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ピアラのニュース
■今後の展開
c) グローバル事業
日本企業の海外向けのマーケティング支援事業として、中国や東南アジアにおいて様々な取り組みを推進している。2020年6月にはJETROの「中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業費補助金」事業として、同社がタイで展開する「Channel J Project」が採択され、タイでオンラインと実店舗を統合したOMO※1プラットフォームの構築により、日本企業のH&B製品や食材の情報発信や販売支援をワンストップソリューションで提供していく取り組みをさらに拡大していく予定となっている。従来から日本料理動画配信サービス「Channel J」を運営し、日本食材の情報発信を行ってきたが、これに加えて自社ECサイト「Channel J」(食材)や「Cosme Land」(H&B製品)を立ち上げており、現地ECモール「LINE Shop」への出店・販売や、さらには複合型実店舗「Wagyu Lab J produced by Channel J」※2をオープンしている。販売ターゲットはタイ人の富裕層やタイ在住の外国人(日本人を除く)となる。オンラインとオフラインを連動させることで、より高い集客効果や認知度の向上を図っていくことが可能となる。同プロジェクトを通じてタイでのD2C支援事業を確立すれば、それをベトナムなどにも横展開していく予定だ。
※1 OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインの融合を意味するマーケティング概念。ネットとリアルの垣根にとらわれず、あらゆるユーザー体験をデータ化することでユーザーエクスペリエンスの向上を目指す施策。
※2 レストラン、カフェバー、物販などを集積した店舗。
現在、タイへの食材輸出については、レストランやホテル向け卸販売事業者に対して、加工食品や調味料、和牛などの輸出を行っているが、コロナ禍が収束し航空便の発着本数が回復すれば、商材をさらに拡充していく予定としている。また、コロナ禍においてタイでは自炊する人が増えているようで、日本食を扱う高級スーパーへの販売やFacebookを通じたEC販売にも注力していく考えだ。
一方で中国市場でも、2020年11月以降新たな取り組みを開始している。一つ目は、日本の人気アニメ等のIPを活用した事業である。2020年11月に上海高島屋にIPフロアを開設し、人気アニメをテーマとしたカフェやキャラクターグッズの販売イベントを開催した。82日間の開催期間で約29百万円の売上(購入者1.1万人強)を計上しており、高島屋の集客効果もあったことから、今後も各所で開催していく予定としている。売上規模は小さいものの、同事業の粗利益率は30~40%と高く、利益増と利益率の向上に寄与するものと期待される。
また、2つ目の取り組みとして、ライブコマースを使ったマーケティング支援サービスも開始している。2020年12月より中国の大手ECサイト「淘宝網(タオバオ)」で影響力のある在日中国人インフルエンサーの王予氏※1とディストリビューター契約を締結し、日本からのライブ配信により商品の販売を開始している。商材は、H&Bやサプリメント以外にも貴金属や洋服、雑貨など、現在はテスト的に幅広く販売を行っている。中国ではライブコマースの市場規模は2019年の6兆9千億円から、2020年に16兆6千億円、2021年に31兆8千億円と急拡大すると予測※2されており、中国向けの有力販路の1つになるものと注目されている。日本製品の中国での人気は高く、ライブコマースの活用ニーズは今後一段と拡大するものと予想される。このため同社では、今後もインフルエンサーの数を増やしながら、中国向け越境EC事業の成長を目指していく。
※1 王氏は、タオバオで3店舗を展開するインフルエンサー。2019年の売上高は5.76億円、ライブ配信1回の売上は最大で2千万円を記録、フォロワー数も12.5万人以上と多く、大きな影響力を持つ。
※2 出所:KPMG(2020年10月)
なお、グローバル事業の売上総利益については、前期比9割増を見込んでいる。また、2021年12月期の売上総利益に占めるシェアも前期の10%超からさらに上昇する見通しで、営業利益率の上昇要因の一つとなる。
d) D2C企業向け金融支援サービス「PIALA PAY」
