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萩原工業のニュース
■萩原工業<7856>の事業概要
1. 事業概要
(1) 売上高構成
売上高は、フラットヤーンなど合成樹脂を用いた関連製品を製造・販売する合成樹脂加工製品事業と産業機械を製造・販売する機械製品(エンジニアリング)事業に分かれる。2018年10月期の連結売上高(26,457百万円)の事業別構成比は、合成樹脂加工製品事業が78.8%(うち、シート・建築資材関連:23.4%、産業資材関連:35.5%、生活資材関連:16.2%、その他合成樹脂:3.7%)、機械製品事業が21.2%であった。売上高営業利益率は、合成樹脂加工製品事業が9.2%、機械製品事業は13.7%といずれも高水準にある。
(2) 製品ラインアップ
同社の合成樹脂加工製品事業の市場は、「生活・レジャー」「農水産」「梱包・物流」「産業資材」「建築・土木」をカバーしている。売上依存度は、BtoCよりもBtoBの方が高い。
生活向け製品は、レジャーシート、人工芝、木目調マットなどがある。農水産向け製品は、UVシート、機能品、鶏舎用カーテンクロスなどがある。機能品は、遮光性・採光性、防水性・浸水性、防風性・通気性、遮熱性などいくつもの機能を用途に合わせてデザインする。梱包・物流市場向けは、粘着テープクロス、コンテナーバッグ、トラックシートなどになる。産業資材は、UVクリアシートやフラットヤーン、モノフィラメント原糸などである。建築・土木向けは、防炎シート、ソフトメッシュシート、大型土のう、デザインシートなどがある。同社は常に、従来の製品ラインアップに機能性を高めた新製品を投入している。
2. 経営戦略
(1) 収益性重視の経営
同社は、コモディティ化した製品市場での価格競争を避け、新規参入者がないニッチ市場でトップシェアを維持することで高収益を上げている。トップシェアを持つのは、人工芝用パイルヤーン、多機能化したブルーシート、土のう、カーペット基布などである。後述するモルタル・コンクリート用ポリプロピレン補強繊維では、世界的にもトップにある。競争の激しい大きな市場ではなく、残存者利得が得られる、同社が強みを発揮できるニッチ市場をターゲットとするブルーオーシャン戦略を取っている。
同社のビジネスのスタンスは、製品の機能を売るのではなく、本来の役割を提供することにある。例えば、運送会社にとって重要なのは、粘着テープのコストよりも作業員の確保であり、作業効率を高めて梱包作業時間を短縮することである。同社がトップシェアを持つ粘着テープクロスは、テープの手切れが良い上、タテにもヨコにも用途に合った大きさにカットでき、作業効率が上がる。工事現場で使用されるシートは、軽量な材料を使用することで作業効率を高め、工期の短縮化に貢献する。土のうには、紫外線劣化防止剤を添加することで耐候性を高め、白地に黒い横線を入れることで、誰でも均等量の土を充填できる工夫が施されている。顧客が本来的な役割として求めるものに適合させた製品は、汎用品に比べて2~3割高い値付けが可能となる。この製品機能の先にある顧客が求める本来の価値を志向することで、価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築している。
(2) 海外展開
創業後4年目で、フラットヤーン製造装置を輸出した。1976年にインドネシア国営肥料会社に製袋一貫大型プラントを輸出した。1995年に、現地子会社「P.T.HAGIHARA WIHARTA INDONESIA(現P.T.HAGIHARA WESTJAVA INDUSTRIES)」を設立しており、合成樹脂加工製品事業に従事している。中国には、2002年に青島に合成樹脂加工製品事業を行う「青島萩原工業有限公司」を設立した。さらに、2005年に上海に機械の設計・部品調達・組立を行う子会社「萩華機械技術(上海)有限公司」を設立した。現在は、いずれも同社の実質100%子会社になっている。機械製品事業では上海子会社に新たに営業部署を設置したり、フィリピンやタイでの取り組みが新規受注に結び付くなど、海外営業を強化している。
2018年10月期の海外売上高は6,790百万円、構成比25.7%であった。
合成樹脂加工製品事業は、競争力の強い製品をピンポイントで輸出する戦略を取っている。オーストラリアで使用される代表的製品は、鉄製の貯水タンクの内側に貼るインナーシートで、錆の発生を防止しタンクの劣化を遅らせる。競合の塩化ビニール製に比べて、同社製品はポリオレフィン系素材を使用しているため、軽くて強いという特長がある。さらに、北米市場では広大な耕地面積と収穫量のため、穀物カバー用ラミクロスを戦略製品と位置付けている。
コンクリート補強繊維「バルチップ」の海外販売は、EPCが広範囲な地域をカバーしていた。2018年2月に子会社化したことから、同社グループの海外の販売拠点が一挙に9ヶ所増えた。同子会社が本社を置くシンガポールに、オーストラリア、アイルランド、カナダ、米国、メキシコ、チリ、ペルー、ブラジルである。製販一貫体制を取ることで、顧客ニーズを開発にフィードバックするのが容易になる。また、同社の販売戦略が現場に浸透しやすくなった。2018年夏に、世界の拠点から参集したグループ社員が情報の共有化を図った。多数の販売拠点を確保したことから、今後はバルチップのみならず他の同社製品の販促を検討する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 事業概要
