アシロのニュース
【QAあり】アシロ、上方修正後の通期計画を上回る着地 営業利益は修正予算比134.7%、FY30売上目標200億円を前倒しで達成狙う
社名の由来と経営理念
中山博登氏(以下、中山):株式会社アシロ代表取締役の中山です。当社の決算説明をご覧いただき誠にありがとうございます。本日は、決算説明および中長期ビジョンの共有として、用意した資料に沿ってご説明します。
私は来年3月で42歳、今年はまだ41歳なのですが、本日はパーカーを着て参加しています。このご時世ではあまり良くない格好ですが、これは当社のパーカーです。
荒井沙織氏(以下、荒井):大人の男性がパーカーを着て仕事に行くことに対して、世の中の目が厳しくなっていますね。
中山:がんばりますので、ぜひよろしくお願いします。
荒井:似合っています。
中山:ありがとうございます。
荒井:素敵です。では、ご説明をよろしくお願いします。
中山:はじめのスライドでは、我々の会社の根本的なあり方についてあらためて記載しています。
会社概要
中山:こちらが会社概要です。
事業内容(事業分類)
中山:展開している事業内容はスライドに記載のとおりです。説明は割愛します。
事業内容(収益構成比)
中山:スライドは2024年10月期決算の収益構成比です。着地としては、粛々と淡々と順調に進められたと思っています。
2024年10月期 決算概要
中山:2024年10月期は途中で当初予算を上方修正したのですが、それを上回る着地となりました。第4四半期が想定以上に伸び、非常に良いかたちで着地できています。売上収益は前期比で150パーセント成長と、悪くはない結果だったと思っています。
2025年10月期 予算
中山:スライドはすでに開始している進行期予算です。2025年10月期は中期経営計画の最終年度となります。当初目標では売上収益は55億円、営業利益は11億円としていましたが、十分に目指せる体制も整ったことから、売上収益は63億2,600万円、営業利益は12億6,500万円に上方修正しました。
アシロが大事にすべきこと
中山:2024年10月期の総括も非常に重要であると同時に、今期2025年10月期の中期経営計画最終年度が、蓋然性をもって達成できるのかということも大事な意味を持ちます。
またそれ以上に、2026年度以降、アシロがどのような成長目線を持っているのか、私から共有することが最重要だと思っています。
我々が大事にすべき経営理念は、スライドの冒頭に記載しているとおり「アシロに関わる人を誰よりも深く幸せにすることでよりよい社会の実現に貢献する」という思いです。
そして、アシロの中長期ビジョンにおいて重要なのはスライドに掲げた3つの要素です。中でも一番大事なのは、中央の「業績への強いコミット」です。
「このようなプロダクトで、このような世の中にしたい」というビジョンも重要だと思いますが、我々は、上場企業としての目線を持ち、業績へ強くコミットしていくことが大事なことだと思っています。
そのため、積極的なリスクテイクを大事にしていきたいと考えています。一方で、業績に強くコミットして、リスクテイクもしているから還元はできないという経営は、我々は成立しないと思っています。
成長と還元を両立させながら高い成長力を維持するところに、我々のこだわり、大事にすべきことがあります。したがって、スライドの3つの要素が非常に重要だと思っています。
中長期の売上成長イメージ
中山:中長期の売上成長イメージです。これまでも中期経営計画の延長線上で100億円までは説明してきましたが、我々の目線としては2027年の100億円達成から成長が鈍化するかと言うと、決してそのようなことはなく、2030年までに200億円を目指すことにすでにフォーカスし始めています。
この200億円に関しても、最終年度の2030年と言わず、いかに前倒しで達成できるか、イメージしながら取り組んでいきたいと思っています。また、営業利益率については、最終年度の200億円に対し従来どおり20パーセント前後をイメージしておきたいと思っています。
スライド右下の注釈のとおり、保険新商品の特性上、備金が営業利益にかなり影響してきます。そのため、保険事業は成長角度が高ければ高いほど、短期では営業利益を毀損する事業となっています。成長は順調でも、その過程で営業利益率がやや低く見えるタイミングが発生する可能性があるため、こちらは後ほど細かくご説明します。
したがって、中期経営計画の2023年、2024年のように投資で営業利益率を意図的に下げていくのではなく、2026年から2027年頃には、営業利益率を高く維持したくても、保険事業が伸びれば伸びるほど備金を積まなければならなくなり、営業利益率に影響する可能性があります。
