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酒井重工業のニュース
*12:31JST 酒井重 Research Memo(1):2024年3月期は需要回復で前期比32.4%の営業増益
■要約
酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高が33,020百万円(前期比5.0%増)、営業利益が3,318百万円(同32.4%増)、経常利益が3,324百万円(同42.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,440百万円(同44.0%増)となった。業績は下半期に入りやや失速したものの、通期では増益を確保した。国内売上高(連結地域別)は、下半期に主要顧客である建機レンタル企業の投資意欲が冷え込み、同5.8%減となったが、北米販売は、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が拡大し同25.1%増となった。アジアでは、インドネシアは堅調に推移したものの、ベトナム、中国等が低迷し同2.9%の減収となった。価格改定とコスト低減による収益構造改革が進み、全体の売上総利益率は同2.4ポイント改善した。事業活動再開に伴い販管費は同6.9%増加したが、増収に伴う売上総利益の増加(同14.8%増)により営業利益は大幅増益となった。この結果を受けて、年間配当を285.0円(前期は200.0円)に増配した。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で33,000百万円(前期比0.1%減)、営業利益で2,730百万円(同17.7%減)、経常利益で2,700百万円(同18.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,830百万円(同25.0%減)を見込んでいる。国内ではコスト上昇と建設・物流の「2024年問題」によるサプライチェーン全体の構造調整により一時的な足踏み状態が続くと予想している。海外においても、ウクライナや中東情勢の緊迫化による世界経済の分断が進んでおり、サプライチェーンリスクと資源・物流コストの高止まりが続くものと見ている。このような状況から同社は、2025年3月期の業績は少なくとも上半期は厳しい状況が続くと見ており、通期でも減収減益を予想している。ただし、今後の進捗状況については四半期ごとに見直しを行い、必要に応じて開示していく予定だ。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を2021年6月に発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8.0%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指している。既に売上高については目標を上回っているが、営業利益については2025年3月期が減益予想となっていることから、現時点でこれらの数値目標も据え置いている。年間配当については2023年3月期に200.0円(配当性向49.9%)、2024年3月期に285.0円(同49.6%)を行ったが、進行中の2025年3月期も年間215.0円(同49.9%)※が予定されている。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値する。
※同社は2024年5月21日に、2024年9月末(効力発生10月1日)で1:2の株式分割を行うことを発表したが、分割前基準の数値。
■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2024年3月期は前期比32.4%の営業増益だが、2025年3月期は同17.7%の営業減益を予想
・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8.0%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HH>
酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高が33,020百万円(前期比5.0%増)、営業利益が3,318百万円(同32.4%増)、経常利益が3,324百万円(同42.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,440百万円(同44.0%増)となった。業績は下半期に入りやや失速したものの、通期では増益を確保した。国内売上高(連結地域別)は、下半期に主要顧客である建機レンタル企業の投資意欲が冷え込み、同5.8%減となったが、北米販売は、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が拡大し同25.1%増となった。アジアでは、インドネシアは堅調に推移したものの、ベトナム、中国等が低迷し同2.9%の減収となった。価格改定とコスト低減による収益構造改革が進み、全体の売上総利益率は同2.4ポイント改善した。事業活動再開に伴い販管費は同6.9%増加したが、増収に伴う売上総利益の増加(同14.8%増)により営業利益は大幅増益となった。この結果を受けて、年間配当を285.0円(前期は200.0円)に増配した。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で33,000百万円(前期比0.1%減)、営業利益で2,730百万円(同17.7%減)、経常利益で2,700百万円(同18.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,830百万円(同25.0%減)を見込んでいる。国内ではコスト上昇と建設・物流の「2024年問題」によるサプライチェーン全体の構造調整により一時的な足踏み状態が続くと予想している。海外においても、ウクライナや中東情勢の緊迫化による世界経済の分断が進んでおり、サプライチェーンリスクと資源・物流コストの高止まりが続くものと見ている。このような状況から同社は、2025年3月期の業績は少なくとも上半期は厳しい状況が続くと見ており、通期でも減収減益を予想している。ただし、今後の進捗状況については四半期ごとに見直しを行い、必要に応じて開示していく予定だ。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を2021年6月に発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8.0%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指している。既に売上高については目標を上回っているが、営業利益については2025年3月期が減益予想となっていることから、現時点でこれらの数値目標も据え置いている。年間配当については2023年3月期に200.0円(配当性向49.9%)、2024年3月期に285.0円(同49.6%)を行ったが、進行中の2025年3月期も年間215.0円(同49.9%)※が予定されている。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値する。
※同社は2024年5月21日に、2024年9月末(効力発生10月1日)で1:2の株式分割を行うことを発表したが、分割前基準の数値。
■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2024年3月期は前期比32.4%の営業増益だが、2025年3月期は同17.7%の営業減益を予想
・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8.0%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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