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―旺盛な半導体需要は継続、台湾・TSMCの熊本工場建設も追い風に―
半導体関連企業による設備投資の動きが続々と明らかになっている。昨年から顕在化した世界的な半導体不足がいまだ解消されないなかにあって、各社増産に向けた生産体制の整備を活発化させている状況だ。株式市場では半導体セクターは年初から調整局面にあったものの、目先ようやく売り一巡感がみえ、個別ごとに業績を再評価する流れも出始めてきた。足もと市場の関心はインバウンドやメタバース、エネルギーといったテーマに集中し、相対的に半導体株人気はやや陰に隠れる形となっているが、こういう時こそ改めて注目しておきたいところだろう。業績良好な関連中小型株を探った。
●ソニーGや東エレク、フェローテクなど各社増産対応加速へ
半導体関連株は今年に入り、ハイテク株売りの流れが強まるなか冴えない展開を余儀なくされた。個人投資家人気の高いレーザーテック <6920> [東証P]を筆頭にセクター全体が大幅な調整を強いられることとなったが、他方で半導体需要自体は依然として旺盛で収益環境に吹く追い風は継続している。関連各社による設備投資も引き続き活発な状態にある。
まず注目されるのが、ソニーグループ <6758> [東証P]と台湾半導体大手TSMC
直近では、フェローテックホールディングス <6890> [東証S]による子会社新工場の建設が明らかとなっている。また、半導体パッケージメーカーの新光電気工業 <6967> [東証P]は長野県千曲市に建設予定の新工場に関し、6月着工、24年度下半期からの順次稼働を発表している。このほか、東京エレクトロン <8035> [東証P]が製造子会社の事業所に開発棟を新設する計画にあるほか、三菱電機 <6503> [東証P]や京セラ <6971> [東証P]、ローム <6963> [東証P]、イビデン <4062> [東証P]なども半導体向け製品の増産対応を加速させる構えにある。
●トリケミカル好決算が半導体株人気回復の呼び水に
こうしたなか、直近5月31日に2-4月期決算を発表したトリケミカル研究所 <4369> [東証P]の好業績は、半導体株人気の回復を望む投資家心理を明るくさせるものとなった。同社は半導体向け化学材料メーカーで、絶縁膜材料では世界高シェアを誇る。決算短信では「依然として世界的に半導体不足の状況」とし、「国内外で半導体製造設備の活発な投資が行われている」としており、これを追い風に売上高は前年同期比20%増の31億1900万円、営業利益は同37%増の9億8600万円となった。翌6月1日の同社株は一時10%を超える上昇となり、昨年末からの下落トレンドを脱する兆しをみせている。
全体相場はなおも上下に値動きの激しい展開が続いているが、業績の良い銘柄は素直に買われる地合いとなっているようだ。同社と同じく好実態の関連銘柄は数多くあり、そのなか今回は中小型株にしぼって6銘柄をピックアップしてみた。
●好業績中小型6銘柄
日本マイクロニクス <6871> [東証P]は半導体やFPD(薄型パネルディスプレー)向け検査・計測装置を手掛ける。主力の半導体計測器具「プローブカード」の需要が堅調に推移しており、第1四半期(1-3月)決算は営業28%増益で着地。一方、この決算と同時に上期(1-6月)予想の下方修正を発表したが、これは売り上げの一部が翌四半期にずれ込む見込みとなったことが要因。第3四半期累計(1-9月)では増収増益基調を維持する見通しを示しており、通期業績への影響を懸念する必要はなさそうだ。直近、今後の半導体需要の拡大を見据えて韓国子会社の新工場を建設することを発表している。
ラサ工業 <4022> [東証P]は化学メーカー中堅。リン系製品をはじめとする半導体向け高純度品を柱とし、5GやIoT、人工知能(AI)分野の需要取り込みや海外事業強化などを進めて収益力向上を図っている。23年3月期業績予想は、売上高を前期比21%増の427億円、営業利益を同4%増の36億円とし、前期に続き過去最高業績を更新する見込み。株価は好業績を好感する形でここ急上昇しているが、指標面ではPBR1倍割れ、配当利回り3%台と依然として割安感は強い。
テラプローブ <6627> [東証S]は半導体テスト工程の受託会社。親会社で台湾の半導体後工程大手パワーテック・テクノロジー(力成科技)との連携を強みに、車載向けや5G基地局向けでの旺盛な需要を捉えている。前21年12月期は、コロナ禍の影響で減少していた受託需要の回復や、それに対応した新規設備投資、親会社からの事業譲受が大きく貢献し、営業9.7倍増益と業績高変化を遂げた。今期見通しは非開示ながら、1-3月期決算は営業2.5倍増益で着地しており高成長が継続している。
ザインエレクトロニクス <6769> [東証S]はファブレス半導体企業。足もと国内外ともに販売が回復してきており、主力のオフィス・アミューズメント機器向けや車載機器市場向けが絶好調。直近1-3月期は50%増収、営業黒字転換を果たした。引き続き研究開発にも積極的に取り組んでおり、車載向けや医療用、認証用のカメラに対応した製品開発を進めている。株価は700円台前半を下限とするもみ合いを経て、ここにきて底離れの気配を漂わせている。
アバールデータ <6918> [東証S]は電子制御装置製造会社で、半導体製造装置向けの受託製品が主力。東エレクやニコン <7731> [東証P]を主要顧客に持ち、これを強みに成長路線をまい進している。23年3月期は売上高が前期比13%増の111億円、営業利益が同14%増の22億円で、営業利益は3期連続での最高益更新となる見通し。年間配当予想も9円増の94円を見込んでおり、足もと配当利回りは3%前後の水準にある。株価は1月安値の2350円を起点に上昇トレンドを描いており、不安定な地合いが続くなか強さが際立っている。
ジーダット <3841> [東証S]は半導体や液晶パネルの設計に欠かせないCAD(コンピューター支援設計)ソフトを手掛ける。半導体製造分野での設備投資の高まりを背景に、23年3月期も成長路線を確保する見通しだ。株価は、やや荒い値動きながらも着実に下値を切り上げる展開。今年2月には前期配当の増額と1対2株の株式分割(3月31日基準日)を発表し、これを受けて急騰する場面があった。2月22日に1251円の高値をつけ、07年10月以来およそ14年4ヵ月ぶりの水準に浮上した。
株探ニュース
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