信元:フィスコ
投稿:2021/01/18 15:18
■業績動向

1. 2021年3月期第2四半期の業績
シナネンホールディングス<8132>の2021年3月期第2四半期の業績は、売上高79,789百万円(前年同期比13.8%減)、営業利益968百万円(同518.3%増)、経常利益927百万円(同148.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益395百万円(同46.8%減)となった。国内のエネルギー業界では、原油価格とプロパンCPがOPECプラスの協調減産で2020年4月を底に回復基調となったものの、石油・ガスの国内需要は少子高齢化の進展や省エネ機器の普及、食の外部化というライフスタイル変化などにより引き続き減少傾向となった。現在も世界経済に大きな影響を及ぼすコロナ禍については、飲食店などの休業や各種営業活動の自粛、工事遅延など同社にも一定の影響を及ぼした。しかし、家庭用のLPガス・灯油や外食向けの宅配用自転車、北米向けマスクなどステイホームを背景とした好調部門も多く、総じて言えばコロナ禍の影響は経済全般ほど大きくなかったと言うことができる。なお、連結業績全体を増減分析すると、減収は原油・プロパンCPの下落で販売価格が低下したこと、営業大幅増益は仕入施策と販売施策が奏功したことが要因である。また、営業外収支で貸倒引当金が発生したこと、前期発生した特別利益の保険事業譲渡益等がなくなったことから、親会社株主に帰属する四半期純利益の減益幅は大きくなった。


コロナ禍の影響はマイナスもプラスもあった
2. 2021年3月期第2四半期のセグメント業績
2021年3月期第2四半期のセグメント別業績は、BtoC事業が売上高23,713百万円(前年同期比15.1%減)、営業損失81百万円(前年同期は28百万円の損失)、BtoB事業が売上高47,237百万円(前年同期比18.8%減)、営業利益632百万円(同60.2%増)、非エネルギー及び海外事業が売上高8,680百万円(同14.1%増)、営業利益174百万円(前年同期は77百万円の損失)となった。

BtoC事業は、夏場の平均気温が平年と比較して高かったこと等により石油類、ガスともに販売数量が減少したことに加え、原油価格やプロパンCPが前年同期を下回る価格で推移したことで販売単価が下落し、売上高、営業利益ともに減少した。

BtoB事業は、4月の低気温の影響による灯油の販売数量増加と販売強化による軽油の販売数量増加に加え、電力事業で大口卸契約の締結もあったが、BtoC事業と同様に販売単価が下落したため売上高は減少した。その一方、原油市況の変動に対応した仕入施策を徹底したことで石油類の差益を確保、電力はスポット市場の低迷により差益が改善し、営業利益は大幅増益となった。

非エネルギー及び海外事業は、シェアサイクル事業のステーション数と自転車数の伸長に加え、抗菌事業において北米向けの抗菌剤の販売が好調に推移し、増収となった。利益面では、好調な抗菌事業に加え、環境・リサイクル事業が順調に取扱数量を増やしたことなどにより営業黒字となった。調整額は、東京都港区の旧本社ビルの賃貸を開始したことなどにより、増収増益となった。


コロナ禍の直接的影響は少ない予想
3. 2021年3月期の業績見通し
同社は2021年3月期の業績見通しを、売上高226,000百万円(前期比4.7%減)、営業利益2,200百万円(同10.4%減)、経常利益1,800百万円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,500百万円(同49.8%減)と見込んでいる。コロナ禍による第2四半期業績への影響は、家庭用エネルギーや自転車事業、抗菌事業などでプラス、業務用エネルギーなどでマイナス要因となったが、全体としては軽微であった。同社のBtoC事業、BtoB事業がともに生活に不可欠なエネルギー供給事業であるため、消費量が大きく変動することがなかったからである。このため、今後もコロナ禍による業績への影響は限定的と考えられる。また、同社は、2020年11月に固定資産の譲渡を決定しており、当第4四半期において当初の見通しに含んでいない特別利益約21億円を計上する見込みだが、同社は当初の業績予想を変更していない。

セグメント別の業績イメージは、BtoC事業は、検針など効率化するLPWA設置や顧客管理システムへの投資などコスト増加を、LPガス・灯油・電気のセット販売強化による顧客の拡大でカバーし、増益が想定される。
BtoB事業は、新型マイクロ風車事業など先行投資によるコスト増加を見込んでいるものの、石油・ガスの差益が大幅に改善しているため、増益が想定される。非エネルギー及び海外事業は、シェアサイクル事業の先行投資や建物維持管理事業で賃金上昇や休日増加などによる労働コストの上昇が見込まれるが、好調な抗菌事業が牽引し増益を目指す。以上から、同社におけるコロナ禍の影響は限定的で、事業全般としては順調に推移していることから、通期の減収幅は縮まると考える。また、同社は、新規事業における先行コストの増加などにより減益見込みとしているが、上期までの順調の推移を鑑みると、本来ならば業績を強く見てもよいところである。冬場の季節要因の影響も大きい下期偏重の構造のため保守的な予想になっていると思われるが、現在の状況を考慮すれば、通期業績が会社計画を上回って着地する可能性も小さくないと考える。


創業100周年へ向けて収益拡大へ
4. 中長期成長イメージ
コロナ禍の影響が長引きそうだが、それでも経済活動は、少しずつ変化しながらも徐々に元のような姿に戻っていくと考えられる。そのような環境のなかで同社は、企業風土の変革を進めながら、選択と集中による既存事業の効率化・利益率向上、高成長・高収益事業への投資など、中期的課題を着実にこなしていくことになるだろう。したがって、第二次中期経営計画は無理して数字を作りに行くタイミングではないと思われるが、その結果として、第三次中期経営計画から創業100周年へかけて、既存事業の利益率改善と多角化事業の収益拡大という果実が得られる可能性が高まると考える。であれば、第二次中期経営計画で「持続的に6%以上を生み出す事業構造の確立」を目標とする定量目標も、第三次中期経営計画においては、投資家が一定の目安とする8%を視野に入れることは可能と考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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配信元: フィスコ
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