ただ、最終的に成長しきれば営業利益率も改善し、全体として20パーセントを十分に狙えると思っています。後半の2029年、2030年あたりでは、営業利益率20パーセントは維持できるのではないかと考えています。
なにより大事なことは、アシロで働いているメンバーの目線は、すでに次の200億円にあるということです。まだ資料にすら記載できていないのですが、これはアシロの社内全体が持っている成長イメージです。
2026年からの5年間は非常に重要です。200億円達成後も成長率を下げないための仕込みの期間でもあると思っています。残りが「まだ5年もある」と思うのか、「もう5年しかない」と思うのかは人それぞれだと思いますが、私は5年しかないと危機感をかなり持っていますし、危機感を持って過ごせるかどうかが重要な期間になると思います。
「200億円までいけば成長鈍化しても仕方がない」という考えは、私自身は持っていません。その先の成長率を維持することを意識して経営しています。目の前の中期的な目標に関して、当社で働いているメンバーは、200億円を達成するという強い意志で動いています。
既存事業の成長余地
中山:現在展開している事業で、本当に200億円に届くのかというところですが、メディア事業に関しては、マーケットサイズに対するシェアをまだ取り切れていないと思っています。
既存事業に対しては、何か奇をてらったことや新しい施策でなくとも、粛々と為すべきことに取り組めば、残っているマーケットで、既存事業だけで200億円に十分届くと思っています。
各事業のおおよその成長角度で言えば、メディア事業に関してはそれなりにサイズも出てきていますが、最低でも年次25パーセント以上はしっかり成長させていきたいと思っています。
保険事業についてはまだ規模が小さいため割愛します。
HR事業も、マーケットサイズに対してまだ成長余地が大きくあると思っています。昨日、事業部のメンバーにも確認したのですが、HR事業に関しては最低でも150パーセント伸ばしていくというコミットメントの下、かなりの緊張感を持って取り組んでいます。
それらの掛け合わせで、全社として125パーセント以上の成長を維持するとともに、これらの事業で200億円は十分に狙えると思っています。
新規事業への挑戦を『継続』
中山:先ほど「仕込み」と言いましたが、新商品の開発、新規事業への挑戦をやめずに、M&Aに挑戦し続けることで、前倒しでの目標達成、アッパーサイドをしっかり取りにいきたいと思っています。
保険の新商品について
中山:保険の新商品についてです。中期経営計画の数値が本当に達成できるのか、みなさまも懸念をお持ちかもしれないため、ご説明します。
ところで、写真が気になった方もいるかもしれません。スライドの写真は山田なのですが、これは別に意気がっているわけではありません。ただ、私がパーカーを着ている以上に、42歳の山田とこの格好は不釣り合いではないかなと思います。
これにはまったく他意はなく、山田が無類の寅さん好きのため、かなり寅さんを意識しています。毎晩寅さんを観て寝るほどの寅さんファンなのです。したがって、寅さんを意識して周囲からポージングを求められている状況です。この写真だけで5分くらい話せそうです。
荒井:毎日ご覧になっているだけあって板についていますね。キャラクターの強い方が登場されています。
中山:保険事業は着実に準備を進めています。今回の決算発表でどのような期待値で話すべきか、今日もメンバーに確認してきましたが、第2四半期には商品としてローンチできるペースで進めています。
上期が締まった6月頃、あるいは遅くとも9月頃には、数字としてどれほどの成長角度で進んでいくのか、おおよその販売数値が確実に見えてくるのではないかと思います。ぜひご期待ください。
また、この商品はアシロの成長にとってギフトになる可能性を十分に秘めています。商品の準備は整っており、スライドの気になる写真以上に、商品にご期待いただきたいと思います。
荒井:勢いのある商品になりそうですね。
中山:仕込みが非常に順調なのです。「決算発表でそんなことを言って大丈夫か?」と確認もしましたが、「はっきり言ってきてくれ」と山田から言われました。
ちなみに、新商品名は「bonobo」です。名前の由来はチンパンジーの種類で、平和的な特徴を持っています。アシロは動物に例えるのが好きで、保険はチンパンジーで勝負します。
荒井:「アシロ」も深海魚ですよね。
中山:アシロは魚で、山田はチンパンジーで勝負します。
荒井:「地球にも優しく」というイメージでしょうか?