(1) 売上高構成
売上高は、フラットヤーンなど合成樹脂を用いた関連製品を製造・販売する合成樹脂加工製品事業と産業機械を製造・販売する機械製品(エンジニアリング)事業に分かれる。2018年10月期の連結売上高(26,457百万円)の事業別構成比は、合成樹脂加工製品事業が78.8%(うち、シート・建築資材関連:23.4%、産業資材関連:35.5%、生活資材関連:16.2%、その他合成樹脂:3.7%)、機械製品事業が21.2%であった。売上高営業利益率は、合成樹脂加工製品事業が9.2%、機械製品事業は13.7%といずれも高水準にある。
(2) 製品ラインアップ
同社の合成樹脂加工製品事業の市場は、「生活・レジャー」「農水産」「梱包・物流」「産業資材」「建築・土木」をカバーしている。売上依存度は、BtoCよりもBtoBの方が高い。
生活向け製品は、レジャーシート、人工芝、木目調マットなどがある。農水産向け製品は、UVシート、機能品、鶏舎用カーテンクロスなどがある。機能品は、遮光性・採光性、防水性・浸水性、防風性・通気性、遮熱性などいくつもの機能を用途に合わせてデザインする。梱包・物流市場向けは、粘着テープクロス、コンテナーバッグ、トラックシートなどになる。産業資材は、UVクリアシートやフラットヤーン、モノフィラメント原糸などである。建築・土木向けは、防炎シート、ソフトメッシュシート、大型土のう、デザインシートなどがある。同社は常に、従来の製品ラインアップに機能性を高めた新製品を投入している。
2. 経営戦略
(1) 収益性重視の経営
同社は、コモディティ化した製品市場での価格競争を避け、新規参入者がないニッチ市場でトップシェアを維持することで高収益を上げている。トップシェアを持つのは、人工芝用パイルヤーン、多機能化したブルーシート、土のう、カーペット基布などである。後述するモルタル・コンクリート用ポリプロピレン補強繊維では、世界的にもトップにある。競争の激しい大きな市場ではなく、残存者利得が得られる、同社が強みを発揮できるニッチ市場をターゲットとするブルーオーシャン戦略を取っている。
同社のビジネスのスタンスは、製品の機能を売るのではなく、本来の役割を提供することにある。例えば、運送会社にとって重要なのは、粘着テープのコストよりも作業員の確保であり、作業効率を高めて梱包作業時間を短縮することである。同社がトップシェアを持つ粘着テープクロスは、テープの手切れが良い上、タテにもヨコにも用途に合った大きさにカットでき、作業効率が上がる。工事現場で使用されるシートは、軽量な材料を使用することで作業効率を高め、工期の短縮化に貢献する。土のうには、紫外線劣化防止剤を添加することで耐候性を高め、白地に黒い横線を入れることで、誰でも均等量の土を充填できる工夫が施されている。顧客が本来的な役割として求めるものに適合させた製品は、汎用品に比べて2~3割高い値付けが可能となる。この製品機能の先にある顧客が求める本来の価値を志向することで、価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築している。
(2) 海外展開
創業後4年目で、フラットヤーン製造装置を輸出した。1976年にインドネシア国営肥料会社に製袋一貫大型プラントを輸出した。1995年に、現地子会社「P.T.HAGIHARA WIHARTA INDONESIA(現P.T.HAGIHARA WESTJAVA INDUSTRIES)」を設立しており、合成樹脂加工製品事業に従事している。中国には、2002年に青島に合成樹脂加工製品事業を行う「青島萩原工業有限公司」を設立した。さらに、2005年に上海に機械の設計・部品調達・組立を行う子会社「萩華機械技術(上海)有限公司」を設立した。現在は、いずれも同社の実質100%子会社になっている。機械製品事業では上海子会社に新たに営業部署を設置したり、フィリピンやタイでの取り組みが新規受注に結び付くなど、海外営業を強化している。
2018年10月期の海外売上高は6,790百万円、構成比25.7%であった。
合成樹脂加工製品事業は、競争力の強い製品をピンポイントで輸出する戦略を取っている。オーストラリアで使用される代表的製品は、鉄製の貯水タンクの内側に貼るインナーシートで、錆の発生を防止しタンクの劣化を遅らせる。競合の塩化ビニール製に比べて、同社製品はポリオレフィン系素材を使用しているため、軽くて強いという特長がある。さらに、北米市場では広大な耕地面積と収穫量のため、穀物カバー用ラミクロスを戦略製品と位置付けている。
コンクリート補強繊維「バルチップ」の海外販売は、EPCが広範囲な地域をカバーしていた。2018年2月に子会社化したことから、同社グループの海外の販売拠点が一挙に9ヶ所増えた。同子会社が本社を置くシンガポールに、オーストラリア、アイルランド、カナダ、米国、メキシコ、チリ、ペルー、ブラジルである。製販一貫体制を取ることで、顧客ニーズを開発にフィードバックするのが容易になる。また、同社の販売戦略が現場に浸透しやすくなった。2018年夏に、世界の拠点から参集したグループ社員が情報の共有化を図った。多数の販売拠点を確保したことから、今後はバルチップのみならず他の同社製品の販促を検討する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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