アステナホールディングスのニュース
~医薬・ヘルスケア、ファインケミカルへ事業変革が本格化~
【ポイント】
・今期の会社計画は、営業利益で24%減を見込んでいる。1Qは健闘したが、先行きは需要が好調なプラス面とコストアップのマイナス要因があり、業績予想は現状のままである。
主力の医薬品原料とジェネリック医薬品で、新たな先行投資が必要になり、一旦業績が落ち込むが、来期からは取り戻してこよう。
・昨年6月に社名をアステナHDに変更、本社機能の一部を能登半島の珠洲すず市に移した。新中長期ビジョンAstena 2030“Diversify for Tomorrow.”で、当社のビジネスモデル(価値創造の仕組み)を大きく組み替えようとしている。CMC(スペラファーマ)のプラットフォームを軸に、新たなニッチトップを目指す。成長の第2ステージに入っているので、今後業績は大きく伸びてこよう。
・2020年に買収したスペラファーマをコアに、医薬品の開発・製造(CDMO)では、塗り薬に加えて注射剤分野へ展開できよう。武田薬品工業の事業部門であった企業の買収、鳥居薬品の工場の買収、健康食品のマルマンH&Bの買収など、投資額は全体で約110億円、のれんの償却を入れても営業利益の拡大余地は大きい。
・製薬メーカーが新薬を開発した後、新薬の原料・原薬の製造方法の開発や品質管理を担う機能がCMC(Chemistry Manufacturing and Control)である。CMCの需要は旺盛で、医薬品原料事業とのシナジーも有望である。鳥居薬品の佐倉工場買収では、自社の外皮用剤とのシナジーはすぐに見込め、注射剤の基盤も構築しつつある。
・1)抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体などAPI(有効成分)分野の強化、2)CMC研究開発受託事業の拡大、3)パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、4)シルバー世代に強みを持つ化粧品分野の広がりなどをリード役に、今後も事業投資が活発化しよう。
・商社から研究開発型製造機能へのシフトを進めており、製造比率は40%以上に上昇しよう。今期の落ち込みを踏まえて、2024年11月期までの3ヵ年計画で売上高600億円、営業利益38億円、ROE 8.9%を目指す。収益力は回復してこよう。当社のCX(企業変革)を評価して、まずはPBRで1.0倍を期待したい。
目次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み スペラファーマ買収を機に持株会社化を推進
3.中期経営計画 新10年ビジョンで収益力は向上
4.当面の業績 先行投資が必要に
5.企業評価 画期的なビジネスモデルの変革
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2022年5月6日) |
440円 |
時価総額 | 179億円 (40.77百万株) |
PBR | 0.64倍 |
ROE | 5.5% |
PER | 11.7倍 |
配当利回り | 4.1% |
総資本 | 63102百万円 |
純資産 | 27383百万円 |
自己資本比率 | 43.4% |
BPS | 685.3円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2015.11 | 55422 | 559 | 694 | -143 | -4.3 | 6.0 |
2016.11 | 55121 | 977 | 1071 | 8 | 0.3 | 6.0 |
2017.11 | 57387 | 1571 | 1778 | 1241 | 37.9 | 7.5 |
2018.11 | 60083 | 1849 | 2000 | 1414 | 43.8 | 10.5 |
2019.11 | 61647 | 2121 | 2318 | 1533 | 47.0 | 13.0 |
2020.11 | 65341 | 2035 | 1968 | 1983 | 60.3 | 16.0 |
2021.11 | 72322 〔47418〕 |
2233 | 2420 | 1736 | 46.9 | 18.0 |
2022.11(予) | 50000 | 1700 | 1600 | 1500 | 37.6 | 18.0 |
2023.11(予) | 55000 | 2200 | 2100 | 1450 | 36.3 | 18.0 |
(2022.2ベース)
(注)(予)はアナリスト予想。ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2021年7月に第三者割当新株予約権によるファンナンス、発行株式数672万株(19.9%の希薄化)を完了。2021年11月期の売上高のカッコ内は新収益認識基準の参考値。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/asutenaHD202205.pdf
(開示)日本ベル投資研究所は、事業変革に関する実態と手続きの詳細を分析するために、当社株式10000株を少数株主として中長期的に所有している。〔アナリストレポートの原則についてはこちら〕
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