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ダイコク電機のニュース
*16:06JST ダイコク電 Research Memo(6):「スマート遊技機」時代に向けた中期経営計画を推進
■中期経営計画
ダイコク電機<6430>は、「スマート遊技機」による新たな時代を迎えるにあたり、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活発化に向けた道筋が見えてきたことから、2023年3月期を初年度とする中期経営計画(3ヶ年)をスタートし2年目を迎えている。経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」に基づき、将来の市場環境の変化に対応するため、事業ドメインの再設定に取り組む方針である。具体的には、「スマート遊技機」の普及に伴う需要の取り込みや、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及促進のほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。
1. 前提となる環境認識
「新規則」機への完全移行、さらには「スマート遊技機」の普及に伴って、遊技機市場及びパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。「スマート遊技機」への入れ替えは、利便性やゲーム性の幅が広がることでファンの拡大やホール経営のあり方に大きく影響を与える。特に、パチンコホールごとに集客力の差が顕著となることから、有力企業による業界再編の流れが加速している。同社では、「スマート遊技機」の入れ替えが進むにつれて、勝ち残りをかけたパチンコホールの設備投資(新規出店を含む)が活性化され、同社業績も大きく拡大するシナリオを描いている。
2. 重点施策(事業ドメインの再設定)
(1) 情報システム事業
戦略の目玉は、今後の市場変化を見据え、クラウドサーバーを活用した新MGサービスの拡充により業界唯一のプラットフォームを構築し、パチンコホール大手を中心に囲い込むとともに、ホール経営の支援はもちろん、業界の変革にも貢献するところにある。そのための具体策として、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を進めるとともに、「スマート遊技機」に柔軟に対応した製品・サービスに加え、省力化・省人化をさらに具現化し、ホールスタッフの働き方やファンの集客戦略を変える製品群をタイムリーに市場投入することで各製品のシェアを高めていく。さらには業界データ及び外部データをクラウドサーバーに集約・活用するプラットフォーム※をスタートさせ、新MGサービスの拡充による安定収益の底上げを目指す方向性である。
※自社及び他社のホールコンピュータ、ファン行動、サイトアクセス、Wi-Fiアクセス、スタッフ情報、カメラ映像などの業界データのほか、人口統計、行動心理、商圏特性、人流データ、SNS・アプリなどの外部データをクラウドサーバーに集約するとともに、予測エンジンや異常検知エンジン、レコメンドエンジンなどの機能により、データを有効に分析・活用することができるプラットフォーム。
(2) アミューズメント事業
事業の主軸を「パチンコ」から「スマートパチスロ」へ移行する方針を掲げている。2021年3月期下期より開始したパチスロ遊技機の一括受託開発をさらに推し進めるとともに、遊技機メーカーとして自社ブランドによるスマートパチスロ機の開発にも取り組み、2025年3月期の市場投入を目指す。
3. 投資計画
3年間の投資計画(累計)として、研究開発費40億円(前3ヶ年合計は28億円)、設備投資62億円(同41億円)を予定しており、前3ヶ年合計を上回る水準となっている。なお、研究開発費は主にスマートパチスロ関連(アミューズメント事業)、設備投資は主にサーバー開発費(情報システム事業)に投下される計画のようだ。
4. 数値目標
同社は、1) 中期経営計画初年度となる2023年3月期業績が計画を上振れたことや、2) 「スマート遊技機」登場に伴う市場の活性化が想定よりも早いペースで進んでいること、3) 2024 年に予定されている新札(新紙幣)発行に伴う機種入れ替え需要が期待できることを反映し、当初の数値目標を上方修正した(2023年5月公表)。具体的には、最終年度である2025年3月期の売上高を34,000百万円→40,000百万円、営業利益を2,200百万円→4,500百万円に引き上げている(ただし、2024年3月期の増額修正予想では、1年前倒しで計画を上回る見通しとなっており、再度上方修正される可能性が高い)。特徴的なのは、研究開発費や設備投資を積極投入しながらも、各製品群における付加価値の向上や、MGサービスによるストック型ビジネスを軸とした収益構造の転換(収益の底上げ)を図るところである。
5. 中長期的な注目点
弊社でも、「スマート遊技機」による新時代を迎えるにあたって、同社の強みとするデータ活用によるMGサービスをさらに拡充させるため、ホールコンピュータからクラウドサーバーを活用したビジネスへと展開していく戦略は、自らの優位性を生かすうえでも理にかなっていると評価している。また、同社が目指すプラットフォームビジネスは、データが集まるところに会員が集まり、会員が集まるところにデータが集まるという正の循環(ネットワーク性)が働くため、圧倒的なポジションをさらに強固なものにできる可能性が高い。さらに、パチンコホールには「スマート遊技機」の導入に向けて相応の設備投資が必要となることから、業界の再編が一気に加速される一方、ゲーム性の進化とともに、これまで減少傾向にあったパチンコ・パチスロファンが、新たな利用者層の取り込みも含めて回復に向かう効果が期待されている※。このような構造的な変化は、同社にとってもシェア拡大及び収益力向上の絶好のチャンスになると考えられる。したがって、業界の活性化に向けていかに中心的な役割を果たしていけるかが、同社自身の成長加速に向けても重要なポイントになるだろう。また、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るうえでも、異業種参入を目的としたM&Aや業務提携の取り組みにも目が離せない。