2020年8月にSBI FinTech Solutions(株)(以下、SFS)との業務提携により、H&B、食品領域のスタートアップ及び中小通販事業者向けに、同社初となるマーケティング金融支援サービス「PIALA PAY」の提供を開始した。今回のサービス開始の目的は、H&B、食品領域において素晴らしい商品を持ちながらもマーケティング活動に資金を投下できないがために、成長の機会が失われている企業に対して、新たな仕組みの金融支援サービスを行うことで収益獲得機会を提供し、双方が収益成長の果実を得ていくことが狙いとなっている。通販事業にとっては、販売初期段階でどれだけマーケティング資金を投下できるかで、その後の収益獲得額が大きく変わってくると言われている。
サービスの概要は、同社独自のサービス「RESULT MASTER」を使用して、通販事業者の売上実績からリピート売上(将来売上)を予測し、将来の売上債権をSFSが買い取ることで、当該事業者に資金を融資する流れとなる。通常、銀行ではリピート率が未知数で将来の売上予測が困難なため、初期投資にあたるマーケティング費用に対する融資の実行が困難であったが、同社であれば長年蓄積してきたデータをもとに、通販事業者の将来売上予測を行うことはある程度可能となる。この予測データとSFS独自の審査モデルを組み合わせることで、未回収リスクを軽減する。
年商で1~20億円規模のD2C事業者を対象に、貸付金額については1回当たり数千万円~1億円程度を目安としている。通販事業者はSFSからの貸付金で同社のマーケティング支援サービスを利用し、売上拡大を目指すことになる。このため、同社にとっては顧客の新規獲得のためのフック役となるサービスとして位置付けられる。第1弾として、2019年12月に資本業務提携した(株)SARABiO温泉微生物研究所(旧(株)サラヴィオ化粧品)に対して、数千万円の融資をSFSで実行しており、その後SARABiO温泉微生物研究所の売上も安定して推移している。顧客獲得手段としては、セミナー開催のほか、投資ファンド運営会社からの紹介を見込んでいる。スタートアップ企業等に投資しているファンド運営会社にとっては、投資先企業が早期に収益化してくれることが望ましいため、「PIALA PAY」のようなサービスは受け入れやすく、比較的容易に顧客を獲得できる環境にあると言える。当面は与信スコアを作りながら着実に進めていくことになるが、潜在的なニーズは大きく、国内でのKPI保証サービスの持続的成長につながる取り組みとして注目される。
また、ピアラ<7044>は資金面での支援をより強化し、適切なタイミングでマーケティング費用を調達することで、投資先の事業の成長及びバリューアップへつなげることを目的として投資ファンドを設立することとし、2020年11月にファンド組成・運営のための子会社、(株)ピアラベンチャーズを設立した。H&B、食品等の業界において、今後成長が見込める企業等を海外を含めて投資対象とし、同社がマーケティング支援するD2C企業だけでなく、それらを支援するヘルステック、ビューティーテック、フードテック企業なども対象とする。また、投資対象のステージは、アーリー、ミドル、レイターで、主にM&Aを利益確定の出口として想定し、IPOを目指せる投資先についてはIPOまで保有を継続することもある。ファンドの募集額は10~15億円で、投資額は1社当たり10~200百万円のレンジを想定している。さらに、投資先は投資資金を活用し、同社のマーケティング支援を受けることで成長を見込めるほか、同社の既存事業に還流する仕組みとなっている。投資とマーケティング支援の2軸で収益を得ることが可能となる。今後も同社が蓄積したノウハウによって抽出した有望企業に対して投資を行っていく。
e) ナレシェアの取り組み状況
KPI保証サービスの引き合いが増加するなか、リソース不足という課題を解消し、成長加速につなげていくための取り組みとして、「ナレシェア」のサービスを2020年2月より開始している。広告代理店や同業者など協業が可能な優良なパートナーを組織化し、互いのナレッジを共有することで、クライアント企業に対して費用対効果が高く、かつ健全なマーケティング支援サービスの提供を実現していく取り組みとなる。
