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テラプローブ Research Memo(2):日本最大規模の半導体テスト事業を展開。半導体のテストの先進的な存在

配信元:フィスコ
投稿:2023/04/27 15:12
*15:48JST テラプローブ Research Memo(2):日本最大規模の半導体テスト事業を展開。半導体のテストの先進的な存在 ■会社概要

1. 沿革
テラプローブ<6627>は、2005年9月にエルピーダメモリ(株)(現 マイクロンメモリ ジャパン(株))、Kingston Technology Japan, LLC、PTI及びアドバンテスト<6857>の4社合同出資で設立された。同年10月より、母体であるエルピーダメモリのDRAMのウエハテスト受託を主たる事業内容として操業を開始。(なおこの事業は、2018年5月1日にマイクロンジャパン(株)(Micron Technology Inc.傘下)に譲渡された。)

2008年8月にPTIとの合弁でTeraPower Technology Inc.(TPW)を設立。2016年1月には会津富士通セミコンダクター(株)との合弁である会津富士通セミコンダクタープローブ(株)(のち(株)テラプローブ会津)が、会津富士通セミコンダクターの完全子会社である会津富士通セミコンダクターウェハーソリューション(株)からウエハテスト事業を譲り受け、事業開始。2017年2月には会津富士通セミコンダクタープローブを完全子会社化し、テラプローブ会津へ改称。

2017年4月にTPWの合弁相手でもあるPTIが、その日本法人を通じ、金融商品取引法による同社株式の公開買付けを行うことを発表した。2017年6月、PTI日本法人は株式公開買付けの結果、議決権所有割合ベースで株式の47.8%を取得。PTIは自社既存保有分の11.6%と合算で59.4%の株式を得たことになり、同社はPTIのグループ子会社となった。この公開買付にあたり、マイクロンメモリ ジャパンは保有全株式を売却したため、同社とMicron Technologyとの資本関係はなくなった。

同社の事業はウエハテストを広島事業所にて受託したことから始まる。並行して、テスト技術などの開発も手掛けている。その後、九州事業所にてロジック製品のウエハテスト事業、ファイナルテスト事業を展開している。

2. 半導体の製造工程
あらゆる電気製品に組み込まれている電子部品であり、20世紀最大の発明品である「半導体」は現代社会に多くの恩恵をもたらしている。自動車、工場、大量のデータ送信を行う5Gの送受信機器などに用いられるなど、日常生活に欠かせない。半導体の製造には最先端技術を駆使した複雑なプロセスを経て行われる。大きく「前工程」「後工程」に分けられるが、それらの内容は設計・成膜・エッチング・パッケージング・テストなど多岐にわたる。このため、一般的な半導体製造工程の流れを記載しておく。

(1) 前工程
a) 回路・パターン設計
半導体チップ上にどのような回路を配置するのか設計し、シミュレーションを繰り返して効率的なパターンを検討する。

b) フォトマスク作成
コンピュータを使い、透明なガラス板の表面に、設計した回路パターンを描く。これが、ウエハに回路を転写するための原版(マスタ)となる。

c) ウエハ表面の酸化
ウエハを高温の酸素に晒すことで、表面を酸化させるプロセス。酸化膜は絶縁層となってトランジスタの構成要素となる。

d) 薄膜形成
ウエハの表面に様々な材料の薄膜をつけるプロセス。形成する方法には、材料ガスに晒してウエハ上に膜をつけるCVD、放電によってイオン化した材料をウエハ表面に衝突させるスパッタリングなどがある。

e)フォトレジスト塗布
フォトレジストといわれる感光剤をウエハ表面に均一に塗る。これにより光に反応させて回路パターンを焼き付けることができるようになる。照射する光源の種類によって材料が異なる。

f) パターン転写
ウエハ表面にフォトマスク、縮小レンズを通して光を照射し、回路パターンを焼き付ける。その後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する。ポジ式では感光した箇所、ネガ式では感光しなかった箇所が除去される。

g) エッチング
フォトレジストで形成されたパターンに沿って酸化膜・薄膜を除去する。フォトレジストに覆われている部分は残る。

h) イオン注入
フォトレジストを剥離・洗浄した後に不純物イオン(ドーパント)を注入し、熱処理によって活性化させる。これによって、半導体の電気的特性を変化させることができる。

i) 平坦化・電極形成
ウエハ表面を研磨し、凸凹を平坦化する。フォトレジスト塗布から平坦化までの工程を繰り返して、必要な回路を作り込んだ後、電極配線用の金属をウエハに埋め込む。これはチップ内部と外部を接続するための電気的な通り道となる。

j) ウエハテスト
ウエハに形成された数百個~数千個のチップの1つひとつに対して、プローブと呼ばれる接続用の微細な針を接触させ、電源及び測定用の信号を供給して、電気的な特性に問題がないかを検証する。

