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ブリッジインターナショナルのニュース
―さらばオフィス、外出自粛と経済活動継続の連立方程式の解ここに―
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を背景に、 テレワークの運用が急速に進んでいる。今年、満を持して開催されるはずだった東京五輪において、都心部の交通混雑緩和策として官民挙げてのテレワーク推進だったが、くしくも新型コロナ感染拡大が一気に加速させる格好となった。「ロックダウン」(都市封鎖)という言葉も囁かれるなか、事業継続のため企業のテレワーク導入に向けての動きは、更なる広がりをみせることになる。
●「まさにぎりぎりのところ」
東京都で新型コロナ感染者数が急増するなか、小池百合子都知事は25日の夜に行われた緊急記者会見で、「感染爆発の重大局面と捉えていただきたい」と発言。27日には緊急事態宣言について「まさにぎりぎりのところではないか」と述べるなど危機感をあらわにした。企業も事業の継続に加え、従業員を感染リスクから守るために在宅勤務を推進しており、ここにきてテレワーク実行のための体制づくりが急務になっている。急速に求められる社会的ニーズを背景に、テレワークに絡む関連企業の動きも活発化している。
●ソリトン「本格運用が始まった」
ソリトンシステムズ <3040> は今月2日、テレワークに必要なソフトウェアとサービスを期間限定で無償提供することを発表した。提供されるソフトウェアは、安全性と利便性を両立しながら解決する同社のテレワークソリューション「Soliton SecureAccess(ソリトン セキュアアクセス)」の製品群の一部。会社側では、「無償提供については、新規客層からの申し込みが非常に多い。既存顧客からの追加購入も増加している。テレワークについては、いままで一部の部署やさまざまな事情を抱える特定の社員のみの利用だったものが、全社的なものに広がりつつあるのではないか。ここにきてテレワークの本格運用が本当に始まったという感触を持っている」(経営管理部)と言う。株価はコロナ暴落には抗えず、13日には昨年12月高値の半値水準である700円まで売られることになったが、ここを起点に反転攻勢に出ており、現在は1100円を突破し上値指向を強めている。
帝国データバンク(東京都港区)が25日に発表した「新型肺炎が日本経済に及ぼす影響(4)」というリポートでは、「テレワークの必要意識が高まり、引き合い、相談が増している」(電気通信工事)、「テレワーク関連の案件増加が見込める」(ソフト受託開発)といった業績にプラス影響がある企業のコメントを紹介。また、「新型コロナウイルスの世界的な拡大は、企業活動に大きな影響を与える。一方で、2008年のリーマン・ショック後に起こった変化を捉えた企業が大きく成長を遂げたように、新型コロナウイルス後に訪れる社会変化を今から想定しておくことも、企業の生き残りに重要な条件となろう」と指摘している。
●セグエGは「引き合い活発化」
こうした状況下、セキュリティーソフトやITインフラ製品の輸入・販売を手がけるセグエグループ <3968> も攻勢を強めている。23日、子会社のジェイズ・コミュニケーションが、独自のコンテナ技術を用いた安全簡単なテレワークソリューションの第2弾として、「RevoWorks Desktop」の販売を開始すると発表した。同製品は、日常業務で利用されるOfficeなどのクライアントパソコンにインストールされたソフトウェアを、閉じた仮想環境(コンテナ)内で動作させることで作業中の情報流出を防ぐほか、秘密分散暗号化技術でコンテナ内のデータを無意味化し、パソコン紛失などでも情報は漏洩しない二重の安全策を講じているのが特徴。また、これまでのVDI(仮想デスクトップ)ソリューションのような大規模サーバ環境を必要とせず、コストパフォーマンスに優れるため手軽に導入できる。
同社では、「引き合いは活発化している。こうした新しい機能が増えてくることで、新規ユーザーとの接点も多くなってきている。現状を踏まえると、今後の需要拡大には期待しており、チャンスとして捉えている」(IR)と話す。また、26日取引終了後には、ジェイズ・コミュニケーションが、米ジュピター・ネットワークス社が提供する、人工知能(AI)クラウド管理型Wi-Fiソリューション「Mist」の取り扱いを開始すると発表。これを受けて翌日ときょうの株価はストップ高に買われている。
●再び動き出すブイキューブ