中山:そのとおりです。
(ご参考) 保険事業の特性
中山:スライドでご説明している保険契約準備金はかなり重要です。保険商品はどの程度売れていくのか最初はわからないのですが、商品の特性上、我々が想定している以上に事故が起こってしまった時にも確実にお支払いができるように、備金を積み立てておくことが法令で義務づけられています。
備金を積み立てただけでは、まだ支払っていないためコストにはならないと思われるかもしれませんが、保険商品の特性上、積み立てたものはすでに払ったものとして処理しなければなりません。
したがって、例えば年間で3億円分の保険収入があり、2億円を積み立てておく場合、売上は3億円になりますが、営業利益に対してマイナス2億円という状況になります。
社員は「bonobo」を売る気満々で、準備も着々と進めており、非常に良い結果も出せるかもしれないのですが、売れれば売れるほど短期的には備金を積み立てなければならないため、大きく損失を出しているように見えてしまう可能性があります。
保険商品が売れて、備金が積み立てられていくごとに、将来的には大きく利益貢献するのだと安心していただきたいと思います。先ほどお伝えしたように、営業利益率が20パーセントに戻ってくるまで少し業績が波打ちますが、これは山田たちが売ってくれれば売ってくれるほど営業利益に影響が及び、波ができるということです。
ネット掲示板に「営業利益率が下がっている」と書き込みがあるたびに、備金の説明をおそらくあと100回くらいはしなければいけないと思います。今回は第1弾の説明でした。
荒井:知っているのと知らないのとでは、かなり印象が変わってきますね。
中山:おそらく変わると思います。
株主還元方針
中山:株主還元方針です。配当性向30パーセントは引き続き維持していきます。30パーセントは下限であり、還元を通じて株主のみなさまと一緒に成長を感じていければと思っています。利益が出ている間は還元方針を変えず、それ以上の還元施策も考えていきます。
アシロのスタンス
中山:他社もさまざまな取り組みを考えていると思いますが、全社一致で、売上・利益・配当の成長にこれほどまでに執着する会社もなかなかないと思っていただけるように、執着して取り組んでいきたいと思っています。
2030年の200億円を最低目標とし、前倒しで達成したいと思っていますので、この執着心にご期待いただけたらうれしいと思っています。
以上が私からの共有事項です。残りの時間はいつもどおり、ご質問への回答をたくさんしていきたいと思います。リアルタイムでもご質問をたくさんいただければうれしいです。
質疑応答:新卒採用者の予定数と実績数の差について
荒井:「新卒採用について、2024年は採用実績が13人でした。2025年の採用予定は、予定が11人から15人のところ、実際の採用が2名というのはどのような理由からでしょうか?」というご質問です。
中山:理由は2つあります。1つは単純に我々の人気不足で、これがメインの理由です。もう1つの理由は、我々が求める人物像に妥協しなかったということです。
採用したいと思える人材が来てくれるように、PRなどで非常に良い会社に見せて採用することもできるかもしれませんが、我々はあまりそのようなことはせず、実態ベースで話し合って採用します。
同様にIRについてもお叱りをけっこう受けるのですが、採用の部分でもあまり派手なPRをしない分、我々が求める人材が思ったよりも来てくれなかった、採用し切れなかったというのが実際のところです。したがって、計画的に減らしたということではありません。
質疑応答:新卒採用縮小の理由と離職率について
荒井:「新卒採用が縮小しているのは離職率が高いことが理由でしょうか? 新卒採用1年後の離職率は、現状でどのくらいでしょうか?」というご質問です。
中山:当社は2020年度から新卒採用を開始しておりますが、これまで離職者は毎年1名か2名です。新卒の定着率は非常に良いのではないかと思っています。採用しては辞めていくということにはなっていない状況です。
荒井:理由があってのところではないということですね。
質疑応答:来期以降の投資拡大の予定について
荒井:「2025年10月期は利益創出期とのことですが、来期以降は投資拡大などで増収減益する予定はありますか?」というご質問です。
中山:2023年や2024年のような使い方で減益になることはないと思います。ただし、先ほどお伝えしたとおり、保険商品が売れれば売れるほど備金の関係で営業利益率が下がるということはあります。
一方で、2026年以降は少しバッファを持って営業利益率を開示したいと思っています。あまりに予算を固定して「利益を出し切ります」としてしまうと、「新商品の開発に使えばもっとチャンスがあったのに」という時に使い切れない可能性や告知が遅れてしまう可能性があるため、やや幅を持たせて開示する可能性はあると思います。
ただし、10パーセントも20パーセントも営業利益率を下げて投資していくような計画はありません。
質疑応答:過大投資の可能性について
荒井:「早期に売上高100億円を目指すとのことですが、目標達成に向けて過大投資することはあるのでしょうか?」というご質問です。
中山:このことについては、投資家のみなさまと目線を合わせていきたいと思っています。
我々は、「売上100億円達成を目指している会社」ではなく、「2030年までに売上200億円達成を目指している会社」という目線を持っています。100億円は通過点でしかないため、投資しなければ届かないということではありません。
荒井:200億円に目線を移した時に、大きく投資する対象はありますか?
