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ユーピーアールのニュース
―利用者にはお得感、自動車メーカーにとっては潜在顧客の掘り起こし効果も期待―
ガソリン高が続くなか、カーシェアリングサービス(以下カーシェア)の利用が増えている。マイカーを利用すればガソリン代がかかるのはもちろん、レンタカーを使用した際にもガソリンを満タンにしてからクルマを返却する必要があるが、カーシェアではガソリン代は利用料金に含まれているため、利用料金とは別にガソリン代を払う必要はない。マイカーを保有する人のなかにもカーシェアを利用する人が増えており、市場は拡大傾向にある。改めて関連銘柄に注目したい。
●10年前に比べ車両台数6.4倍
今では世の中に広く浸透しているカーシェアだが、利用したことのない人も多いのではないだろうか。カーシェアとは、サービスを提供する企業の会員になることで、スーパーやショッピングセンターの駐車場、コインパーキングなどに用意されたクルマを使うことができるサービス。多くはインターネットなどを利用して予約し、10分や15分単位で利用できる点や、使った時間と距離に応じて利用料が自動的に積算され、クレジットカードで引き落とされる利便性の良さが特徴だ。
交通エコロジー・モビリティ財団の調査によると、2023年3月時点でわが国のカーシェアの会員数は313万801人(前年比18.8%増)、車両数は5万6178台(同8.6%増)で、デポジット(保管場所/ステーション)数は2万2786カ所(同11.9%増)に及ぶ。会員数は10年前の13年と比較して10.8倍、車両数は6.4倍と順調に拡大している。ただ、乗用車全体(23年7月末6218万台)から見ると0.1%にも満たず、伸びしろは大きい。
●カーシェアでは給油でクーポン付与も
カーシェアの料金は一般的に、会費である月額の基本料金と、利用時間に応じた料金を支払う仕組みとなっており、ガソリン代は利用料金に含まれている。例えば一般的なレンタカーであれば、利用者は使用する都度、ガソリンを満タンにして車を返却する必要があり、ガソリン代がかかるが、カーシェアではその必要がない。仮に車両によって給油が必要な際もガソリン代は車内に備え付けられた給油カードを利用して支払うようになっており、利用者には給油にかかった時間に見合った割引やクーポンなどが付与されるようになっている。
資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は20年5月以降上昇を続け、今年9月4日時点では1リットル=186.5円と過去最高値をつけた。その後上昇は一服し10月16日時点まで6週続けて値下がりしているが、それでも1リットル=174.7円と高水準が続いている。
カーシェア各社はこれまで、拠点の増加や車両の拡充などの投資を行い、値上げも行ってきたが、今夏以降のガソリン価格上昇に対しては値上げを行っていない。そのため、ガソリン高のなかではお得感の高いサービスとして足もとで利用者の増加につながっている。また、カーシェア各社のみならず、自動車メーカーにとっても、試乗などで利用してもらい、実際にクルマに触れる機会を増やすことが潜在顧客の掘り起こしにつながるとして、取り組みを強める動きもあるようだ。
●カーシェア運営会社に注目
関連銘柄の筆頭は、カーシェア最大手の「タイムズカー」を運営するパーク24 <4666> [東証P]だ。23年10月期第3四半期累計(22年11月~23年7月)決算で、モビリティ事業(カーシェア+レンタカー)の売上高は714億円(前年同期比27.5%増)、事業利益は130億円(同2.8倍)に拡大した。利用促進に向けたキャンペーンを実施したことなどにより、会員数及び利用が順調に増加しており、車両1台当たり利用料が好調に推移。タイムズカー(カーシェア)専用車両は22年10月の3万6954台から今年9月には4万1957台に拡大し、会員数も204万人から238万7000人に増加している。
オリックス <8591> [東証P]は、子会社のオリックス自動車が「オリックスカーシェア」を運営しており、6月末時点で1690ステーション(前年同期比3.6%増)・2633台(同4.0%増)を展開する業界3位の車両台数を有している。レジャー施設やアクティビティの割引がある会員限定の優待特典を利用できるのが特徴で、ステーション数・台数の拡充に取り組んでいる。
三井不動産 <8801> [東証P]は、子会社の三井不動産リアルティが「カレコ・カーシェアリングクラブ」を運営しており、6月末時点で全国に3753ステーション(前年同期比16.3%増)・6742台(同14.2%増)を展開する業界2位の車両台数を有している。コインパーキング「三井のリパーク」を中心にサービスを展開しているのが特徴で、ステーション・台数ともに順調に増やしている。
●カーシェア向けシステム会社も
また、カーシェア向けのシステムを手掛ける企業も市場拡大による恩恵を受けやすく注目したい。
ユビテック <6662> [東証S]は、環境省と連携したCO2排出削減事業における実証実験にも参画した「カーシェアリングプラットフォーム」を展開しており、オリックスカーシェアにも提供している。同社では中期経営計画の一環として、作業者の安全見守りサービス「Work Mate」、安全運転支援サービス「D-Drive」と並んで「カーシェア関連事業」に経営リソースを集約するとしており、23年6月期決算では、カーシェア車載機の受注が増加しているという。
ユーピーアール <7065> [東証S]は、物流・製造現場向け箱型荷台(パレット)のレンタル・販売が主力だが、コネクティッド事業の一環としてカーシェアシステムを提供。車載機とWebシステムをセットで提供しており、トヨタレンタリース愛知などに提供している。足もとでは半導体不足による顧客の車両納入遅延が解消されてきたこともあり、概ね順調に推移しているようだ。
BIPROGY <8056> [東証P]は、カーシェアサービス運営業務を手掛けており、新規にカーシェア事業に参入する会社を事業計画から基盤の構築、事業の立ち上げ運用までをサポートするBPOサービスを展開している。また、電気自動車(EV)のカーシェア向けシステムとして「smart oasis for Carsharing」を日産自動車 <7201> [東証P]などに提供している。
スマートバリュー <9417> [東証S]は、独自にシェアリングプラットフォーム「Kuruma Base」を開発・運営している。同サービスは、カーシェアに必要な車載デバイス、管理コンソール、スマートフォンアプリのホワイトラベル提供、更にはコールセンターや定期メンテナンスの受託などを行っており、23年6月末の契約数は224台。同社では26年6月期には1080台に拡大させる方針だ。また、自社でもカーシェアサービス「Patto」を運営しているほか、社用車シェア向けプラットフォームや公用車のシェアリングにも取り組んでいる。
株探ニュース
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