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シグマ光機のニュース
―INPEX参入報道で関心高まる、官民挙げての取り組みに視線集中―
核融合技術が脚光を浴びている。脱炭素と電力安定供給の両立に向け、再生可能エネルギーの普及拡大とともに原子力発電の活用を求める声も聞かれるなか、新たな発電技術への関心も高まりをみせている。直近、INPEX <1605> [東証P]がベンチャー企業への出資を通じて核融合発電に参入するという報道を受け、マーケットでは核融合関連に位置づけられる銘柄群が物色人気となった。核融合発電の実用化に向けては民間企業による取り組みのほか、国家プロジェクトとして進められているものもあり、その動向からは目が離せない。
●安全性に強み、実用化に向け開発競争活発化
核融合発電とは、軽い原子同士がくっつく(核融合反応)際に生じるエネルギーを利用した発電方法のこと。原子力を利用しているという点では広い意味で原発の一種と捉えられるが、従来の原発はウランなどの重い原子が2つ以上に割れる核分裂反応を用いており、この点で大きく異なる。燃料の供給をやめれば核融合反応は自然と止まることから比較的安全な発電方法とされており、加えて燃料には自然界に広く存在する重水素や三重水素(トリチウム)を使うため資源が尽きないといったメリットもある。
一方、原子炉内で核融合を発生させる環境を作り出す技術の確立など、実用化に向けたハードルが多いのも実情だ。ただ、技術的な問題をクリアできた場合のメリットが非常に大きいことから世界的に研究開発競争が活発化しており、国内でも政府の後押しを受けて今後更に動きが加速していくことになりそうだ。
●助川電気など「ITER」関連をマーク
核融合関連の取り組みのなかで、とりわけ高い関心を集めているのが日米欧や中国、インドなどが参加する国際プロジェクト「国際熱核融合実験炉(ITER)」だ。核融合技術の実証を行うことを目的としたもので、2025年の運転開始を目指して現在フランス南部で実験炉の建設が進んでいる。このプロジェクトには、日立グループや東芝傘下の東芝エネルギーシステムズ、住友電グループのアライドマテリアルのほか、三菱重工業 <7011> [東証P]、浜松ホトニクス <6965> [東証P]、古河電気工業 <5801> [東証P]などが協力している。また、NTT <9432> [東証P]は同プロジェクトの運営機構と包括連携協定を結んでいる。
原発関連の象徴株として投資家の熱い視線が向かう助川電気工業 <7711> [東証S]も、協力企業の1社に名を連ねている。同社は、ITERと並行して実施されている日欧共同の核融合研究プロジェクト「JT-60SA」にも参画しているほか、核融合と同じく次世代エネルギーとして注目される小型モジュール炉(SMR)向けの試験装置や関連機器の開発も手掛けており、材料性に富む。業績面では、核融合関連や半導体製造装置関連の製品が好調で、足もと業績は急拡大。今9月期通期では23%増収、営業61%増益を見込んでいる。
●関連銘柄にJテック・C、木村化、神島化など
ジェイテックコーポレーション <3446> [東証P]は研究施設向けの実験装置メーカー。レーザー核融合炉の商用化を目指す大阪大学発スタートアップのEX-Fusion(大阪府吹田市)との技術提携を今年1月に明らかにしている。これを受けて直近、核融合関連として物色を集めた経緯がある。
木村化工機 <6378> [東証S]は化学プラントを主力に、原発関連機器にも強みを持っている。原発関連の報道を巡って助川電気とともに思惑物色が向かいやすい銘柄として知られ、マーケットでの注目度は高い。同社は前述のJT-60SA向けに、核融合実験装置の関連製品を納入した実績がある。
神島化学工業 <4026> [東証S]は建材販売が柱だが、工業用のマグネシウム製品やセラミックス製品の開発に注力し業態転換を図っている。注目されるのが独自技術を用いたセラミックス製品で、大阪大学が進めている核融合研究や宇宙航空研究開発機構(JAXA)が取り組む宇宙太陽光発電システムでの採用事例がある。
東洋炭素 <5310> [東証P]は、高強度で耐熱性に優れた高機能黒鉛製品「等方性黒鉛」に強みを持つ黒鉛メーカー。さまざまな業界向けに黒鉛製品を提供しており、そのなか核融合炉向けで豊富な実績を持つ。また、核融合やSMRとともに次世代エネルギーとして期待されている高温ガス炉向けでも製品提供を行っている。
このほか関連銘柄としては、核融合ベンチャーの京都フュージョニアリング(東京都千代田区)に出資する日揮ホールディングス <1963> [東証P]をはじめ、アルバック <6728> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]など。また、東邦金属 <5781> [東証S]、シグマ光機 <7713> [東証S]、キョウデン <6881> [東証S]、YKT <2693> [東証S]に加え、核融合分野と技術的に近いセクターである原発関連株などに目を向けておきたい。
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