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立ち上がる大相場の気配、高速起動する「ロボティクス関連7銘柄」 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2024/01/27 19:30

―日本の「お家芸」産業ロボットと、ヒト型AIロボットの未来にフォーカス―

 週末26日の東京株式市場はこれまでの急ピッチの上昇の反動が出て、日経平均株価は大きく下値を探る展開となった。これまで全体相場を牽引していた 半導体関連に利食い急ぎの動きがでて全体相場を押し下げ、一時500円超の急落に見舞われた。これは米インテルが25日の夕刻(現地時間)に発表した1~3月の業績見通しが市場コンセンサスを下回ったことが影響したものだ。とはいえ、これで大勢トレンドが下落基調に転じる可能性は極めて限定的といえる。日経平均は今年に入って急速に上値を追う形で今月23日の取引時間中には3万7000円台目前まで買われるなど過熱感が高まっていた。したがって、足もとの押し目形成場面は出遅れた向きにとっては参戦する絶好のチャンスとなり得る。ここは強気に対処して報われる公算が大きい。

 では物色対象として有力視されるのはどこか。半導体主力銘柄の押し目買いも一考だが、やや過熱気味に買われてきた分だけ、しばらくは戻り売り圧力も意識されやすい。ここは、半導体から派生するグロース株復権の流れに乗るテクノロジー系の銘柄で、日本企業の技術力が存分に発揮されているロボティクス分野に照準を合わせてみたい。

●AI・半導体業界の発展を支える産業ロボ

  産業ロボットという区分で見れば日本は世界トップクラスである。ファナック <6954> [東証P]は売上高ベースでは世界の中で群を抜いた存在であるほか、安川電機 <6506> [東証P]も世界屈指の実績を有する。国際ロボット連盟によると2022年の日本における産業ロボット設置台数は9%の伸びを示し5万台を突破、これはコロナ禍以前の19年の実績(4万9908台)を上回る。日本の産業ロボットの世界シェアは46%という高水準を誇る。まさに日本の「お家芸」といえる分野である。

 ロボット業界にとって意識されやすいのは中国の経済動向だ。ここ最近は中国の景気減速に対する警戒感が高まっているとはいえ、「当局の政策にそぐう形での不動産バブル崩壊という局地的不況感が、過剰に警戒されている(ハヤされている)面もある」(生保系エコノミスト)という指摘がある。今月22日に中国国務院は中国経済の回復と市場安定に強力な支援策を講じる方針を明らかにしている。中国・上海総合指数と香港ハンセン指数は、この日を境に底を入れた形となっており、空売り筋の手仕舞いの動きも観測されているようだ。“中国ショック”を煽る動きは今後和らぐ可能性があり、これはロボット業界にとっても風向きが良化することを意味する。

 そうしたなか、26日取引終了後にファナックの24年3月期第3四半期(23年4~12月)決算が開示されたが、ここで同社は24年3月期の業績予想の上方修正を発表した。最終利益は従来予想の1136億円から1226億円(前期比28%減)に90億円上乗せされた。減益予想には違いないが、市場の事前コンセンサスも上回る想定以上に強い数字であった。そもそも産業ロボットの最たる需要先は半導体業界だ。生成AI市場の拡大で半導体業界が復活の狼煙を上げれば、同業界向けでロボット需要も活性化するのは必然の流れである。ファナックの来期の見通しは明るい。

●ヒューマノイド化加速の“アトム”時代へ

 また、近年はロボティクス分野の進化が加速しており、人工知能(AI)を搭載してハイレベルな作業も可能となるなど、人間さながらのヒューマノイド化が顕著となってきた。人間の傍らで同じ目線で作業を行う協働ロボットや人に奉仕する サービスロボットは、いずれ二足歩行のヒト型ロボット全盛時代へと移行していくことが予想される。協働ロボットは今から10年前の13年に厚生労働省が労働安全衛生規則を改正し、それまで安全柵の設置が義務付けられていた出力80ワット以上の産業ロボットが、条件をクリアすれば人のすぐそばで使えるようになったことで普及に弾みがついた経緯がある。ヒト型ロボットが本格的に投入される時代となれば、協働ロボットやサービスロボットは更に加速度的に市場規模を広げていくことが予想される。

