543円
アイナボホールディングスのニュース
■業績動向
1. 2020年9月期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス<7539>の2020年9月期の連結業績は、売上高65,338百万円(前期比6.1%減)、営業利益1,796百万円(同17.0%減)、経常利益2,056百万円(同14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,348百万円(同7.3%減)となった。セグメント別では、コロナ禍の影響等で戸建住宅事業は減収・減益となったが、大型物件事業は高採算物件の完工もあり減収・増益となった。売上総利益率は14.2%(前期は14.1%)と前期比で0.1ポイント増加し、販管費も前期比2.2%減に抑制したが売上減による売上総利益の減少を補えず、営業利益は減益となった。
営業利益の増減を分析すると、減益要因としては減収による減益が627百万円、一方で増益要因としては売上総利益率改善(前期比0.1ポイント増)による増加が90百万円、販管費の抑制による増加が169百万円であった。その結果、営業利益は前期比で367百万円減となった。
(2) セグメント別状況
セグメント別及びサブセグメント別状況は以下のようであった。
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は55,681百万円(前期比6.2%減)、セグメント利益は2,285百万円(同18.1%減)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が14,143百万円(同0.2%減)、住設工事が16,583百万円(同8.5%減)、建材販売が13,647百万円(同5.4%減)、住設販売が11,307百万円(同10.4%減)となった。
コロナ禍の影響による営業活動の自粛や工事の遅れなどがあったことから、すべてのサブセグメントで減収となった。特に対面での打合せを多く必要とする住設工事やこれに伴う住設販売が大きく減少した。また2019年9月には消費税増税前の駆け込み需要があったことも前期比での減収に影響している。利益面では、2018年9月期に導入した新システムが順調に稼働したことの影響もあり売上総利益率は改善した。特に外壁工事においては約3.0ポイント近く改善したもようだ。また経費面では、減収に伴う物流費の減少やコロナ禍の影響による出張旅費等の減少に加え一般経費の抑制に努めたが、減収による利益減を補えずにセグメント営業利益は前期比18.1%減となった。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は9,657百万円(前期比5.7%減)、セグメント利益は817百万円(同18.7%増)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が3,962百万円(同5.6%減)、住設販売・工事が5,694百万円(同5.8%減)となった。比較的採算の良い大型工事(オリンピック関連等)が完工したことなどから、減収にもかかわらずセグメント利益は増加した。特に官公庁向け空調設備工事などを手掛ける温調技研(株)が比較的健闘した。
(3) 事業会社別業績
各事業会社の業績は、すべての会社が減益となった。ただし注目すべきは温調技研の結果で、減収・減益ではあったが、営業利益率は大きく改善した。これは、比較的利益率の高い官公庁向けの空調工事関連が好調だったことによる。温調技研の事業が、住宅関連事業を中心としながらも分散されていた結果と言えるだろう。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」とした各課題の達成状況は以下のとおりとなった。サイディングは前期比で7.7%減少となったが、コロナ禍の影響もあり住宅着工の遅れが響いた。サイディングプレカットの件数は同8.2%増となった。サイディングプレカットでは採用率のアップを目標としている。ただし、両事業を合わせたサイディング事業の利益率は改善しており、この点は好材料だ。木質建材は同8.8%増となったが、工務店の開発が進んでいることの効果が出ている。注力しているサッシは同0.7%減となったが、サッシ支店を除くと同6.7%増となった。ただし、目標(同50%増)には届いていない。サッシ事業では、組立て及び図面の内製化を進めており、利益率は改善している。
(株)アベルコが取り扱う「マリスト(タイル)」は前期比17.7%減となったが、(株)アルティス(システムバス)は徐々に人気が高まっていることもあり金額はまだ小さいが同40.9%増となった。アルティスは、今まではアベルコの中で営業活動を行ってきたが、アルティスの主要顧客は富裕層であり、アベルコの主要顧客層とは異なるため2021年9月期からアルティス事業を子会社化した。ZEH/ゼロエネ/認定住宅の件数は前期比4.4%減となったが、下期に入ってからコロナ禍の影響もありややペースダウンした。また同社が最も重視している指標の1つである新規顧客開拓については、件数は前期比10.9%増となったが大型案件が取れなかったことから金額は同19.8%減となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