中山:特段の投資をしなくても、既存事業を粛々と伸ばしていけば十分達成できると思います。
質疑応答:M&Aの方針について
荒井:「減損発表の際に、M&A規模の問題について言及されていましたが、プランは具体化していますか? 可能な範囲でM&Aの方針、もしくは考え方についてお話しいただきたいです」というご質問です。
中山:あまりリリースは出していませんが、アシロのコーポレートサイトに新たなコンテンツとして「M&A」という項目を増やしており、M&Aについてのスタンス等を記載しています。
以前の説明会でもお伝えしたとおり、小規模なものだと体制や仕組み作りが整っておらず、引き継いだ後に成長を加速させていくことが難しいケースが多いため、もう少し大きい規模のものを狙っていく方針です。
質疑応答:今期の粗利益と販管費について
荒井:「今期の粗利益と販管費の予想を教えてください」というご質問です。
中山:粗利益と販管費で80パーセントとなります。営業利益率は20パーセントですので、そのようになります。
質疑応答:中期経営計画最終年度の利益について
荒井:「2030年に売上高200億円を目指すとのことですが、営業利益率は引き続き20パーセントというお話でした。2027年に売上高100億円、2030年に売上高200億円の計画というのは、前回の中期経営計画同様、最終年度は利益創出期間でしょうか?」というご質問です。
中山:前段階で少し投資するようなことがあった時に、「本当に20パーセント出せるのか?」という懸念が株主や投資家のみなさまにあるとしたら、一度リリースをお出ししてご安心いただくようなことはあるかもしれません。
ただし、自然体で20パーセント前後を出せる体制になっていると思いますので、「利益創出期」という表現でなくても良いのではないかと思います。
質疑応答:今後の投資の考え方について
荒井:「新中期経営計画の数値達成のため、黒字を維持しつつ投資するのか、ある程度の赤字を覚悟した大きな投資を行うのか、そのあたりのお考えはいかがでしょうか?」というご質問です。
中山:利益は出します。保険事業が成長することで、赤字にはならないと思いますが、少し営業利益率は下がる可能性があります。しかしながら、基本的には、大規模に投資して赤字になるということは現段階で考えていません。
質疑応答:進出する保険商品の種類について
荒井:「引当金が営業利益率に影響を与える保険商品を考えているのでしょうか? 弁護士保険など、いわゆる少額保険以外の領域にも進出されるお考えでしょうか?」というご質問です。
中山:なかなか利益が出ないというのは、別に我々だけではありません。昔で言うと、例えばライフネット生命さまなども同様です。すべての保険商品は、基本的に備金を積まなければいけないため、このような構造になっています。
新しい商品ももちろん考えていますが、どのような商品を作ったとしても、必ず最初に備金を積まなければいけないという一定のルールがある商品です。我々も理解するまでに時間がかかったため、投資家の中で保険事業をあまり知らない方からすると、わかりづらいかもしれません。
要するに消費者保護です。保険が売れたのは良いが、損害が発生してお支払いする時にお金がないという事態は保険会社として許されないという考え方です。
質疑応答:保険の新商品の内容について
荒井:「保険の新商品の種類や内容について、もう少し詳しく教えてください。国内にはたくさんの保険会社があるので、レッドオーシャン化するのが心配です」というご質問です。
中山:こちらは金融庁や財務局とやり取りしている最中であり、商品が固まり切っていないため言い切れないのですが、言える範囲では、まったく既存商品にないということはありません。
しかしながら、プライシング、プロダクト、そして「bonobo」というプロモーションを通じて、マーケットの中でポジションをしっかり取れるように設計しています。我々としても競争優位性を鑑みてしっかり作り込んでいるため、ご期待いただきたいと思っています。
質疑応答:派生メディアの伸びしろとリーガルメディア伸長の理由について
荒井:「派生メディアについては広告費をかける必要があると思いますが、2026年以降の伸びしろについてはどのようにお考えでしょうか? また、新商品とのクロスセルの好調から、リーガルメディアの伸び率と契約枠数が絶好調かと思います。新商品のどのような点が評価されて契約が増加しているのでしょうか?」というご質問です。
