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ユアサ商事のニュース
■会社概要
CAC Holdings<4725>は、日本国内のパイオニア的な独立系ソフトウェア専門会社、株式会社コンピュータアプリケーションズ(CAC)として1966年8月に発足した。その創業理念は「ハードウェア・メーカーから独立・中立の立場で、ユーザー指向の情報システムを構築する」というものであり、その考え方は「世界をフィールドに、先進のICTをもって新しい価値を創造する」という現在の企業理念へと受け継がれている。
半世紀を超える同社の歴史を振り返ると、自社のコアコンピタンス(核となる能力)を育み大切にしながらも、時代の変化を敏感に嗅ぎ取り新たな価値創造に挑戦し続けてきた姿が見て取れる。
1. 独立系SIerのパイオニアとして優良な顧客基盤を築いたIT事業拡大期
同社の前身であるCACは1966年の発足から時を経ずして、システム構築業務の企画・構築及びサポート等を請け負うシステム・インテグレータ(SIer)へと業容を拡大、1988年には通産省(現 経済産業省)による「システム・インテグレータ登録・認定制度」の発足と同時にその認定企業となっている。1971年には「顧客のビジネスを支援するには、情報システムの運用・管理を専門企業が引き受けるべき」との考えから、日本システムサービス(株)(SSK)に出資し、日本初のアウトソーシング・サービス専門会社として事業を開始し、1973年には、情報処理とファイリング・サービスを主業務とする(株)システムユティリティ(SUC)を設立するなど、グループとして事業領域の拡大を続けてきた。
1994年に上記3社(CAC・SSK・SUC)が合併しシーエーシーとして、システムの企画・構築から運用までを一貫提供できる体制を名実ともに整え、IT事業拡大期を迎えることになる。IT事業拡大期では、オーガニックな成長に加え、上場(1999年に店頭登録銘柄として株式公開、2000年には東京証券取引所第1部に上場)以降は、M&Aによる事業拡大を一段と積極化している。具体的には、2000年に(株)アークシステム、2002年に(株)湯浅ナレッジインダストリ(現 (株)シーエーシーナレッジ)、2003年には(株)オルビス(現 (株)CACオルビス)と(株)マルハシステムズ(現 (株)CACマルハニチロシステムズ)を子会社化した。これら各社は顧客である有力企業のIT子会社である。このことは、顧客から見た同社の位置付けを示す好事例とも言える。なおシーエーシーナレッジについては、ユアサ商事<8074>との関係強化(2020年10月に資本業務提携)が図られるなかで、2021年2月に連結子会社から持分法適用会社に移行、同4月からはユアサシステムソリューションズ(株)への商号変更が決定している。
同社はプライムコントラクタ(元請け)の立場で、様々な業種に向けて最適化したサービスを提供することにこだわってきた。元請け契約は成果物責任を負うため、委任型契約や二次受け契約に比べリスクは大きいものの、最終顧客のニーズを的確かつ直接汲み取ることが可能(結果、顧客ニーズを満たせば大きな利益を獲得できる)であり、ユーザー指向の同社創業理念に合致している。そしてプライムコントラクタとしての顧客との良好な関係が、M&Aを通じたアウトソーシング事業拡大やCRO(医薬BTO)領域への進出につながった。
2. M&A戦略を駆使した2006−2016年のCRO事業展開期
国内IT事業において大手製薬企業を有力顧客としてきたことから、同社のCRO事業の歴史は長い。1970年代から治験データの入力業務を開始し、まだ「CRO」という業務用語が存在しなかった1990年にCRO業務の1つであるデータマネジメントに参入していることから、同社グループでCRO事業を担う(株)CACクロアは「実質的に日本で最初のCROである」との自負を持っている。
同社はCRO事業の展開に際しても、M&A戦略を駆使して事業拡大を進めている。2006年以降のCRO関連のM&A実績を見ると、2006年の(株)アームシステックスを皮切りに、2007年には(株)メディカル・エコロジー、2009年には(株)クリニカルトラスト、2010年には(株)モスインスティテュートのCRO事業などを次々とグループ内に取り込み、医薬品開発支援のサービスラインナップを拡充してきた。そして適宜組織の集約・再編を行った後、2016年にCROにITを組み合わせた先駆的企業としてCACクロアを発足し、現在に至っている。
3. インド企業買収で幕を開けた海外IT事業の本格展開期、事業再構築を経てM&A戦略を継続
同社の海外展開は、1)顧客企業の海外展開に対応した1989年の米国進出、1990年の欧州進出、2)開発コスト削減を狙ったアジア圏進出(2000年に中国、2010年にインド)を経て、2014年からはM&A戦略を通じて海外での本格展開に挑む新たなステージを迎えている。具体的には、海外サポート力の拡充を図るため、2014年にインドIT企業で米国・英国・中東などにも拠点を有するAccel Frontline Limited(以下、AFL。2018年にInspirisys Solutions Limitedに商号変更)を15億円強投じて子会社化し、2015年にはシンガポールIT企業でアジア圏の医療機関向けに事業を展開しているSierra Solutions Pte.Ltd.(以下、Sierra)を子会社化した。
その後、当初見込んでいた成果が得られないとして、2017年にAFLが保有するサイバー・セキュリティシステムの構築を主力事業とするシンガポール企業(Accel Systems & Technologies Pte. Ltd.)とSierraの全株式を譲渡するなど、2018年にかけて海外事業の再構築を進めながら、2019年9月にインドネシアを主要拠点とするシンガポールのMitrais Pte.Ltd.(以下、Mitrais)の株式を100%取得し子会社化(実行日は10月18日)、M&A戦略を継続している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