ブイキューブ <3681> の株価が再び騰勢を強めている。Web会議システムなどを提供することから、テレワーク普及拡大思惑を背景に株式市場でも急速人気化していた。上昇一服だった株価も、危機的状況をあらわにする要人発言が相次ぐなか、きょうはストップ高となった。2月初旬には感染症懸念から中止・延期となるイベントをオンラインで実施できるライブ配信サービスを支援強化すると発表。3月に入っても、Web会議サービス「V―CUBEミーティング」の教育機関など非営利団体への無償提供を開始(期間限定)、ソースネクスト <4344> とテレワークソリューション分野で協業スタート、「オンライン営業」専用のWeb会議サービス「V-CUBEセールスプラス」の無償提供(期間限定)を開始するなど矢継ぎ早に施策を打ち出している。
同社は11日、20年12月期の連結業績予想について最終利益を1億8500万円から2億5500万円(前期比7.5倍)に上方修正した。投資有価証券売却益を計上することが要因としているが、「テレワーク」や「オンラインイベント・セミナー」に関連するサービスに多くの問い合わせがあるものの、業績に与える影響は未確定要素が多いとして、売上高72億3700万円(同13.6%増)、営業利益5億円の黒字(前期2億8400万円の赤字)の従来見通しは据え置いた。
●エルテスとフーバーブレインは強力タッグ
エルテス <3967> [東証M]とフーバーブレイン <3927> [東証M]は4日の取引終了後、テレワークを推進する製品・サービスの開発や顧客開拓などを協力して推進することを目的に業務提携を締結したと発表。また、資本提携に向けた検討・協議も推進するとしており、強力タッグで勝機を捉える構えを見せている。F-ブレインのデータトラッキング技術とエルテスのデータ解析技術を融合させることで、企業の「働き方改革」「テレワーク」対応に貢献する製品・サービスの早期開発を行うのが狙い。共同プロジェクトの第1弾として、F-ブレインのテレワークソリューション「Eye“247”-Work Smart-」に、エルテスが有する組織内部に潜むリスクを検知する「内部脅威検知サービス」を付帯させた商品を新たに企画し、協力して販売するという。
●PCネット、「テレワークパッケージ」提供体制を増強
中古パソコン・携帯の販売を展開するパシフィックネット <3021> [東証2]は、2月28日に「テレワークパッケージ」などの提供体制を増強すると発表。同社では15年から、モバイルノートパソコンと通信SIM、持ち出し時のデータ漏洩を防止するセキュリティー対策をセットし、テレワークの即導入を可能とした「テレワークパッケージ」を提供している。今回、新型コロナ感染症の拡大を受けて、同パッケージやモバイルノートパソコンの短期レンタル、Wi-Fiルータに対する問い合わせが急増しているため、サービス提供体制を増強するとともに、テレワークに適したモバイルノートパソコンの在庫増強を進めるという。
●トビラシステは「トビラフォンCloud」
トビラシステムズ <4441> [東証M]は、スマートフォン向けのクラウドビジネスフォン「トビラフォンCloud」を、きょうから販売開始した。同サービスは、従来のPBX(構内交換機)をクラウド化し、インターネット上での通話が可能となるサービス。これまで社内でしか内線を回せなかった従来型のビジネスフォンに替わり、社内外どこにいても内線、保留、転送などを使用できることから、テレワーク環境を支援するとしている。また、同社の迷惑情報フィルターが標準付帯していることから、不要なセールス電話などを拒否して業務効率を高めることができるのも特徴という。
そのほかでは、在宅勤務や外出先などで テレワークを行う際でも、出勤時と変わらない業務効率を実現するコミュニケーションプラットフォーム「mitoco(ミトコ)」を手掛けるテラスカイ <3915> にも活躍場面が広がっている。サイボウズ <4776> は中小企業向け「サイボウズ Office」や、大企業・中堅企業向け「Garoon(ガルーン)」などのグループウェアを手掛けており実績も豊富で、いまやテレワークに不可欠な企業の一つだ。また、企業向けに「テレワーク導入支援サービス」の提供を開始したブリッジインターナショナル <7039> [東証M]にも目を配っておきたい。
28日の記者会見で安倍首相は、新型コロナについて「この闘いは長期戦を覚悟していただく必要がある」と述べている。ヒト、モノ、カネの動きがストップするなか、経済活動にも大きな影響が出ている。生産性やリスク回避の目的から、テレワークを導入する企業は増加の一途をたどりそうだ。
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