※同社提供資料に掲載されている日本生産性本部「レジャー白書2023」によると減少傾向にあったパチンコ参加人口は2021年に720万人(2020年は710万人)と底を打ち、2022年も770万人と2年連続で増加している(日本生産性本部の「レジャー白書2023」)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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ダイコク電機<6430>は、「スマート遊技機」による新たな時代を迎えるにあたり、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活発化に向けた道筋が見えてきたことから、2023年3月期を初年度とする中期経営計画(3ヶ年)をスタートし2年目を迎えている。経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」に基づき、将来の市場環境の変化に対応するため、事業ドメインの再設定に取り組む方針である。具体的には、「スマート遊技機」の普及に伴う需要の取り込みや、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及促進のほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。
1. 前提となる環境認識
「新規則」機への完全移行、さらには「スマート遊技機」の普及に伴って、遊技機市場及びパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。「スマート遊技機」への入れ替えは、利便性やゲーム性の幅が広がることでファンの拡大やホール経営のあり方に大きく影響を与える。特に、パチンコホールごとに集客力の差が顕著となることから、有力企業による業界再編の流れが加速している。同社では、「スマート遊技機」の入れ替えが進むにつれて、勝ち残りをかけたパチンコホールの設備投資(新規出店を含む)が活性化され、同社業績も大きく拡大するシナリオを描いている。
2. 重点施策(事業ドメインの再設定)
(1) 情報システム事業
戦略の目玉は、今後の市場変化を見据え、クラウドサーバーを活用した新MGサービスの拡充により業界唯一のプラットフォームを構築し、パチンコホール大手を中心に囲い込むとともに、ホール経営の支援はもちろん、業界の変革にも貢献するところにある。そのための具体策として、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を進めるとともに、「スマート遊技機」に柔軟に対応した製品・サービスに加え、省力化・省人化をさらに具現化し、ホールスタッフの働き方やファンの集客戦略を変える製品群をタイムリーに市場投入することで各製品のシェアを高めていく。さらには業界データ及び外部データをクラウドサーバーに集約・活用するプラットフォーム※をスタートさせ、新MGサービスの拡充による安定収益の底上げを目指す方向性である。
※自社及び他社のホールコンピュータ、ファン行動、サイトアクセス、Wi-Fiアクセス、スタッフ情報、カメラ映像などの業界データのほか、人口統計、行動心理、商圏特性、人流データ、SNS・アプリなどの外部データをクラウドサーバーに集約するとともに、予測エンジンや異常検知エンジン、レコメンドエンジンなどの機能により、データを有効に分析・活用することができるプラットフォーム。
(2) アミューズメント事業
事業の主軸を「パチンコ」から「スマートパチスロ」へ移行する方針を掲げている。2021年3月期下期より開始したパチスロ遊技機の一括受託開発をさらに推し進めるとともに、遊技機メーカーとして自社ブランドによるスマートパチスロ機の開発にも取り組み、2025年3月期の市場投入を目指す。
3. 投資計画
3年間の投資計画(累計)として、研究開発費40億円(前3ヶ年合計は28億円)、設備投資62億円(同41億円)を予定しており、前3ヶ年合計を上回る水準となっている。なお、研究開発費は主にスマートパチスロ関連(アミューズメント事業)、設備投資は主にサーバー開発費(情報システム事業)に投下される計画のようだ。
4. 数値目標
同社は、1) 中期経営計画初年度となる2023年3月期業績が計画を上振れたことや、2) 「スマート遊技機」登場に伴う市場の活性化が想定よりも早いペースで進んでいること、3) 2024 年に予定されている新札(新紙幣)発行に伴う機種入れ替え需要が期待できることを反映し、当初の数値目標を上方修正した(2023年5月公表)。具体的には、最終年度である2025年3月期の売上高を34,000百万円→40,000百万円、営業利益を2,200百万円→4,500百万円に引き上げている(ただし、2024年3月期の増額修正予想では、1年前倒しで計画を上回る見通しとなっており、再度上方修正される可能性が高い)。特徴的なのは、研究開発費や設備投資を積極投入しながらも、各製品群における付加価値の向上や、MGサービスによるストック型ビジネスを軸とした収益構造の転換(収益の底上げ)を図るところである。
5. 中長期的な注目点
弊社でも、「スマート遊技機」による新時代を迎えるにあたって、同社の強みとするデータ活用によるMGサービスをさらに拡充させるため、ホールコンピュータからクラウドサーバーを活用したビジネスへと展開していく戦略は、自らの優位性を生かすうえでも理にかなっていると評価している。また、同社が目指すプラットフォームビジネスは、データが集まるところに会員が集まり、会員が集まるところにデータが集まるという正の循環(ネットワーク性)が働くため、圧倒的なポジションをさらに強固なものにできる可能性が高い。さらに、パチンコホールには「スマート遊技機」の導入に向けて相応の設備投資が必要となることから、業界の再編が一気に加速される一方、ゲーム性の進化とともに、これまで減少傾向にあったパチンコ・パチスロファンが、新たな利用者層の取り込みも含めて回復に向かう効果が期待されている※。このような構造的な変化は、同社にとってもシェア拡大及び収益力向上の絶好のチャンスになると考えられる。したがって、業界の活性化に向けていかに中心的な役割を果たしていけるかが、同社自身の成長加速に向けても重要なポイントになるだろう。また、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るうえでも、異業種参入を目的としたM&Aや業務提携の取り組みにも目が離せない。
※同社提供資料に掲載されている日本生産性本部「レジャー白書2023」によると減少傾向にあったパチンコ参加人口は2021年に720万人(2020年は710万人)と底を打ち、2022年も770万人と2年連続で増加している(日本生産性本部の「レジャー白書2023」)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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