 現状で二足歩行ロボットはAI技術分野と並行する形で米国と中国が先行しているが、近い将来に日本もこれにキャッチアップして存在感を高めていくことが期待される。ロボティクス分野で言われる「アトムの呪縛」は、二足歩行のヒト型にこだわるがゆえに進化の妨げになるという論理だが、最近ではロボット工学の進歩とAIによって、鉄腕アトムを想起させるようなヒト型ロボットの普及本格化も決して夢物語ではなくなっている。

 株式市場では、足もとAI関連株と半導体関連株に対する物色ニーズが旺盛だが、次のターゲットとして、この双方とも関係が深いロボティクス関連株に投資資金が波及する可能性が高い。今回のトップ特集では、ここからの株価上昇期待に富む有望7銘柄を厳選してエントリーした。

●株高ストーリーが起動する要注目7銘柄

CIJ <4826> [東証P]

 独立系のシステムインテグレーターで高度な技術力に定評がある。NTTデータグループ <9613> [東証P]や日立製作所 <6501> [東証P]からのシステム受託開発を売上高の主柱とし、安定した収益基盤が魅力。また、光通信 <9435> [東証P]傘下の光通信が同社の6%超の株式を保有する大株主となっている。ロボティクス分野に注力し、自律移動できるAIサービスロボット「AYUDA(アユダ)」は人間との共生・共存を目指し開発されたヒューマノイドとして脚光を浴び、「2023国際ロボット展」にも出展された。業績はM&A効果もありトップライン、利益ともに拡大基調が鮮明。23年6月期に営業利益段階で前の期比17%増の18億2900万円と過去最高を更新したが、24年6月期も18億8000万円予想と連続ピーク利益が見込まれている。売上高も過去最高更新が続く見通し。株主還元にも抜かりなく、自社株買いや増配に積極的な点は評価される。株価面では昨年6月上旬につけた上場来高値721円奪回はあくまで通過点に過ぎず、1000円大台指向となりそうだ。

JRC <6224> [東証G]

 JRCは屋外用ベルトコンベヤで使う部品の製造を手掛け高い商品シェアを誇る。コンベヤ部品は幅広いカテゴリーで需要を獲得しているが、消耗品としての側面があり更新需要などを捉えることで収益への貢献度が高い。また、売り上げに占める比率はまだ少ないもののロボットSI(システム・インテグレーション)事業が将来的な成長戦略を担う部門として注目される。ロボットSIは同社の工場自動化技術を横軸展開した高品質なロボットシステムで使いやすく導入も容易、今期以降は好採算案件が業績押し上げに一役買う公算が大きい。24年2月期営業利益は前期比9%増の13億6400万円と過去最高更新予想にあるが、25年2月期も増収増益路線に変化はなく、売上高は初の100億円台乗せが濃厚とみられる。株価は昨年11月30日につけた戻り高値907円を第一目標に4ケタ大台を目指す展開が期待できる。PER11倍で割安感があり、成長性を考慮して700円台は仕込み好機と判断される。

川田テクノロジーズ <3443> [東証P]

 鉄骨・鋼橋、PC(プレストレスト・コンクリート)土木などを主力にソフトウェア開発でも実力を発揮するが、早くからロボットなどの先端分野に傾注している。人間と協働する汎用性の高いヒト型ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」はすべての可動軸を低出力のアクチュエータで構成し、複数の動きを簡単に覚えさせられるため、幅広い業種を対象に多品種少量生産をはじめとしたあらゆる製造現場に対応することが可能。業績面も豊富な受注残を武器に24年3月期はV字回復が見込まれており、営業利益は前期比27%増の64億円を予想している。株価は昨年の年初から1年にわたる強力な長期上昇トレンドを形成し昨年来高値圏に位置するが、依然として予想PERは9倍弱でPBRは0.5倍台と超割安圏にあり、株価指標面から一段の水準訂正妙味を内包。株主還元にも積極的で今期年間配当は前期実績比30円増となる240円を計画、配当利回りは3.4%と高い。17年2月につけた上場来高値9130円奪回は十分に可能といえる。

ナブテスコ <6268> [東証P]

