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新晃工業のニュース
*14:44JST 新晃工業 Research Memo(4):水AHUを軸に様々な製品・サービスを展開
■事業概要
2. 製品・サービス
新晃工業<6458>の製品やサービスは、セントラル空調で使用されるAHUと個別空調で使用されるヒートポンプAHU、FCUなどその他の製品、更新工事やメンテナンスなどで構成されている。同社は、施主・設計事務所の意向や施設の特性・用途、設置場所の事情などに応じ、風量や熱処理量、清浄性、静音性など施設それぞれの仕様に合わせて、様々な製品やサービスを個別に設計・製造している。例えば、病院であれば、病棟の快適性のため温度・湿度の制御、手術室での空気清浄度の制御、給食スペースでは排気制御などが求められる。このように同社は、様々な要求に対応してきた豊富な納入実績を誇っており、また、常に最先端の技術や最新のニーズを取り入れる努力を続けていることから、高い信頼性と豊富なノウハウに基づくサービスが強みとなっている。さらに、省エネ化や省スペース化、高効率化を追求することで、個別空調など新規事業領域の開発、更新・メンテナンス需要の開拓などにつなげている。
(1) 水AHU
主軸の水AHUは、室内からの還気と同時に外気を取り込み、空気中の塵埃を除去した後に熱処理を行って各室へ向けて給気する機器で、セントラル空調の二次側空調システムで使用される。一般に送風機・コイル・加湿器・エアフィルタなどをケーシングに収めたユニット構造をしており、専用の機械室などに置かれる。貸室の床面積を重視するオフィスビルなどでは、高機能かつ設置面積を抑えた高度な仕様が求められることも多い。同社は、プラグファンの大幅な高効率化を実現した標準型AHU、空調性能をコンパクトなボディに集約したコンパクト型AHU、機械室を必要としないターミナル型AHUなど豊富なラインナップを用意しているほか、「作る~運ぶ~使う~維持する~再生する」というライフサイクルで持続可能な社会に貢献する、環境や物流にやさしいコンセプトモデル「Green AHU」の実用化を進めている。
(2) ヒートポンプAHU
ヒートポンプAHUは、外気の取り入れや加湿・空気清浄などセントラル空調の空調品質と、熱源の分散という個別空調の利便性を兼ね備えた空調機である。もともと個別空調とセントラル空調のすき間を狙った商品であったが、近年、乾燥しがちな冬季の加湿不足などへの対策としてニーズが強まってきた。このため同社は、2017年5月に競合企業で個別空調に強みを持つ空調業界トップのダイキン工業と、ヒートポンプAHUの共同開発において業務資本提携をした。同社にはヒートポンプ技術をキャッチアップしたいという意向があり、ダイキン工業には水AHUに関して同社のノウハウで補完したいという考えがあったため、ライバルでありながらWin-Winの関係にあると言える。こうした提携を背景に同社は自社ブランド製品を開発し、2021年に室外機一体型ヒートポンプAHU「オクージオ」を発売、2023年には高効率プラグファンを搭載した「オクージオGT」を発売した。
(3) FCUなどその他の製品
その他の製品の中でも、セントラル空調で水AHUとセットで使用されるFCUは主力製品である。コイルとファンモータユニット、エアフィルタで構成され、室内還気の温度調整を行う機器である。特に個別に仕切られた会議室や外気温度の影響を受けやすい窓側など、AHUだけでは難しいエリアの温度制御を行っている。FCUには2管式と4管式があり、4管式は個々の機器で自由な温度設定ができ、セントラル空調でありながら個別空調の特徴も持ち合わせた製品である。このほか、品質や温度・湿度といった室内環境をエネルギー損失なく個別コントロールするデシカント空調機・除湿機や、蒸気や温水を熱源に暖房を行うユニットヒータなどがある。2021年には、スーパーコンピュータ施設やデータセンターで長年培った実績とノウハウを生かし、データセンターの様々な空調ニーズに多彩なラインナップできめ細かく対応するサーバーエアハンシリーズを投入した。また、子会社の日本ビー・エー・シーでは、氷蓄熱装置や密閉式冷却塔、開放式冷却塔、蒸発式凝縮器(エバコン)、熱交換器及び関連製品を製造・販売しており、今後、主力製品の1つに育てる方針である。