中山:派生メディアとリーガルメディアを合わせたメディア事業として最低で25パーセント以上の成長を維持できると思っています。リーガルメディアが強く伸びたのか、派生メディアが強く伸びたのかというのはありますが、メディア事業全体で25パーセントの成長は維持できると思っています。
リーガルメディアが伸びた主たる要因は、マーケティングがうまくいったことです。非常にニッチなニーズを我々がしっかりキャッチアップして、プロモーションで取り切れたところが非常にうまくいっている理由です。
質疑応答:目標数値のスタンスについて
荒井:「2025年10月期は第1四半期も半ばに差しかかります。今回発表されたガイダンスは保守的な数値でしょうか? それとも挑戦的な数値でしょうか?」というご質問です。
中山:保守的とも挑戦的とも思っておらず、実績が重要だと思っています。アシロという会社は予算を一度も外したことがない会社であるということが最も重要なことだと思っています。
ただし、上方修正を行った実績は何回かあります。アシロの実績だけ見れば、上方修正する可能性は十分あると思います。
質疑応答:プライム市場への上場について
荒井:「気が早いかもしれませんが、売上が増え、利益が増え、時価総額が増えてくると、市場参加者はプライム市場を意識します。社長の今のお考えとして、条件が満たされたらすぐにプライム市場を目指しますか?」というご質問です。
中山:さまざまなメリット・デメリットがあると思っています。今の段階では、我々はプライムに上場していくような段階ではないと私個人は思っています。最低でも現在掲げているような数字感が安定して出せないようでは、プライムに上場してよい会社ではないと思っています。
ただし、「中山がどう思おうが、そのほうがメリットがあるんだ」ということであれば、そのような検討もしなければならないとも思っています。
質疑応答:リスティング広告の影響について
荒井:「最近、転職領域のリスティング広告は新規参入が増えている印象です。業績インパクトや対策についてお聞かせください」というご質問です。
中山:周りの会社も参入されていらっしゃると思いますが、当社のメンバーは新たに参入されてきた方以上に優秀なため、特段の変化はありません。
質疑応答:リーガルメディア事業の新商品について
荒井:「今後検討されているリーガルメディア事業の新商品は、リーガルメディア事業で他のニッチ領域を満たす商品でしょうか?」というご質問です。
中山:当社のリーガルメディア事業部内の部署であるカスタマーサクセスのメンバーは、法律事務所の体制についてさまざまなアドバイスや支援を行っています。また、マーケティングチームも一体となり、「このような事件をこのようなかたちで取っていけば、もっと相談者は多いのではないか」「もう少しこのような相談を取り込めないか?」ということも含めて、ご相談しながらご提案しています。
これまでにないようなニッチなかたちで、他の事務所がそこまで特化させていないものを集中させて取るような体制作りをご提案して、ご支援しています。他にもまだニッチなもので集中特化していく可能性はあると思っています。
質疑応答:特化したい事業と売上実績の割合について
荒井:「2030年までに一番特化したいのはどの事業ですか? また、事業ごとの売上実績の割合はどのようなかたちを目指していますか?」というご質問です。
中山:会社としては、事業ごとの売上の比率について蓋然性が見えていないため、まだ何とも言えないところです。私個人としては、メディア事業の売上比率はアシロ全社では少し下げたいと思っています。
投資家の中では「アシロはメディアの会社」と見られているかもしれません。もちろんメディア事業も成長させていきますが、メディア事業以外にも新しい事業を創出していける会社だと感じていただきたいと思っています。
そのため、メディア事業を超える事業を作りたいと考えています。HR事業もそのポテンシャルを十分に持っている領域ですし、保険事業も十分に抜いていく可能性を持っています。
一方、メディア事業も意地があるため、抜かれないように踏ん張るということも行っていくと思います。三者三様に、同等規模レベルに伸びていってくれると一番おもしろく、ありがたいと思っています。
質疑応答:人員計画について