1. 2020年9月期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス<7539>の2020年9月期の連結業績は、売上高65,338百万円(前期比6.1%減)、営業利益1,796百万円(同17.0%減)、経常利益2,056百万円(同14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,348百万円(同7.3%減)となった。セグメント別では、コロナ禍の影響等で戸建住宅事業は減収・減益となったが、大型物件事業は高採算物件の完工もあり減収・増益となった。売上総利益率は14.2%(前期は14.1%)と前期比で0.1ポイント増加し、販管費も前期比2.2%減に抑制したが売上減による売上総利益の減少を補えず、営業利益は減益となった。
営業利益の増減を分析すると、減益要因としては減収による減益が627百万円、一方で増益要因としては売上総利益率改善(前期比0.1ポイント増)による増加が90百万円、販管費の抑制による増加が169百万円であった。その結果、営業利益は前期比で367百万円減となった。
(2) セグメント別状況
セグメント別及びサブセグメント別状況は以下のようであった。
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は55,681百万円(前期比6.2%減)、セグメント利益は2,285百万円(同18.1%減)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が14,143百万円(同0.2%減)、住設工事が16,583百万円(同8.5%減)、建材販売が13,647百万円(同5.4%減)、住設販売が11,307百万円(同10.4%減)となった。
コロナ禍の影響による営業活動の自粛や工事の遅れなどがあったことから、すべてのサブセグメントで減収となった。特に対面での打合せを多く必要とする住設工事やこれに伴う住設販売が大きく減少した。また2019年9月には消費税増税前の駆け込み需要があったことも前期比での減収に影響している。利益面では、2018年9月期に導入した新システムが順調に稼働したことの影響もあり売上総利益率は改善した。特に外壁工事においては約3.0ポイント近く改善したもようだ。また経費面では、減収に伴う物流費の減少やコロナ禍の影響による出張旅費等の減少に加え一般経費の抑制に努めたが、減収による利益減を補えずにセグメント営業利益は前期比18.1%減となった。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は9,657百万円(前期比5.7%減)、セグメント利益は817百万円(同18.7%増)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が3,962百万円(同5.6%減)、住設販売・工事が5,694百万円(同5.8%減)となった。比較的採算の良い大型工事(オリンピック関連等)が完工したことなどから、減収にもかかわらずセグメント利益は増加した。特に官公庁向け空調設備工事などを手掛ける温調技研(株)が比較的健闘した。
(3) 事業会社別業績
各事業会社の業績は、すべての会社が減益となった。ただし注目すべきは温調技研の結果で、減収・減益ではあったが、営業利益率は大きく改善した。これは、比較的利益率の高い官公庁向けの空調工事関連が好調だったことによる。温調技研の事業が、住宅関連事業を中心としながらも分散されていた結果と言えるだろう。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」とした各課題の達成状況は以下のとおりとなった。サイディングは前期比で7.7%減少となったが、コロナ禍の影響もあり住宅着工の遅れが響いた。サイディングプレカットの件数は同8.2%増となった。サイディングプレカットでは採用率のアップを目標としている。ただし、両事業を合わせたサイディング事業の利益率は改善しており、この点は好材料だ。木質建材は同8.8%増となったが、工務店の開発が進んでいることの効果が出ている。注力しているサッシは同0.7%減となったが、サッシ支店を除くと同6.7%増となった。ただし、目標(同50%増)には届いていない。サッシ事業では、組立て及び図面の内製化を進めており、利益率は改善している。
(株)アベルコが取り扱う「マリスト(タイル)」は前期比17.7%減となったが、(株)アルティス(システムバス)は徐々に人気が高まっていることもあり金額はまだ小さいが同40.9%増となった。アルティスは、今まではアベルコの中で営業活動を行ってきたが、アルティスの主要顧客は富裕層であり、アベルコの主要顧客層とは異なるため2021年9月期からアルティス事業を子会社化した。ZEH/ゼロエネ/認定住宅の件数は前期比4.4%減となったが、下期に入ってからコロナ禍の影響もありややペースダウンした。また同社が最も重視している指標の1つである新規顧客開拓については、件数は前期比10.9%増となったが大型案件が取れなかったことから金額は同19.8%減となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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