具体的には、同社が保有する「悩み特化型DMP」をパートナーに開放し、パートナーのノウハウやデータを共有し、AIで学習させることでマーケティング精度の向上を図っていく。この取り組みにより、中期的に誰でも70%程度の再現性のあるマーケティング施策の実行が可能になることを目指している。メインパートナーとなるイングリウッドとは2020年5月に資本業務提携契約を締結※している。イングリウッドはOMOの構築やAIによるデータベースマーケティングに強みを持ち、これらのノウハウを活用することでAI最適化の速度を上げ、同社クライアント企業のパフォーマンス最大化を実現していく。なお、パートナー企業は数十社まで増えているが、景品表示法や薬機法の規制が年々厳しくなっていることもあり、パートナー企業の売上拡大効果は限定的となっているようだ。このため、同社ではシステムの強化を図りながら、パートナー企業が売上の拡大につながるようなサービスに仕上げていく方針となっている。
※ 2020年5月にイングリウッドの代表取締役から株式を取得(保有比率0.17%)した。
f) リモート接客支援サービス
コロナ禍において、小売店舗での販売員の販促活動をサポートするためのサービスとして、リモート接客システム「リモートせっきゃくん」を2021年1月にリリースし、実証実験を開始した。同システムはITと3D映像、2D映像を活用した双方向の接客システムとなり、店内に設置した専用端末に遠隔から販売員の映像を投影し、対面販売と同様の接客を行えるようにするほか、接客を必要としない場合は利用客のニーズを想定したシナリオコンテンツの動画を再生するなどして対応する。また、ECサイトへの誘導も可能となる。同社ではこれらの顧客行動データを収集・分析することで、購入促進施策も提案していく。顧客企業にとっては販売員1名で複数店舗の接客も可能となり、売上高の拡大とともに生産性の向上につながる可能性のあるサービスとして注目される。リモート接客システムを手掛ける企業はほかにもあるが、同社ではH&B及び食品領域において「悩み別」のデータを多く蓄積しており、これらのデータを活用することで効果的なシナリオコンテンツを作成できるものと見られる。この点で差別化要因となる可能性があり、今後の展開が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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c) グローバル事業
日本企業の海外向けのマーケティング支援事業として、中国や東南アジアにおいて様々な取り組みを推進している。2020年6月にはJETROの「中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業費補助金」事業として、同社がタイで展開する「Channel J Project」が採択され、タイでオンラインと実店舗を統合したOMO※1プラットフォームの構築により、日本企業のH&B製品や食材の情報発信や販売支援をワンストップソリューションで提供していく取り組みをさらに拡大していく予定となっている。従来から日本料理動画配信サービス「Channel J」を運営し、日本食材の情報発信を行ってきたが、これに加えて自社ECサイト「Channel J」(食材)や「Cosme Land」(H&B製品)を立ち上げており、現地ECモール「LINE Shop」への出店・販売や、さらには複合型実店舗「Wagyu Lab J produced by Channel J」※2をオープンしている。販売ターゲットはタイ人の富裕層やタイ在住の外国人(日本人を除く)となる。オンラインとオフラインを連動させることで、より高い集客効果や認知度の向上を図っていくことが可能となる。同プロジェクトを通じてタイでのD2C支援事業を確立すれば、それをベトナムなどにも横展開していく予定だ。
※1 OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインの融合を意味するマーケティング概念。ネットとリアルの垣根にとらわれず、あらゆるユーザー体験をデータ化することでユーザーエクスペリエンスの向上を目指す施策。
※2 レストラン、カフェバー、物販などを集積した店舗。
現在、タイへの食材輸出については、レストランやホテル向け卸販売事業者に対して、加工食品や調味料、和牛などの輸出を行っているが、コロナ禍が収束し航空便の発着本数が回復すれば、商材をさらに拡充していく予定としている。また、コロナ禍においてタイでは自炊する人が増えているようで、日本食を扱う高級スーパーへの販売やFacebookを通じたEC販売にも注力していく考えだ。