荒井:「計画の達成にあたってどの程度の人員増をお考えでしょうか? 営業人員が中心になるでしょうか? その際、リーガルメディア事業を大きく伸ばす計画に見えるため、リーガルメディア事業の営業人員増と保険事業がメインなのでしょうか?」というご質問です。
中山:リーガルメディアというよりメディア事業全体です。それは当然粛々と伸ばしていく必要があると思います。保険事業も伸ばしていきます。
ただ、人員が一番増えるのは、実はHR事業です。ここだけは人が介在していないことには売上が上がらないからです。売上の規模が上がれば上がるほど人が増えるという点では、人員数はHR事業に紐付きやすいと思っています。
質疑応答:資本提携について
荒井:「ライフネット生命はKDDIと資本提携しましたが、拡販にあたっては、まずは自社で進めるかたちでしょうか? 以前、りそな銀行と業務提携のIRがありましたが、金融機関との提携はお考えにありますか?」というご質問です。
中山:結論から言うとないです。なくても売れるからです。これは商品特性の話で、リリースも別途していくのですが、その商品特性に合った提携先や販売チャネルを用意すべきであって、今回我々が用意している商品は、金融機関と組むことで拡販が見込まれるものではないです。
金融機関と大手通信会社のKDDIの提携に関しては、KDDIが意外と多事業を持っており、プラットフォームとしてかなりのトラフィックを有するため、そこからのユーザーの流入やライフネット生命への加入という期待値があったのだと思います。
我々としてはそのような会社と組むこと以上に、違うチャネルのほうが売っていけるのではないかと思っています。金融機関との提携は今のところ考えていません。
質疑応答:ゴーディアン・キャピタルとの対話について
荒井:「大株主のゴーディアン・キャピタルとはどのような対話をされているでしょうか? 直近で継続的に売却されているようですが、長期的に保有してもらえるのかなどの感触や、投資家としての印象について、お話しできる範囲で教えてください」というご質問です。
中山:他の機関投資家と同じように面談したり、今の状況などについて個別にお話ししたりしています。合同決算説明会では、機関投資家によっては「もう少し深く、ここを質問したい」「ここはどうなっているんだ」というご質問をお受けしますが、そのようなやり取りをしている機関投資家の1つという状況です。
荒井:個別の面談では、どのようなことに一番質問が集中したり、話題に上がったりするものなのでしょうか?
中山:フェア・ディスクロージャー・ルールがあるため、当然個人投資家のみなさまと同じタイミングでいろいろな情報を公開しています。中期経営計画で「投資を始めるので利益を出しません」と言った時に、個人投資家のみなさまから「何をやってるんだ馬鹿野郎」と怒られたのと同じように、機関投資家のみなさまも怒っていらっしゃいました。
荒井:リアクションは同じだったということですね。
中山:ものすごく怒っていらっしゃいました。
質疑応答:営業増益の進捗について
荒井:「今期は大幅な営業増益を計画されていますが、第1四半期や上期など、年度前半から順調な進捗を期待できそうでしょうか? 成長投資のかけ方によって変動する部分もあると思いますが、想定を窺いたいです」というご質問です。
中山:派生メディア事業とHR事業は比較的第2四半期に売上が伸びやすい傾向があります。そのため、第2四半期までに、通期の達成確度が見えてくるのではないかと思います。
上期の決算発表は、先ほどお伝えした保険事業の新商品に加え、事業進捗が見えてくるという点で非常に期待してお待ちいただければと思います。
質疑応答:販管費と粗利率の計画ついて
荒井:「2025年度の販管費は前年比でどの程度増加する計画でしょうか? 粗利率の計画についても教えてください」というご質問です。
中山:2025年度は販管費が上がったり粗利率が下がったりということではなく、最終的に営業利益率が20パーセントで着地するという計画です。
質疑応答:事業間シナジーについて
荒井:「HR事業と他の事業との事業間シナジーがあればぜひ教えてください。他にも今後、事業間シナジーを感じる点があればぜひ教えてください」というご質問です。
