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アクセルのニュース
■事業概要
1. 事業内容
アクセル<6730>は遊技機器(パチンコ、パチスロ)に搭載される液晶ディスプレイの画像を創り出すグラフィックスLSIで市場シェアの約50%を握るトップメーカー。製造は外部に委託するファブレス企業で、研究開発・販売に特化している。全体の売上高に占める遊技機器向けグラフィックスLSIの比率は2019年3月期で約45%だが、利益に関しては大半を同LSIで稼ぎ出す格好となっている。
その他の製品では、遊技機器向けのメモリモジュール、LEDドライバのほか、建設機械や医療機器など組込み機器向けグラフィックスLSIの開発・販売を行っているほか、顧客である遊技機器メーカーの囲い込みを目的とした開発支援用ソフトウェアや評価用基板を供給している。また、遊技機器市場以外の収益事業を育成していくため、今まで蓄積してきた要素技術(画像・音声圧縮、画像拡大、超解像、暗号化技術等)を生かして、ゲームソフト開発やWeb動画広告など他業界向けに、ソフトウェアIP、ミドルウェア製品の開発、販売を開始しているほか、独自開発したエッジ推論向けディープラーニング・フレームワーク「ailia」を用いた開発支援サービスなども立ち上げている。
2. 遊技機器向けグラフィックスLSIの市場シェアと特徴
収益柱である遊技機器向けグラフィックスLSIをパチンコ向けとパチスロ向けで分けると、約8割がパチンコ、約2割がパチスロという構成(2019年3月期実績)になっている。グラフィックスLSIは3~5年で機能の向上を図りながら世代交代を続けており、現在は2014年に量産を開始した「AG5」が主力製品となっており、2020年3月期より次世代品である「AG6」の投入を予定している。
同社の遊技機器向けグラフィックスLSIの特徴は、比較的廉価なCPUとの組み合わせでも高精細な描画表示を実現する能力を有していることにある。また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長して高速表示するほか、多彩な演出を可能とする数多くのエフェクト機能も搭載している。遊技機器向けグラフィックスLSIについては、このような特定用途に特化した技術が必要となるほか、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大する傾向にあるため参入障壁も高い。競合企業としては米NVIDIAやヤマハ<7951>などがあり、いずれも10%台のシェアと推定される。
遊技機器向けグラフィックスLSI市場では、リユース(再使用)品が一定規模で使われている。これは遊技機器に搭載される部材の品質が複数回の繰り返し利用でも問題ない水準であることに加えて、遊技機器メーカーがコスト削減のためにリユース品を使う動きが広まったことが背景にある。遊技機器メーカーはリサイクル業者を介して、または直接パチンコホールなどから部材を回収して再利用している。リユース率は遊技機器メーカーのコスト削減施策の動向に影響を受けるが、年間需要のおよそ3割前後がリユース品になっていると推定される。また、グラフィックスLSIの世代終盤期にはリユース率も高まる傾向にある。
3. 仕入先及び販売先
同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。現在はルネサスエレクトロニクス<6723>を始めとした国内半導体メーカーをメインに製造委託し、半導体商社を通じて仕入れている。ただ、次世代品の「AG6」については、先端微細回路技術が必要なことやコスト面を考慮し、海外のファウンドリーメーカーに委託する。このため、「AG6」の仕入れについては為替の影響を受けることになる。
一方、販売先はエレクトロニクス専門商社である緑屋電気(株)が全体の65.4%(2019年3月期実績)を占めており、遊技機器向け製品に関する販売をほぼ一手に引き受ける格好となっている。同社が遊技機器向け製品の販売先を緑屋電気に集中しているのは、技術系商社として高いサポート力を有していることや、遊技機器市場に向けたサービスの均一化を図るためとしている。
4. 研究開発費の動向
研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率は高く、ここ数年は10%以上で推移している。特に、2016年3月期以降は「AG6」の開発を本格的に開始したことや、演出周辺LSIなどその他LSIの開発も強化してきたことで研究開発費の水準は年間20億円以上で推移してきた。2019年3月期は「AG6」の開発が最終段階に入ったことで研究開発費は2,513百万円となったが、2020年3月期は「AG6」の開発が終了したことにより、1,330百万円と大幅に減少する見込みとなっている。なお、後継品となる「AG7」の開発開始時期については未定だが、研究開発費の水準そのものは抑制する方向で考えているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 事業内容
