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東京ソワールのニュース
―月次動向で足もとの売れ行きを確認、カジュアルファッションも本格回復軌道へ―
アパレル関連企業の業績回復が目立ってきた。7月6日に発表されたオンワードホールディングス <8016> [東証P]の第1四半期(3~5月)連結決算は、営業利益が53億8000万円(前年同期比2.7倍)と大幅な増益で着地。あわせて24年2月期通期業績予想の営業利益を70億円から100億円(前期比91.8%増)へ引き上げ、配当予想も年14円から16円(前期12円)へ引き上げた。また、11日に発表されたタカキュー <8166> [東証S]の第1四半期(3~5月)単独決算は営業利益が1億3900万円(前年同期1億4500万円の赤字)と大幅に黒字転換した。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が落ち着きを見せ、外出機会の増加に伴って人流が回復したことがアパレル各社の業績にプラスに働いている。これからの季節はスイムウェアやレジャー向けカジュアルファッションの復調も期待でき、業界の本格回復に向けた動きも活発化しそうだ。
●オケージョン需要が復活
アパレル業界は、コロナ禍の打撃を大きく受けたセクターの一つだ。これまで感染拡大の波が繰り返されるたびに影響を受けてきたが、足もとで第9波が警戒されるなかにあってもその影響を懸念する声は少ない。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類となったこともあって、人流回復の動きは更に進むとみられ、これがアパレル各社への追い風となる。
また、アパレル好調の要因の一つにオケージョン需要の復活を挙げる人もいる。「オケージョン(occasion)」は「機会」「行事」「祭典」といった意味でファッション関係では冠婚葬祭のほか、入学式・卒業式などの行事、パーティー用などの服装を指す。3~4月にこうした行事が相次ぐことから、既に第1四半期決算にオケージョン需要復活の影響が出てきている。7月11日に発表されたハニーズホールディングス <2792> [東証P]の23年5月期連結決算では営業利益が76億7000万円(前の期比53.6%増)となったが、6月27日に上方修正した際には上振れ要因として3月から4月にかけてのオケージョン需要の好調を理由として挙げている。
●カジュアルファッションも本格回復へ
オケージョン需要は例年3~4月がピークとなり、その後落ち着いているが、これからの季節はレジャー向けなどカジュアルファッションの本格的な復調が期待されている。
もともと礼装やスーツなどのフォーマルなファッションに比べて、巣ごもり特需もあってコロナ禍からの回復が早かったカジュアルファッションだが、外出機会の増加に伴い需要は更に高まっている。
「グローバルワーク」「ニコアンド」などを展開するアダストリア <2685> [東証P]が6月30日に発表した第1四半期(3~5月)連結決算で、営業利益は62億7800万円(前年同期比37.2%増)となった。同社の既存店売上高は、3月にオケージョン需要の伸長などで前年同月比11.1%増となったのに続き4、5月と2ケタ増を継続。需要をとらえた商品展開や価格見直しも寄与しており、6月も同8.2%増と16カ月連続で前年実績を上回った。
●月次動向の強い企業に注目
アダストリアのように、アパレル関連企業は月次売上データを開示している銘柄も多い。カジュアルファッションを手掛ける企業は既に前年から回復基調にあるところも多く、月次売上高の伸び率が鈍化している企業もあるが、業界が平常運転に戻るなか、そのなかで足もとの強さを示す企業には要注目だろう。
ブランド衣料ショップ「ユナイテッド トウキョウ」などを展開するTOKYO BASE <3415> [東証P]が6月14日に発表した第1四半期(2~4月)連結決算は、中国本土での一部地域・商業施設からの退店に伴う減損損失や為替差益の減少などが響き最終損益は100万円の赤字(前年同期7900万円の黒字)と赤字に転落したが、本業のもうけを示す営業利益は9700万円(前年同期500万円の赤字)と黒字転換した。既存店売上高は堅調で、6月は前年同月比0.7%増と小幅ながら6カ月連続で前年実績を上回った。夏物商品の好調と並んで、プロパー販売(定価販売)の伸長を要因として挙げており注目される。
2011年に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合したTSIホールディングス <3608> [東証P]が7月12日に発表した第1四半期(3~5月)連結決算は、法人税等の増加などが響き純利益は19億8800万円(前年同期比3.6%減)と減益だったが、本業のもうけを示す営業利益は構造改革の成果もあり18億3600万円(同14.5%増)と2ケタ増で着地した。既存店売上高は6月まで6カ月連続で前年実績を上回って推移しており、6月は前年同月比6.3%増。「ステューシー」など路面展開店舗の多いストリート系ブランドが復調しているという。
「アンタイトル」「タケオキクチ」などを展開するワールド <3612> [東証P]の6月の既存店売上高は前年同月比8.4%増と16カ月連続で前年実績を上回った。人流の店頭回帰が顕著であり、6月は上旬に始まった顧客優待セールやプレセールが順調なスタートとなったことなどが寄与した。会社側では今上期の既存店売上高の前提を前年同期比8.1%増としているが、6月時点では9.0%増と想定を上回って推移しており、業績への貢献が期待される。なお、第1四半期(4~6月)決算の発表は8月3日を予定している。
「ユナイテッドアローズ」「グリーンレーベル リラクシング」などを展開するユナイテッドアローズ <7606> [東証P]の6月の既存店売上高は前年同月比13.0%増と7カ月連続で前年実績を上回った。季節商品の定価販売の好調に加えて、価格の見直しなどにより、客単価が継続的に伸びていることなどが寄与したという。同社は5月に発表した中期経営計画で出店強化などの方針を示しており、業績再拡大への期待も高い。なお、第1四半期(4~6月)決算の発表は8月7日を予定している。
また、月次動向は発表していないもののオケージョン需要増加の恩恵を受ける東京ソワール <8040> [東証S]にも注目したい。レディースフォーマルウェアの専業大手で5月に発表した第1四半期(1~3月)単独決算で営業利益は5億4700万円(前年同期比49.7%増)と大幅増益となった。行事や式典の正常化による来店客数の増加でブラックフォーマルの売上高が増加しているという。なお、上期決算の発表は8月9日を予定している。
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