中山:投資家のみなさまもご存じないと思いますが、実はHR事業は、弁護士業界ではかなり認知度が上がっています。メディアの営業に行った人間が、既存の「ベンナビ」のお客さまから求人のニーズを聞いてくるようなことがかなり起こっており、リーガルメディア事業とHR事業は非常にシナジーを持っています。
さらに、今後作っていく保険事業に関しても、リーガルメディア事業とシナジーが出てくるのではないかと期待しています。
質疑応答:法律事務所に対するコンサルティングについて
荒井:「先ほどの質問の回答で気になったのですが、法律事務所に対してコンサルティングもされているということでしょうか?」というご質問です。
中山:お金をもらってコンサルティングをするということはしていませんが、カスタマーサクセスの熱量によって、単純に「調子はどうですか」だけではなく、「もう少しこういう受付の対応ができないか」「営業時間をこのようにできないか」あるいは「このような相談料金にできないか」というような提案をしています。
加えて、「他にも相談を受けられないか」というようなことも含めて、コンサルとまでは言わないのですが、従来になかったことをご提案するということは、以前から行っていることです。
質疑応答:今後の成長の蓋然性について
荒井:「2025年度は利益創出期間で、2024年度下期から2025年度中は投資を抑制しているという理解です。およそ1年半の間投資を抑制する中で、2025年度も30パーセントの成長は実現可能なのでしょうか? 御社はコンサバな見通しを立てる印象があるため、ある程度の蓋然性の上に立てた予算だと思いますが、教えてください」というご質問です。
中山:第4四半期単体の売上をご覧いただいたら、そこが積み上がっただけでも、それがずっと変わらなくても、おおよそどれくらいになるというのはご理解いただけると思います。
SaaS系の会社などと同じように、我々にはストックがあって、ストックが積み上がってきています。ここからもう一度スタートしていくので、第4四半期の数字から第1四半期、第2四半期を経て下がることは基本的にないです。
そのように継続して積み上がっていくため、第4四半期の数字を掛け算していただくだけでも、少しご安心いただけるのではないかと思います。
質疑応答:次期中期経営計画の詳細資料を発表する時期について
荒井:「次期中期経営計画の詳細資料の発表はいつ頃を予定されているでしょうか?」というご質問です。
中山:保険事業で蓋然性を持った、「販売計画はこれくらい達成できそうだな」という見通しが立たないと、中期経営計画の蓋然性が高まってこないため、準備ができ次第、中期経営計画を共有します。
もう少し具体的な、「どのように、どういう内訳で、どのような進行スケジュールで200億円を達成していくんだ」というところも、2030年なのか2028年くらいになるのかも含めて、保険事業の販売実績が出てこないことには、中期経営計画が共有しづらい状況です。
質疑応答:今後の注力領域について
荒井:「中山社長は前回『自分は保険事業にコミットする』とおっしゃっていましたが、保険事業には新しい管轄者(山田氏)が就任されたと思います。中山社長が今後注力される領域はどこになりますか? 全体の管轄以外で『特にここ』という領域があれば教えてください」というご質問です。
中山:新規事業およびM&Aになってくるかと思います。既存事業に関しては各事業責任者たちが責任を持って成長させてくれているため、先ほどお伝えしたように、2030年の200億円達成以降の成長率維持に向けた仕込みの期間は5年間しかありません。
200億円から30パーセント、25パーセントとさらに成長を維持するのは大変になってくるため、かなり仕込みを行わなければいけないと思っています。
緊張感や焦り、一方で執着心を持って準備をしていきますが、そこに新規事業が追加であれば成長角度は伸ばしていきやすいと思いますので、新規事業のところをしっかり見ていきたいと思っています。
荒井:「新規事業というのは、同様にリーガル領域でのご検討になりそうでしょうか?」というご質問もいただいています。
中山:いろいろなところで見ていますが、また何かおもしろいものをご用意できればと思っています。なお、「AIをやればいい」ということはわかっているのですが、あえて行っていないという部分があります。
リーガル領域では、未上場の企業も含めて、リーガルテックで注目を集めているサービスがいくつかあると思います。我々がなぜ参入してこなかったかというと、事業会社で法律や法務のDX、AIによるスムーズな改善というようなニーズを持っている会社は、やはり大企業なのです。