(2) 後工程
a) ダイシング
ウエハをダイヤモンドブレードで切断し、1つひとつのチップに分離させる。

b) パッケージング
リードフレームと呼ばれる金属の枠にチップを固定し、金属線で接続する。これにより、チップと外部との接続が可能になる。チップを傷や衝撃から保護するため、樹脂でパッケージする。

c) 最終検査
温度や電圧の試験、電気的特性試験、外観構造検査など、異常がないか何重もの試験を行い、不良品を取り除く。

3. 半導体製造工程におけるテスト受託
同社の事業である半導体のテスト受託は、半導体の高機能化した生産量が増加していくほどニーズが拡大して、大きく成長していくサービスである。また、半導体製造メーカーにとっては重要なパートナーでもある。同社のテストサービスは前工程の「ウエハテスト」と、後工程の「ファイナルテスト」という形で提供されている。

4. ウエハテスト(前工程)
ウエハテストとは、半導体デバイスの製造工程のうち前工程の最終段階において、ウエハ(シリコン等の半導体素材の薄板)上に形成されたIC※1(半導体集積回路)などのデバイスの電気的特性を測定することを指す。ウエハテストでは、ウエハ上の各ICに形成したボンディング・パッドにプローブカード※2のプローブ※3を接触することで、テスタ※4とICが電気的に接続され、相互に電気信号が流れるようにする。具体的には、ウエハをプローバー※5上に置いて、ICのボンディング・パッドに、テスタと接続されているプローブカードのプローブを接触させる。これにより、電源の供給や、測定用の電気信号のやり取りが行われ、個々のIC が正しく動作するかどうかをテスタが判定する。デバイスの種類や個々の性能要件に応じて、適切な測定装置や測定手法の選択や、測定プログラムの作成がされる。また、ウエハテストには、ファイナルテストに比べて、同時により多数のデバイスを測定しやすいという特徴がある。

※1 IC(Integrated Circuit 、集積回路):複数のトランジスタ及び、その他の部品を組み合わせて、単一の半導体材料上で相互接続された半導体デバイス。
※2,3 プローブカード、プローブ:プローブカードは、ウエハテストにおいて半導体試験装置で使用される接続治具で、多数のプローブ(探針)が装着されている。テスタと半導体チップとを電気的に接続する役割を持ち、パッドにプローブを接触させることにより、半導体チップの電気的検査を行い、良否判定を行う。
※4 テスタ:半導体デバイスに電気信号などを与え、出力される信号を期待値と比較することで、設計仕様どおりに動作するかどうかを検査する装置。
※5 プローバー:ウエハテストにおいて、微細・高密度な、プローブ(探針)と、半導体チップ上の電極とを、正確に接触させるための位置決めの装置。


5. ファイナルテスト(後工程)
半導体製造において、最終的なチップの動作確認を行うのがファイナルテストである。ファイナルテストでは、ICの組み立て完了後の正常動作の確認のため、いくつかの種類のテストを実施する。ファイナルテストに合格したチップは、顧客の仕様に合わせて包装され、出荷される。また、ファイナルテストでは、チップが正しく機能することを確認するために、製品によっては12~30時間の高温処理も実施される。

6. 半導体テスト市場の変遷
1980年代には、半導体の製造は設計・製造・組み立てのすべてが各半導体メーカーもしくはその系列企業群において一貫して行われていた※1。しかしながら、現在の半導体産業は微細化の進展や、製品開発サイクルの短期化により、その開発や生産能力の増強に膨大な投資が必要なため、設計・製造・組立を分業する水平分業モデルが一般的になっている。

この水平分業モデルにより、半導体業界ではファブレスメーカー※2の増加が見られるようになった。また、ウエハテストからパッケージング、ファイナルテストまでの各工程を外部に委託することが一般的になっている。こうした受託業者は、台湾を拠点とするファウンドリー※3の増加、成長に伴って発展し、テストハウス(半導体製造プロセスのテスト部分を受託する専門業)という新しい業態も登場した。

※1 IDM (Integrated Device Manufacturer):垂直統合型のLSI製造メーカー
※2 ファブレスメーカー:自社で生産工場を持たない企業である。半導体の企画・開発・販売を行う。
※3 ファウンドリー:製造に特化した半導体メーカー。半導体メーカーやファブレスからの委託を受けて半導体チップの製造を行う。


現在の半導体業界において、特にテストハウスは、半導体産業の集積地である台湾に集中しており、同社も、創業間もない2008年からPTIとの合弁子会社(TPW)という形で生産拠点を展開し、同社連結売上高の約4分の3を担う規模に成長している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石灰達夫)

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配信元: フィスコ
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