(4) 「健康空調」
同社はコロナ禍以前から「健康空調」という考え方を提唱している。細菌やウイルスは、対策を徹底していても施設内に持ち込まれてしまうものである。このため同社は、空調機にUVC(紫外線C波)ランプを搭載し、空気中に潜む細菌やウイルスを強力な紫外線照射で分解・除去する、空気除菌システム「健康空調」シリーズを開発した。オフィスや工場のほか、医療福祉施設や公共施設、文教施設など外部から大勢の人が集まる場所に最適な製品で、コロナ禍において注目度がさらに増した。UVCランプ搭載AHUに加え、UVCランプ搭載のFCUカセット形も投入しており、人体に悪影響のあるオゾンなど2次汚染物質の発生がほとんどないこと、紫外線漏洩対策として安全装置付きといった特長があり、簡単なリプレイス工事で設置が可能となっている。
(5) 工事・サービス事業
新晃アトモスは工事やメンテナンス・設備更新といった事業を展開する、同社の戦略子会社である。業界トップメーカーである同社の信頼感や設備劣化診断など豊富なサービスメニューを生かすため新晃アトモスの機能を強化しており、長期的に予測されている新設需要の減少と既存需要の増加に対応する方針である。また、現場ごとの個別設計に対応できず退出した、他社メーカー製空調機の設備更新工事の獲得も見込んでいる。こうした新設需要や更新需要を取り込んでいくことで、将来、工事やメンテナンス・設備更新を水AHUの製造に次ぐ柱に育てる方針だが、足元での更新需要が想定以上に強く、早くも成長を開始したと言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SO>
2. 製品・サービス
新晃工業<6458>の製品やサービスは、セントラル空調で使用されるAHUと個別空調で使用されるヒートポンプAHU、FCUなどその他の製品、更新工事やメンテナンスなどで構成されている。同社は、施主・設計事務所の意向や施設の特性・用途、設置場所の事情などに応じ、風量や熱処理量、清浄性、静音性など施設それぞれの仕様に合わせて、様々な製品やサービスを個別に設計・製造している。例えば、病院であれば、病棟の快適性のため温度・湿度の制御、手術室での空気清浄度の制御、給食スペースでは排気制御などが求められる。このように同社は、様々な要求に対応してきた豊富な納入実績を誇っており、また、常に最先端の技術や最新のニーズを取り入れる努力を続けていることから、高い信頼性と豊富なノウハウに基づくサービスが強みとなっている。さらに、省エネ化や省スペース化、高効率化を追求することで、個別空調など新規事業領域の開発、更新・メンテナンス需要の開拓などにつなげている。
(1) 水AHU
主軸の水AHUは、室内からの還気と同時に外気を取り込み、空気中の塵埃を除去した後に熱処理を行って各室へ向けて給気する機器で、セントラル空調の二次側空調システムで使用される。一般に送風機・コイル・加湿器・エアフィルタなどをケーシングに収めたユニット構造をしており、専用の機械室などに置かれる。貸室の床面積を重視するオフィスビルなどでは、高機能かつ設置面積を抑えた高度な仕様が求められることも多い。同社は、プラグファンの大幅な高効率化を実現した標準型AHU、空調性能をコンパクトなボディに集約したコンパクト型AHU、機械室を必要としないターミナル型AHUなど豊富なラインナップを用意しているほか、「作る~運ぶ~使う~維持する~再生する」というライフサイクルで持続可能な社会に貢献する、環境や物流にやさしいコンセプトモデル「Green AHU」の実用化を進めている。