一方で中国市場でも、2020年11月以降新たな取り組みを開始している。一つ目は、日本の人気アニメ等のIPを活用した事業である。2020年11月に上海高島屋にIPフロアを開設し、人気アニメをテーマとしたカフェやキャラクターグッズの販売イベントを開催した。82日間の開催期間で約29百万円の売上(購入者1.1万人強)を計上しており、高島屋の集客効果もあったことから、今後も各所で開催していく予定としている。売上規模は小さいものの、同事業の粗利益率は30~40%と高く、利益増と利益率の向上に寄与するものと期待される。
また、2つ目の取り組みとして、ライブコマースを使ったマーケティング支援サービスも開始している。2020年12月より中国の大手ECサイト「淘宝網(タオバオ)」で影響力のある在日中国人インフルエンサーの王予氏※1とディストリビューター契約を締結し、日本からのライブ配信により商品の販売を開始している。商材は、H&Bやサプリメント以外にも貴金属や洋服、雑貨など、現在はテスト的に幅広く販売を行っている。中国ではライブコマースの市場規模は2019年の6兆9千億円から、2020年に16兆6千億円、2021年に31兆8千億円と急拡大すると予測※2されており、中国向けの有力販路の1つになるものと注目されている。日本製品の中国での人気は高く、ライブコマースの活用ニーズは今後一段と拡大するものと予想される。このため同社では、今後もインフルエンサーの数を増やしながら、中国向け越境EC事業の成長を目指していく。
※1 王氏は、タオバオで3店舗を展開するインフルエンサー。2019年の売上高は5.76億円、ライブ配信1回の売上は最大で2千万円を記録、フォロワー数も12.5万人以上と多く、大きな影響力を持つ。
※2 出所:KPMG(2020年10月)
なお、グローバル事業の売上総利益については、前期比9割増を見込んでいる。また、2021年12月期の売上総利益に占めるシェアも前期の10%超からさらに上昇する見通しで、営業利益率の上昇要因の一つとなる。
d) D2C企業向け金融支援サービス「PIALA PAY」
2020年8月にSBI FinTech Solutions(株)(以下、SFS)との業務提携により、H&B、食品領域のスタートアップ及び中小通販事業者向けに、同社初となるマーケティング金融支援サービス「PIALA PAY」の提供を開始した。今回のサービス開始の目的は、H&B、食品領域において素晴らしい商品を持ちながらもマーケティング活動に資金を投下できないがために、成長の機会が失われている企業に対して、新たな仕組みの金融支援サービスを行うことで収益獲得機会を提供し、双方が収益成長の果実を得ていくことが狙いとなっている。通販事業にとっては、販売初期段階でどれだけマーケティング資金を投下できるかで、その後の収益獲得額が大きく変わってくると言われている。
サービスの概要は、同社独自のサービス「RESULT MASTER」を使用して、通販事業者の売上実績からリピート売上(将来売上)を予測し、将来の売上債権をSFSが買い取ることで、当該事業者に資金を融資する流れとなる。通常、銀行ではリピート率が未知数で将来の売上予測が困難なため、初期投資にあたるマーケティング費用に対する融資の実行が困難であったが、同社であれば長年蓄積してきたデータをもとに、通販事業者の将来売上予測を行うことはある程度可能となる。この予測データとSFS独自の審査モデルを組み合わせることで、未回収リスクを軽減する。
年商で1~20億円規模のD2C事業者を対象に、貸付金額については1回当たり数千万円~1億円程度を目安としている。通販事業者はSFSからの貸付金で同社のマーケティング支援サービスを利用し、売上拡大を目指すことになる。このため、同社にとっては顧客の新規獲得のためのフック役となるサービスとして位置付けられる。第1弾として、2019年12月に資本業務提携した(株)SARABiO温泉微生物研究所(旧(株)サラヴィオ化粧品)に対して、数千万円の融資をSFSで実行しており、その後SARABiO温泉微生物研究所の売上も安定して推移している。顧客獲得手段としては、セミナー開催のほか、投資ファンド運営会社からの紹介を見込んでいる。スタートアップ企業等に投資しているファンド運営会社にとっては、投資先企業が早期に収益化してくれることが望ましいため、「PIALA PAY」のようなサービスは受け入れやすく、比較的容易に顧客を獲得できる環境にあると言える。当面は与信スコアを作りながら着実に進めていくことになるが、潜在的なニーズは大きく、国内でのKPI保証サービスの持続的成長につながる取り組みとして注目される。
