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―CO2削減につながる主要デバイス、世界市場規模は50年に10兆円との予測も―
米長期金利が2年ぶりの水準まで上昇したことへの警戒感から米株式相場が不安定な地合いとなるなか、この日の東京市場で日経平均株価は一時900円を超す下落となるなど大幅に続落した。ただ、脱炭素に向けた世界的な潮流は変わっておらず、市場では二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる パワー半導体への関心が一段と高まっている。パワー半導体は、電力の変換や制御により、効率的かつ高精度に電子機器を駆動し、コントロールする電力(パワー)と電子(エレクトロニクス)の分野が重なった技術であるパワーエレクトロニクスのキーデバイスとされ、世界市場の規模は現時点の約3兆円から2030年に5兆円、50年には10兆円になるといわれている。そこで今後の更なる成長が期待できる関連銘柄の動向を追った。
●主要メーカー事業強化に乗り出す
パワー半導体は、高い電圧や大きな電流に対しても壊れないよう通常の半導体とは違った構造を持つ。電圧や周波数を変換するほか、直流を交流、交流を直流に変えることが可能で、その特性から機器の省エネルギー化に直結する。従来からあるシリコン半導体からパワー半導体に置き換わることで、さまざまな電子機器の小型化や高速化が実現でき、電力損失を少なくできることから自動車や航空機の電動化促進や送電インフラにおける電力損失の低減など、CO2排出量削減に大きく貢献する主要デバイスと位置づけられている。例えば、太陽光や風力で発電した電気を無駄なく送電線に送ることや、電気自動車(EV)を駆動するモーターの回転速度をコントロールすることが可能で、再生可能エネルギー、産業機械、社会インフラ、家電製品、情報機器といった幅広い電力容量帯の用途に利用されている。
こうしたことから、主要メーカーが相次いで事業強化に乗り出しており、三菱電機 <6503> は昨年11月に開催した重点成長事業説明会で、25年度までの今後5年間でパワー半導体事業に約1300億円を投資し、同事業の売上高を2400億円以上(20年度実績は約1480億円)に引き上げると発表した。また、富士電機 <6504> は昨年10月に開いた22年3月期第2四半期の決算説明会で約400億円を追加投資することを明らかにし、ローム <6963> は昨年12月にパワー半導体の駆動に使う大規模集積回路(LSI)を増産するためマレーシア工場に新棟を建設すると発表。東芝 <6502> は昨年10月、次世代パワー半導体向けにアナログとデジタルを融合した高機能な1チップゲートドライバーICを世界で初めて開発したと発表しており、25年の実用化を目指している。
●受託研磨加工が好調のMipox
このほかでは、タムラ製作所 <6768> に注目したい。同社は今年1月、200度の高温動作に対応するパワー半導体向け鉛フリーはんだ接合材を開発したことを明らかにした。また、同社のカーブアウトベンチャー及び情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとして設立された経緯があるノベルクリスタルテクノロジー(埼玉県狭山市)が昨年12月、アンペア級・1200ボルト耐圧の酸化ガリウムショットキーバリアダイオードを開発したと発表しており、自動車の電動化や空飛ぶクルマなどの電気エネルギーの効率利用につながることが期待されている。
Mipox <5381> [JQ]は半導体やハードディスク用途で長年培ってきた精密研磨材(剤)製造技術を応用して次世代パワー半導体に適した専用研磨材(剤)を開発済みで、加えて自社製品である研磨装置を組み合わせた独自の加工プロセスも確立している。昨年12月には次世代パワー半導体のエンジニアリング研磨(受託研磨加工)サービスにおける昨年4~9月の売上高が前年同期比2.4倍になったと発表。また、パワー半導体SiC(炭化ケイ素)単結晶の開発・製造・販売を目指すスタートアップのUJ-Crystal(名古屋市千種区)と資本・業務提携したことも注目材料で、オキサイド <6521> [東証M]もUJ-Crystalと資本・業務提携している。
サムコ <6387> は昨年12月、電子デバイス製造のエッチング工程向けに、複数のプロセスモジュールを搭載できるクラスターツールシステム「クラスターH」の販売を開始すると発表。通信機器の高周波フィルターやパワー半導体などの電子部品の製造工程のうち、材料となるウエハーを加工するエッチング工程用で、最大で3枚のウエハーを同時に加工できるという。
日本製鋼所 <5631> と三菱ケミカルホールディングス <4188> 傘下の三菱ケミカルは、世界最大級のGaN(窒化ガリウム)基板製造実証設備を使い、高品質なGaN基板の低コスト製造技術を用いた4インチGaN基板の量産に向けた結晶成長試験を進めており、昨年11月には計画通りに結晶成長していることを確認。両社は今後更なる実証実験を行い、22年度初頭から供給を開始する予定だ。
キョウデン <6881> [東証2]は昨年10月、独自の高速厚銅めっき技術を活用したパワー半導体などの高放熱部品の放熱対策に最適な基板を開発した。この製品は厚銅めっきを用いるため形状や大きさが自由に設定でき、従来のアルミ基板や銅ベース基板、銅インレイ基板では困難だったパワー半導体用の0.4ミリ以下の薄板構造やビルドアップ層構成にも対応可能だとしている。
●タカトリ、サンケンなどにも注目
また、SiC基板などの高速切断を可能にするカッティング装置を販売する高田工業所 <1966> [東証2]、パワー半導体製造装置の設計・製作・カスタマイズを行うテクノアルファ <3089> [JQ]、東芝やロームなどとSiCエピタキシャルウエハーの長期供給契約を締結している昭和電工 <4004> 、SiCウエハーなど新材料に対応した独自の研磨技術と研磨機を提供する浜井産業 <6131> [東証2]、子会社がSiC裏面電極オーミック化専用装置を製造するワイエイシイホールディングス <6298> などにも注目。
テストシステムを取り扱うテセック <6337> [JQ]、SiC材料切断加工装置の大口受注を相次いで獲得しているタカトリ <6338> [東証2]、パワー半導体の開発・生産に強みを持つトレックス・セミコンダクター <6616> 、パワー半導体を中心としたパワーエレクトロニクス専門メーカーのサンケン電気 <6707> 、パワー半導体用ダイナミックバーンインシステム(稼働試験装置)を展開するウインテスト <6721> [東証2]、パワー半導体基板を生産するフェローテックホールディングス <6890> [JQ]、パワーデバイスチップの外観検査装置を手掛ける安永 <7271> 、ウエハー加工からパッケージ組み立てまで一貫生産する三社電機製作所 <6882> [東証2]も関連銘柄として挙げられる。
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