 ナブテスコは中大型産業ロボットの関節用に使われる精密減速機を展開しており、世界シェア約60%という圧倒的な競争力を誇っている。同社のモーションコントロール技術は鉄道や自動車、航空機、建設機械など幅広い業界で高水準のニーズを獲得している。中国景気の減速が収益環境に逆風となっているが、23年12月期は営業利益段階で前の期比5%増の190億円、最終利益は株式売却益の計上により同88%増の178億円と急増する見込み。続く24年12月期は中国向けに減速機需要の回復が想定され収益改善基調を強めそうだ。昨年12月に世界最大の資産運用会社として知られるブラックロックの日本法人が、共同保有者と合わせ同社の5%超の大株主に浮上したことが明らかとなり耳目を集めた。株価はここ数年来の長期波動で底値圏に位置し、長い目で見て買い場となっている公算大。株式需給面では信用買い残の整理が進み、直近データで32万株あまりまで減少しており、上値の重さは意識されにくい。

鈴茂器工 <6405> [東証S]

 鈴茂器工は米飯加工機メーカーだが、独自技術を生かした「寿司ロボット」の製造販売で世界的に名を馳せる。外食産業は人件費の上昇などで厳しいコスト環境を強いられているが、同社は寿司ロボットやごはん盛り付けロボットで省人化ニーズを捉えており、業績は好調に推移している。ここにきて大手回転寿司チェーンの入れ替え需要が活発。また、寿司を含めた和食は海外でも人気があり、同社も売り上げの3割以上を海外で稼いでいる。24年3月期はトップラインが前期比12%増の150億円、営業利益が同25%増の15億円予想といずれも2ケタ伸長が見込まれ、時価予想PERは13倍弱、PBR0.9倍台と株価指標面で割高感はない。25年3月期も米国向けが牽引し大幅増収増益が期待できる。出来高流動性にやや難があるものの、足が軽いのは強みで1150円近辺までは滞留出来高も少ないことで動き出せば速そうだ。今年に入って1000円大台近辺でもみ合いを続けているが、早晩ここを上放れる可能性がある。

協立電機 <6874> [東証S]

 協立電機は工場自動化にITを融合させたインテリジェントFAシステムのほか、計測制御機器の開発などを手掛けている。製造現場における高齢化や労働力不足に対応した協働ロボットや産業ロボットで顧客ニーズを捉え、収益に反映させている。また、同社は今月中旬に経済産業省による企業のDXへの取り組み促進を目的とした認定制度「DX認定事業者」に選定されたことを発表し、株価が強く刺激された経緯がある。23年6月期は営業5割増益を達成し過去最高利益を更新した。24年6月期は微増益の23億円を見込むが保守的で上振れの可能性がある。PER10倍未満でPBRも0.9倍前後と1倍を下回っており、成長力の高さを考慮して株価の水準訂正余地は大きいと判断される。今月17日に3870円の昨年来高値をつけたが、上場来高値は1999年につけた7750円(修正後株価)と天井の高さが際立つ。信用買い残も枯れた状態で上値は軽く、4000円大台ラインを通過点とするスケールの大きい相場が期待できる。

セック <3741> [東証P]

 セックは異色のシステム開発会社で、時間とともに変化する情報・データを扱うリアルタイム技術で優位性を持つ。モバイルネットワークのほかロボット分野・宇宙開発分野での実績が高い。直近ではJAXAの月探査機「SLIM」関連のソフト開発で協力会社として話題を集めた。ロボットについてはユビキタス社会の究極の端末に位置付け、注力姿勢を明示している。同社が手掛けるサービスロボットは会社側の想定を上回る旺盛な需要で業績への寄与度も高い。トップライン、営業利益ともに18年3月期以降は増加の一途、24年3月期売上高は前期比9%増の81億5000万円、営業利益が同15%増の14億円予想で、いずれも連続過去最高更新を見込んでいる。株価は昨年の8月中旬を境に25日移動平均線をサポートラインとする長期上昇トレンドを形成中。時価は同移動平均線との上方カイ離がほぼ解消された状態で買い場を示唆している。今月22日の昨年来高値5700円を払拭し6000円台活躍が視野。

株探ニュース
配信元: 株探
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