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来週の相場で注目すべき3つのポイント:米CPI、メジャーSQ、景気ウォッチャーなど

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/05 18:13
■株式相場見通し

予想レンジ:上限29500-下限28500円

来週の日経平均は一進一退か。週初は、今週末に発表された5月の米雇用統計を受けた長期金利の低下や、それを受けた米株高の動きを反映することとなろう。その後は、翌週に控える米連邦公開市場委員会(FOMC)や、週後半の米5月消費者物価指数(CPI)、週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)などを前に、神経質な展開となりそうだ。


今週末、米国での市場予想を上回る景気・雇用関連の指標を背景に、米長期金利が上昇するなかグロース株が軟調となったが、こうした動きは、来週も続く可能性がある。むろん、週初は、上述したように、市場予想を下回った5月米雇用統計の結果を受けた米株式市場の動きを背景に、グロース株を中心に反発の動きが先行するだろう。しかし、中身を見てみると、非農業部門雇用者数は前月比55万9000人増と、市場予想の67万5000人増を下回ったが、4月の27万8000人からは倍増したほか、失業率は前月の6.1%から5.8%へと低下し、市場予想の5.9%よりも改善している。また、平均時給は前年比2.0%増と市場予想の1.6%及び前回4月の0.3%を大きく上回った。強弱混在する内容であり、結局、翌週のFOMCまでは思惑がくすぶり続けるだろう。


また、前回4月の米CPIを受けて株式市場が急落した「CPIショック」を踏まえれば、10日に発表される5月の米CPIを前には改めて警戒感が高まりそうで、その前にグロース株が大きく持ち直すことは想定しにくい。


週末にはメジャーSQも控えている。3カ月に1回のこのイベント前後では、相場の様相が一変することがあり、翌週に注目のFOMCを控えていることも考慮すると、今回は大きな節目となる可能性がある。週後半に、米CPIやメジャーSQなど経済指標やイベントの集中を控えているだけに、週半ばまでは一進一退の動きが続きそうだ。


そのほか、週前半には、7日に景気動向指数、8日に景気ウォッチャー調査などが発表される。景気先行指数や景気ウォッチャーの先行き見通しなど、先行きに改善の兆しが確認されるかに注目するとともに、出遅れ内需、アフターコロナ関連の後押し材料となるかに注目したい。


個別では、トヨタ<7203>ホンダ<7267>など、自動車を中心とした景気循環株の強さが続くかに注目したい。今週、トヨタは8日連続で上場来高値を更新するなど際立った強さを見せた。心理的な節目となる1万円には僅かに届かなかったが、強い動きは継続しており、裾野産業も広いだけに、景気循環株のサポート役に期待したい。千差万別だが、デンソー<6902>や、武蔵精密工業<7220>など、自動車部品メーカーでも上場来高値を更新し続ける銘柄がみられており、この先も広く自動車セクターに注目だ。


また、北米でのドライブシーズンの到来など、夏に向けた需要の増加を背景に、原油先物価格が上昇傾向にある。今週同様に、鉱業に強い動きが見られるかにも注目したい。


そのほか、先進各国と比べて遅れていた国内でのワクチン接種のスピードが加速していることなどを背景に、5月第4週から今週にかけては、空運、旅行サービス、レジャー、百貨店、陸運など、アフターコロナ関連銘柄の強さが目立っていた。ワクチン接種が加速しているとはいえ、政府が掲げる1日100万回接種にはまだ及んでいないことなどを踏まえれば、息の長いテーマにはなりにくいと思われるが、物色テーマが少ないこともあり、引き続き注目したい。とりわけ、今週後半の強さが目立ったものの、いまだコロナショック以降の出遅れ解消余地が残る、陸運JR各社や、空運の航空大手、百貨店などに注目だ。


■為替市場見通し


来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は大規模な金融緩和策を長期間維持する方針を変えていないようだ。ただ、米国経済の正常化によってインフレ進行の可能性は残されている。5月の非農業部門雇用者数は市場予想を下回ったものの、失業率と不完全雇用率は低下し、平均時給は市場予想を上回った。米国の雇用情勢は改善しつつあることから、資産買入れ規模の段階的縮小(テーパリング)に対する市場の期待は根強い。欧州中央銀行(ECB)は現行の金融緩和策を長期間維持する可能性が高いことから、ユーロ買い・米ドル売りがただちに拡大する可能性は低いとみられており、ドル・円の取引にも影響を与えそうだ。


ただ、1ドル=110円台では顧客筋などのドル売りが増えるとの見方が多く、短期筋による利益確定のドル売りも増えると予想されていることから、ドル・円相場の一段の上昇は想定しにくい。「米国のインフレ率がある程度上昇することは織り込み済み」との声が聞かれており、新たなドル買い材料が提供されない場合、ドル・円は主に110円を挟んだ水準で推移し、やや上げ渋る状態が続く可能性がある。


■来週の注目スケジュール

6月7日(月):景気先行CI指数(4月)、米・アップルが世界開発者会議(WWDC)開催(11日まで)、など
6月8日(火):実質賃金総額(4月)、景気ウォッチャー調査(5月)、米・JOLT求人件数(4月)、など
6月9日(水):工作機械受注(5月)、中・生産者物価指数(5月)、加・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、など
6月10日(木):ワンダープラネットが東証マザーズに新規上場、テンダが東証ジャスダックに新規上場、米・消費者物価コア指数(5月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、など
6月11日(金):メジャーSQ、4-6月期法人企業景気予測調査、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(6月)、など
6月12日(土):米・ゲーム見本市「E3」一般公開(15日まで)


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配信元: フィスコ
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