また、ピアラ<7044>は資金面での支援をより強化し、適切なタイミングでマーケティング費用を調達することで、投資先の事業の成長及びバリューアップへつなげることを目的として投資ファンドを設立することとし、2020年11月にファンド組成・運営のための子会社、(株)ピアラベンチャーズを設立した。H&B、食品等の業界において、今後成長が見込める企業等を海外を含めて投資対象とし、同社がマーケティング支援するD2C企業だけでなく、それらを支援するヘルステック、ビューティーテック、フードテック企業なども対象とする。また、投資対象のステージは、アーリー、ミドル、レイターで、主にM&Aを利益確定の出口として想定し、IPOを目指せる投資先についてはIPOまで保有を継続することもある。ファンドの募集額は10~15億円で、投資額は1社当たり10~200百万円のレンジを想定している。さらに、投資先は投資資金を活用し、同社のマーケティング支援を受けることで成長を見込めるほか、同社の既存事業に還流する仕組みとなっている。投資とマーケティング支援の2軸で収益を得ることが可能となる。今後も同社が蓄積したノウハウによって抽出した有望企業に対して投資を行っていく。
e) ナレシェアの取り組み状況
KPI保証サービスの引き合いが増加するなか、リソース不足という課題を解消し、成長加速につなげていくための取り組みとして、「ナレシェア」のサービスを2020年2月より開始している。広告代理店や同業者など協業が可能な優良なパートナーを組織化し、互いのナレッジを共有することで、クライアント企業に対して費用対効果が高く、かつ健全なマーケティング支援サービスの提供を実現していく取り組みとなる。
具体的には、同社が保有する「悩み特化型DMP」をパートナーに開放し、パートナーのノウハウやデータを共有し、AIで学習させることでマーケティング精度の向上を図っていく。この取り組みにより、中期的に誰でも70%程度の再現性のあるマーケティング施策の実行が可能になることを目指している。メインパートナーとなるイングリウッドとは2020年5月に資本業務提携契約を締結※している。イングリウッドはOMOの構築やAIによるデータベースマーケティングに強みを持ち、これらのノウハウを活用することでAI最適化の速度を上げ、同社クライアント企業のパフォーマンス最大化を実現していく。なお、パートナー企業は数十社まで増えているが、景品表示法や薬機法の規制が年々厳しくなっていることもあり、パートナー企業の売上拡大効果は限定的となっているようだ。このため、同社ではシステムの強化を図りながら、パートナー企業が売上の拡大につながるようなサービスに仕上げていく方針となっている。
※ 2020年5月にイングリウッドの代表取締役から株式を取得(保有比率0.17%)した。
f) リモート接客支援サービス
コロナ禍において、小売店舗での販売員の販促活動をサポートするためのサービスとして、リモート接客システム「リモートせっきゃくん」を2021年1月にリリースし、実証実験を開始した。同システムはITと3D映像、2D映像を活用した双方向の接客システムとなり、店内に設置した専用端末に遠隔から販売員の映像を投影し、対面販売と同様の接客を行えるようにするほか、接客を必要としない場合は利用客のニーズを想定したシナリオコンテンツの動画を再生するなどして対応する。また、ECサイトへの誘導も可能となる。同社ではこれらの顧客行動データを収集・分析することで、購入促進施策も提案していく。顧客企業にとっては販売員1名で複数店舗の接客も可能となり、売上高の拡大とともに生産性の向上につながる可能性のあるサービスとして注目される。リモート接客システムを手掛ける企業はほかにもあるが、同社ではH&B及び食品領域において「悩み別」のデータを多く蓄積しており、これらのデータを活用することで効果的なシナリオコンテンツを作成できるものと見られる。この点で差別化要因となる可能性があり、今後の展開が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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