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エノモトのニュース
■要約
1. 高機能のカスタマイズ品や精密プレス金型に強み
エノモト<6928>は大手電子部品メーカーで、リードフレームやコネクタ用部品など精密部品を製造販売している。顧客のニーズに応じて開発する、カスタマイズされた高機能品や微細加工の精密プレス金型に強みがあり、生産体制は日本、中国、フィリピンの3極体制となっている。顧客は半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーが中心で、製品は自動車、スマートフォン、ウェアラブル端末などの内部で使われている。2021年3月期の製品群別売上高構成比は、IC・トランジスタ用リードフレーム31.7%、オプト用リードフレーム11.5%、コネクタ用部品53.8%、その他3.0%である。また、用途別量産品の売上高構成比は、車載29.0%、スマートフォン34.7%、ウェアラブル5.3%、民生・産機・その他向け31.0%だった。
2. 超精密な加工技術・大量生産・3極体制などで差別化
同社の強みは、一貫生産体制と機動力にある。一貫生産体制は、金属と樹脂の複合加工(インサート成形)技術、そして高品質・大量生産の技術に支えられている。同社の複合加工技術は、超精密な金属打ち抜き部品と樹脂成形を一体化して製造する、極めて厳しい寸法精度が要求される技術である。また、億単位で大量生産する技術は、高精度金型の製作技術や最適なタイミングでのメンテナンスによって裏付けられている。機動力の源泉は、3極の生産体制と独立系としてのポジションにある。同社の海外工場では国内工場と同水準の一貫生産体制を構築しており、国内と同品質の製品を製造することができる。また、独立系であるため、様々な顧客が求める諸々の製品や技術、ロットに柔軟に対応することができる。
3. 中期経営計画で2024年3月期営業利益20億円を目指す
現在、車載用やウェアラブル端末向け電子部品の高精度化・超小型化が急速に進んでいる。同社はこうした製品を安定的に大量生産できる強みを生かして、新たに登場する成長市場を積極的に開拓していく考えである。そこで同社は「ビジョン2030」を策定、長期的な利益成長を目指すことになった。同時に「ビジョン2030」の1st STEPに当たる新中期経営計画も策定、中期的に、EV(電気自動車)・車載向けパワー半導体やウェアラブル端末向け部品など成長分野や、津軽工場のスマートファクトリー化に向けた投資を積極的に行う予定である。また、脱炭素社会に向けて、新規事業である燃料電池部品の開発・製品化も加速する計画である。これにより同社は、2024年3月期に売上高250億円、営業利益20億円、ROE8%の達成を目指している。
4. 2022年3月期は営業利益1,650百万円見込みだが、やや保守的
2021年3月期の業績は、売上高22,999百万円(前期比1.6%増)、営業利益1,563百万円(同15.1%増)となった。新型コロナウイルス感染症が拡大(以下、コロナ禍)するなかだったが、電子部品業界はスマートフォン向けなど強い基調が続き、上期苦戦した自動車向けも下期には世界的な規模で急回復した。同社は2022年3月期の業績見通しを、売上高23,000百万円(前期比横ばい)、営業利益1,650百万円(同5.5%増)と見込んでいる。新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念は残るが、ワクチンの普及などにより経済に対する影響は限定的と考えられる上、電子部品業界はEVや5Gなど強い追い風を受けることが予想されている。このため高水準の業績改善が続くと思われるが、同社は前期高伸長した反動をやや保守的に考えているようだ。
■Key Points
・超精密加工・大量生産・3極体制・独立系に強みのある電子部品メーカー
・新中期経営計画を策定、2024年3月期に営業利益20億円を目指す
・コロナ禍の2021年3月期は好業績、2022年3月期微増益予想は保守的の感
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 高機能のカスタマイズ品や精密プレス金型に強み
エノモト<6928>は大手電子部品メーカーで、リードフレームやコネクタ用部品など精密部品を製造販売している。顧客のニーズに応じて開発する、カスタマイズされた高機能品や微細加工の精密プレス金型に強みがあり、生産体制は日本、中国、フィリピンの3極体制となっている。顧客は半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーが中心で、製品は自動車、スマートフォン、ウェアラブル端末などの内部で使われている。2021年3月期の製品群別売上高構成比は、IC・トランジスタ用リードフレーム31.7%、オプト用リードフレーム11.5%、コネクタ用部品53.8%、その他3.0%である。また、用途別量産品の売上高構成比は、車載29.0%、スマートフォン34.7%、ウェアラブル5.3%、民生・産機・その他向け31.0%だった。
2. 超精密な加工技術・大量生産・3極体制などで差別化
同社の強みは、一貫生産体制と機動力にある。一貫生産体制は、金属と樹脂の複合加工(インサート成形)技術、そして高品質・大量生産の技術に支えられている。同社の複合加工技術は、超精密な金属打ち抜き部品と樹脂成形を一体化して製造する、極めて厳しい寸法精度が要求される技術である。また、億単位で大量生産する技術は、高精度金型の製作技術や最適なタイミングでのメンテナンスによって裏付けられている。機動力の源泉は、3極の生産体制と独立系としてのポジションにある。同社の海外工場では国内工場と同水準の一貫生産体制を構築しており、国内と同品質の製品を製造することができる。また、独立系であるため、様々な顧客が求める諸々の製品や技術、ロットに柔軟に対応することができる。
3. 中期経営計画で2024年3月期営業利益20億円を目指す
現在、車載用やウェアラブル端末向け電子部品の高精度化・超小型化が急速に進んでいる。同社はこうした製品を安定的に大量生産できる強みを生かして、新たに登場する成長市場を積極的に開拓していく考えである。そこで同社は「ビジョン2030」を策定、長期的な利益成長を目指すことになった。同時に「ビジョン2030」の1st STEPに当たる新中期経営計画も策定、中期的に、EV(電気自動車)・車載向けパワー半導体やウェアラブル端末向け部品など成長分野や、津軽工場のスマートファクトリー化に向けた投資を積極的に行う予定である。また、脱炭素社会に向けて、新規事業である燃料電池部品の開発・製品化も加速する計画である。これにより同社は、2024年3月期に売上高250億円、営業利益20億円、ROE8%の達成を目指している。
4. 2022年3月期は営業利益1,650百万円見込みだが、やや保守的
2021年3月期の業績は、売上高22,999百万円(前期比1.6%増)、営業利益1,563百万円(同15.1%増)となった。新型コロナウイルス感染症が拡大(以下、コロナ禍)するなかだったが、電子部品業界はスマートフォン向けなど強い基調が続き、上期苦戦した自動車向けも下期には世界的な規模で急回復した。同社は2022年3月期の業績見通しを、売上高23,000百万円(前期比横ばい)、営業利益1,650百万円(同5.5%増)と見込んでいる。新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念は残るが、ワクチンの普及などにより経済に対する影響は限定的と考えられる上、電子部品業界はEVや5Gなど強い追い風を受けることが予想されている。このため高水準の業績改善が続くと思われるが、同社は前期高伸長した反動をやや保守的に考えているようだ。
■Key Points
・超精密加工・大量生産・3極体制・独立系に強みのある電子部品メーカー
・新中期経営計画を策定、2024年3月期に営業利益20億円を目指す
・コロナ禍の2021年3月期は好業績、2022年3月期微増益予想は保守的の感
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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