ニーズが大企業だけに限定されて、かつ、法務部門は意外とそこまで予算が取られておらず十分なマーケットサイズにならないという仮説の中で、AIであれ何であれ、リーガルテックを中小企業に下ろせないことには、絶対にサイズが取れないと思っています。
リーガル領域で次に攻める準備をするとすれば、中小企業にも使ってもらえるものは用意していきたいと思っていますし、もちろんいろいろと仕込みも行っています。
質疑応答:四季報の来期予想と会社計画との差異について
荒井:「四季報に来期予想が掲載されていますが、会社計画との差異があるようでしたら説明をお願いします」というご質問です。
中山:最近更新されたようで、ほぼ差異はなくなっていると聞いています。
荒井:メッセージのようなご質問もいただいています。例えば「チャレンジングなところはリスクもありますが、ベンチャー企業なら当然攻めるべきです。うまくいった時にはその分、株主還元をお願いしたいです」とのことです。
中山:はい。
質疑応答:経営理念について
荒井:「アシロの今後の展望と『アシロに関わる人を誰よりも深く幸せにする』という経営理念の中に、株主が含まれているのかをお聞かせください」というご質問です。
中山:もちろん、当社に関わってくださる大事な株主のみなさまには、幸せになっていただきたいと切に願っています。
質疑応答:株主総会の開催予定日について
荒井:「株主総会はできる限り現地訪問したいので、開催予定日を早めに教えてください」というご質問です。
中山:1月28日に都内で開催予定です。私の決算発表も質疑応答をたくさん行いますが、株主総会ももちろん私が出席して、質疑応答を豊富に行います。現地で直接私に質問してみたいことがあれば、ぜひご参加いただければうれしいなと思います。
質疑応答:これまでの振り返りとみなさまへのメッセージ
荒井:「社長の熱意、コミット力を信じ、株主を継続しています。上場からここまでを振り返り、社長ご自身に点数をつけるとしたら何点でしょうか? また、今後の5年間は社長ご自身は何点の動きを見せる予定でしょうか? 理由もお聞かせください」というご質問です。お時間が近づいてきましたので、みなさまへのメッセージとともにお答えいただければと思います。
中山:中三の娘の期末テストの赤点がだいたい30点です。30点以下だと再テストや補習になります。そのような観点では、私自身は赤点ではなく、40点くらいは取れていると思います。もっとできたこともあると思いますし、M&Aの減損など失敗も多くしていますので、平均点までは届いていないかもしれないのですが、赤点でもなかったかと思います。
株主のみなさまにもっと期待していただけるような事業や成長をしていかなければと、本当に気が引き締まる思いで毎日過ごしています。全従業員がコミットしていますので、点数をさらに上げられるようにがんばっていきたいと思っています。
中山氏からのご挨拶
今回、第3四半期と第4四半期でリーガルメディア事業が非常に伸びた中で、もちろん全社員がコミットしてがんばった結果なのですが、その中でも非常に貢献度が高かったマツイ、ヤマザキという2人のメンバーが、実は明日結婚します。私はこの後、主賓の挨拶をするために移動します。
今回の業績が出たことへの貢献度が非常に高い2人なのですが、彼女と彼は「Yahoo!ファイナンス」の掲示板が大好きです。もしよろしければ、掲示板にマツイ、ヤマザキへお祝いのメッセージをいただけたら2人は非常に喜ぶのではないかと思います。また、今後より一層がんばるのではないかと思います。
荒井:今日はただでさえ掲示板がすごく盛り上がっていて、「信じて良かった」というようなお声がありましたが、この後さらに、「ご結婚おめでとう」というコメントがあふれるのではないでしょうか。
あらためて、マツイさん、ヤマザキさん、ご結婚おめでとうございます。
中山:おめでとうございます。普通は祝辞をいろいろ考えなければいけないのですが、決算発表が忙しすぎてまったく考えておらず、この後考える予定ですが、もう精根使い果たしていると思いますので、ぶっつけ本番でいきたいと思います。
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