(2) ヒートポンプAHU
ヒートポンプAHUは、外気の取り入れや加湿・空気清浄などセントラル空調の空調品質と、熱源の分散という個別空調の利便性を兼ね備えた空調機である。もともと個別空調とセントラル空調のすき間を狙った商品であったが、近年、乾燥しがちな冬季の加湿不足などへの対策としてニーズが強まってきた。このため同社は、2017年5月に競合企業で個別空調に強みを持つ空調業界トップのダイキン工業と、ヒートポンプAHUの共同開発において業務資本提携をした。同社にはヒートポンプ技術をキャッチアップしたいという意向があり、ダイキン工業には水AHUに関して同社のノウハウで補完したいという考えがあったため、ライバルでありながらWin-Winの関係にあると言える。こうした提携を背景に同社は自社ブランド製品を開発し、2021年に室外機一体型ヒートポンプAHU「オクージオ」を発売、2023年には高効率プラグファンを搭載した「オクージオGT」を発売した。
(3) FCUなどその他の製品
その他の製品の中でも、セントラル空調で水AHUとセットで使用されるFCUは主力製品である。コイルとファンモータユニット、エアフィルタで構成され、室内還気の温度調整を行う機器である。特に個別に仕切られた会議室や外気温度の影響を受けやすい窓側など、AHUだけでは難しいエリアの温度制御を行っている。FCUには2管式と4管式があり、4管式は個々の機器で自由な温度設定ができ、セントラル空調でありながら個別空調の特徴も持ち合わせた製品である。このほか、品質や温度・湿度といった室内環境をエネルギー損失なく個別コントロールするデシカント空調機・除湿機や、蒸気や温水を熱源に暖房を行うユニットヒータなどがある。2021年には、スーパーコンピュータ施設やデータセンターで長年培った実績とノウハウを生かし、データセンターの様々な空調ニーズに多彩なラインナップできめ細かく対応するサーバーエアハンシリーズを投入した。また、子会社の日本ビー・エー・シーでは、氷蓄熱装置や密閉式冷却塔、開放式冷却塔、蒸発式凝縮器(エバコン)、熱交換器及び関連製品を製造・販売しており、今後、主力製品の1つに育てる方針である。
(4) 「健康空調」
同社はコロナ禍以前から「健康空調」という考え方を提唱している。細菌やウイルスは、対策を徹底していても施設内に持ち込まれてしまうものである。このため同社は、空調機にUVC(紫外線C波)ランプを搭載し、空気中に潜む細菌やウイルスを強力な紫外線照射で分解・除去する、空気除菌システム「健康空調」シリーズを開発した。オフィスや工場のほか、医療福祉施設や公共施設、文教施設など外部から大勢の人が集まる場所に最適な製品で、コロナ禍において注目度がさらに増した。UVCランプ搭載AHUに加え、UVCランプ搭載のFCUカセット形も投入しており、人体に悪影響のあるオゾンなど2次汚染物質の発生がほとんどないこと、紫外線漏洩対策として安全装置付きといった特長があり、簡単なリプレイス工事で設置が可能となっている。
(5) 工事・サービス事業
新晃アトモスは工事やメンテナンス・設備更新といった事業を展開する、同社の戦略子会社である。業界トップメーカーである同社の信頼感や設備劣化診断など豊富なサービスメニューを生かすため新晃アトモスの機能を強化しており、長期的に予測されている新設需要の減少と既存需要の増加に対応する方針である。また、現場ごとの個別設計に対応できず退出した、他社メーカー製空調機の設備更新工事の獲得も見込んでいる。こうした新設需要や更新需要を取り込んでいくことで、将来、工事やメンテナンス・設備更新を水AHUの製造に次ぐ柱に育てる方針だが、足元での更新需要が想定以上に強く、早くも成長を開始したと言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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