<EY>
CAC Holdings<4725>は、日本国内のパイオニア的な独立系ソフトウェア専門会社、株式会社コンピュータアプリケーションズ(CAC)として1966年8月に発足した。その創業理念は「ハードウェア・メーカーから独立・中立の立場で、ユーザー指向の情報システムを構築する」というものであり、その考え方は「世界をフィールドに、先進のICTをもって新しい価値を創造する」という現在の企業理念へと受け継がれている。
半世紀を超える同社の歴史を振り返ると、自社のコアコンピタンス(核となる能力)を育み大切にしながらも、時代の変化を敏感に嗅ぎ取り新たな価値創造に挑戦し続けてきた姿が見て取れる。
1. 独立系SIerのパイオニアとして優良な顧客基盤を築いたIT事業拡大期
同社の前身であるCACは1966年の発足から時を経ずして、システム構築業務の企画・構築及びサポート等を請け負うシステム・インテグレータ(SIer)へと業容を拡大、1988年には通産省(現 経済産業省)による「システム・インテグレータ登録・認定制度」の発足と同時にその認定企業となっている。1971年には「顧客のビジネスを支援するには、情報システムの運用・管理を専門企業が引き受けるべき」との考えから、日本システムサービス(株)(SSK)に出資し、日本初のアウトソーシング・サービス専門会社として事業を開始し、1973年には、情報処理とファイリング・サービスを主業務とする(株)システムユティリティ(SUC)を設立するなど、グループとして事業領域の拡大を続けてきた。
1994年に上記3社(CAC・SSK・SUC)が合併しシーエーシーとして、システムの企画・構築から運用までを一貫提供できる体制を名実ともに整え、IT事業拡大期を迎えることになる。IT事業拡大期では、オーガニックな成長に加え、上場(1999年に店頭登録銘柄として株式公開、2000年には東京証券取引所第1部に上場)以降は、M&Aによる事業拡大を一段と積極化している。具体的には、2000年に(株)アークシステム、2002年に(株)湯浅ナレッジインダストリ(現 (株)シーエーシーナレッジ)、2003年には(株)オルビス(現 (株)CACオルビス)と(株)マルハシステムズ(現 (株)CACマルハニチロシステムズ)を子会社化した。これら各社は顧客である有力企業のIT子会社である。このことは、顧客から見た同社の位置付けを示す好事例とも言える。なおシーエーシーナレッジについては、ユアサ商事<8074>との関係強化(2020年10月に資本業務提携)が図られるなかで、2021年2月に連結子会社から持分法適用会社に移行、同4月からはユアサシステムソリューションズ(株)への商号変更が決定している。
同社はプライムコントラクタ(元請け)の立場で、様々な業種に向けて最適化したサービスを提供することにこだわってきた。元請け契約は成果物責任を負うため、委任型契約や二次受け契約に比べリスクは大きいものの、最終顧客のニーズを的確かつ直接汲み取ることが可能(結果、顧客ニーズを満たせば大きな利益を獲得できる)であり、ユーザー指向の同社創業理念に合致している。そしてプライムコントラクタとしての顧客との良好な関係が、M&Aを通じたアウトソーシング事業拡大やCRO(医薬BTO)領域への進出につながった。
2. M&A戦略を駆使した2006−2016年のCRO事業展開期
国内IT事業において大手製薬企業を有力顧客としてきたことから、同社のCRO事業の歴史は長い。1970年代から治験データの入力業務を開始し、まだ「CRO」という業務用語が存在しなかった1990年にCRO業務の1つであるデータマネジメントに参入していることから、同社グループでCRO事業を担う(株)CACクロアは「実質的に日本で最初のCROである」との自負を持っている。
同社はCRO事業の展開に際しても、M&A戦略を駆使して事業拡大を進めている。2006年以降のCRO関連のM&A実績を見ると、2006年の(株)アームシステックスを皮切りに、2007年には(株)メディカル・エコロジー、2009年には(株)クリニカルトラスト、2010年には(株)モスインスティテュートのCRO事業などを次々とグループ内に取り込み、医薬品開発支援のサービスラインナップを拡充してきた。そして適宜組織の集約・再編を行った後、2016年にCROにITを組み合わせた先駆的企業としてCACクロアを発足し、現在に至っている。
3. インド企業買収で幕を開けた海外IT事業の本格展開期、事業再構築を経てM&A戦略を継続
同社の海外展開は、1)顧客企業の海外展開に対応した1989年の米国進出、1990年の欧州進出、2)開発コスト削減を狙ったアジア圏進出(2000年に中国、2010年にインド)を経て、2014年からはM&A戦略を通じて海外での本格展開に挑む新たなステージを迎えている。具体的には、海外サポート力の拡充を図るため、2014年にインドIT企業で米国・英国・中東などにも拠点を有するAccel Frontline Limited(以下、AFL。2018年にInspirisys Solutions Limitedに商号変更)を15億円強投じて子会社化し、2015年にはシンガポールIT企業でアジア圏の医療機関向けに事業を展開しているSierra Solutions Pte.Ltd.(以下、Sierra)を子会社化した。
その後、当初見込んでいた成果が得られないとして、2017年にAFLが保有するサイバー・セキュリティシステムの構築を主力事業とするシンガポール企業(Accel Systems & Technologies Pte. Ltd.)とSierraの全株式を譲渡するなど、2018年にかけて海外事業の再構築を進めながら、2019年9月にインドネシアを主要拠点とするシンガポールのMitrais Pte.Ltd.(以下、Mitrais)の株式を100%取得し子会社化(実行日は10月18日)、M&A戦略を継続している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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