アクセル<6730>は遊技機器(パチンコ、パチスロ)に搭載される液晶ディスプレイの画像を創り出すグラフィックスLSIで市場シェアの約50%を握るトップメーカー。製造は外部に委託するファブレス企業で、研究開発・販売に特化している。全体の売上高に占める遊技機器向けグラフィックスLSIの比率は2019年3月期で約45%だが、利益に関しては大半を同LSIで稼ぎ出す格好となっている。
その他の製品では、遊技機器向けのメモリモジュール、LEDドライバのほか、建設機械や医療機器など組込み機器向けグラフィックスLSIの開発・販売を行っているほか、顧客である遊技機器メーカーの囲い込みを目的とした開発支援用ソフトウェアや評価用基板を供給している。また、遊技機器市場以外の収益事業を育成していくため、今まで蓄積してきた要素技術(画像・音声圧縮、画像拡大、超解像、暗号化技術等)を生かして、ゲームソフト開発やWeb動画広告など他業界向けに、ソフトウェアIP、ミドルウェア製品の開発、販売を開始しているほか、独自開発したエッジ推論向けディープラーニング・フレームワーク「ailia」を用いた開発支援サービスなども立ち上げている。
2. 遊技機器向けグラフィックスLSIの市場シェアと特徴
収益柱である遊技機器向けグラフィックスLSIをパチンコ向けとパチスロ向けで分けると、約8割がパチンコ、約2割がパチスロという構成(2019年3月期実績)になっている。グラフィックスLSIは3~5年で機能の向上を図りながら世代交代を続けており、現在は2014年に量産を開始した「AG5」が主力製品となっており、2020年3月期より次世代品である「AG6」の投入を予定している。
同社の遊技機器向けグラフィックスLSIの特徴は、比較的廉価なCPUとの組み合わせでも高精細な描画表示を実現する能力を有していることにある。また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長して高速表示するほか、多彩な演出を可能とする数多くのエフェクト機能も搭載している。遊技機器向けグラフィックスLSIについては、このような特定用途に特化した技術が必要となるほか、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大する傾向にあるため参入障壁も高い。競合企業としては米NVIDIA
遊技機器向けグラフィックスLSI市場では、リユース(再使用)品が一定規模で使われている。これは遊技機器に搭載される部材の品質が複数回の繰り返し利用でも問題ない水準であることに加えて、遊技機器メーカーがコスト削減のためにリユース品を使う動きが広まったことが背景にある。遊技機器メーカーはリサイクル業者を介して、または直接パチンコホールなどから部材を回収して再利用している。リユース率は遊技機器メーカーのコスト削減施策の動向に影響を受けるが、年間需要のおよそ3割前後がリユース品になっていると推定される。また、グラフィックスLSIの世代終盤期にはリユース率も高まる傾向にある。
3. 仕入先及び販売先
同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。現在はルネサスエレクトロニクス<6723>を始めとした国内半導体メーカーをメインに製造委託し、半導体商社を通じて仕入れている。ただ、次世代品の「AG6」については、先端微細回路技術が必要なことやコスト面を考慮し、海外のファウンドリーメーカーに委託する。このため、「AG6」の仕入れについては為替の影響を受けることになる。
一方、販売先はエレクトロニクス専門商社である緑屋電気(株)が全体の65.4%(2019年3月期実績)を占めており、遊技機器向け製品に関する販売をほぼ一手に引き受ける格好となっている。同社が遊技機器向け製品の販売先を緑屋電気に集中しているのは、技術系商社として高いサポート力を有していることや、遊技機器市場に向けたサービスの均一化を図るためとしている。
4. 研究開発費の動向
研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率は高く、ここ数年は10%以上で推移している。特に、2016年3月期以降は「AG6」の開発を本格的に開始したことや、演出周辺LSIなどその他LSIの開発も強化してきたことで研究開発費の水準は年間20億円以上で推移してきた。2019年3月期は「AG6」の開発が最終段階に入ったことで研究開発費は2,513百万円となったが、2020年3月期は「AG6」の開発が終了したことにより、1,330百万円と大幅に減少する見込みとなっている。なお、後継品となる「AG7」の開発開始時期については未定だが、研究開発費の水準そのものは抑制する方向で考えているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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