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酒井重工業のニュース
*15:04JST 酒井重 Research Memo(4):国内は生産用部材の不足により減益ながら、海外が好調に推移
■業績動向
1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
酒井重工業<6358>の2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が22,125百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益が1,585百万円(同36.0%増)、経常利益が1,586百万円(同31.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,172百万円(同40.2%増)と、おおむね計画に沿った結果となった。
国内は、国土強靭化加速化対策を背景として販売は堅調に推移したが、生産用部材の不足により減収減益となった。一方で海外は、北米が好調な建設投資を背景として引き続き需要回復が進み、増収増益となった。アジアは、韓国や中国はやや低調であったが、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどが好調に推移し、増収増益となった。国内は減収となったが足元の受注は堅調であり、部材等のサプライチェーン問題がなければ売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。
売上総利益率は25.6%(前年同期は24.9%)と改善したが、主に米国において販売価格の改定が浸透してきたことや物流効率化による。これに増収効果も加わり売上総利益は5,654百万円(前年同期比15.0%増)となった。一方で販管費は、行動制約状態からの事業活動再開に伴い旅費交通費が増加したほか、人件費の増加などにより同8.4%増となったが、増収により販管費率は前年同期の19.0%から18.4%へ低下した。この結果、営業利益は大幅な増益となった。
営業利益の増減要因を分析すると、増収による増益が579百万円、原価率の改善による増益が156百万円、販管費の増加による減益が316百万円(内訳は人件費161百万円増加、技術研究費81百万円増加、旅費交通費45百万円増加、その他費用29百万円増加)であった。
2. 地域区分別の動向
2023年3月期第3四半期の地域区分別売上高については、全体としては堅調に推移したと言える。国内では、国土強靭化加速化対策を背景に道路・土木関連工事などの公共投資関連を中心に受注は堅調に推移した。しかし、一部の生産用部材(特にエンジン関係)の供給が不足し生産はやや低調に推移した。この結果、売上高は10,864百万円(前年同期比2.0%減)に留まった。しかし需要そのものは堅調であり、受注高は順調に積み上がっている。別の見方をすれば、部材が計画どおり調達できていれば、売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。
海外では、主要な市場での建機需要の回復が進んだことに加えて円安効果もあり、売上高は11,261百万円(同29.3%増)と大幅な増収となった。このうち北米は、好調な建設投資を背景として市場そのものが拡大していることに加え、代理店開拓の効果や価格改定の浸透もあり、売上高は5,028百万円(同56.2%増)となった。アジアでは、韓国や中国はやや低迷したが、以前から好調であったベトナムに加え、インドネシア市場でも需要回復が進んだ結果、売上高は5,703百万円(同17.1%増)となった。その他(アフリカ・オセアニア・中南米等)は528百万円(同14.4%減)となったが、金額が小さいため全体への影響は軽微であった。
財務基盤は安定、手元の現金及び預金は6,835百万円と豊富
3. 財務状況
2023年3月期第3四半期末の財務状況について、流動資産は前期末比2,866百万円増の27,942百万円となったが、主に現金及び預金の減少1,157百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権を含む)の増加1,227百万円、棚卸資産の増加2,593百万円などによる。固定資産は同617百万円増の13,400百万円となったが、主に有形固定資産の増加562百万円、無形固定資産の減少130百万円、投資その他の資産の増加185百万円などによる。この結果、資産合計は同3,483百万円増の41,342百万円となった。なお、2023年3月期第3四半期末の現金及び預金は6,835百万円と高水準だ。
一方で、負債合計は前期末比1,430百万円増の16,127百万円となったが、主に流動負債のうち買掛債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の増加1,953百万円、短期借入金の減少735百万円、固定負債の減少57百万円などによる。純資産合計は同2,053百万円増の25,214百万円となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加402百万円、その他有価証券評価差額金の増加127百万円、為替換算調整勘定の増加1,432百万円、などによる。この結果、2023年3月期第3四半期末の自己資本比率は60.8%(前期末は61.1%)となった。
同社では、2023年3月期第3四半期末の正味運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は前年同期末比31.3%増(同2,777百万円増)の11,645百万円となった。主に売上債権の増加(同1,089百万円増)、棚卸資産の増加(同2,474百万円増)、仕入債務の減少(同786百万円減)による。販売(売上高)が堅調に推移したものの、増産と部品欠品リスク低減の為の在庫水準増加により、売上高/棚卸資産回転数は、前年同期比0.60回減の年間2.95回に減少した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
酒井重工業<6358>の2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高が22,125百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益が1,585百万円(同36.0%増)、経常利益が1,586百万円(同31.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,172百万円(同40.2%増)と、おおむね計画に沿った結果となった。
国内は、国土強靭化加速化対策を背景として販売は堅調に推移したが、生産用部材の不足により減収減益となった。一方で海外は、北米が好調な建設投資を背景として引き続き需要回復が進み、増収増益となった。アジアは、韓国や中国はやや低調であったが、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどが好調に推移し、増収増益となった。国内は減収となったが足元の受注は堅調であり、部材等のサプライチェーン問題がなければ売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。
売上総利益率は25.6%(前年同期は24.9%)と改善したが、主に米国において販売価格の改定が浸透してきたことや物流効率化による。これに増収効果も加わり売上総利益は5,654百万円(前年同期比15.0%増)となった。一方で販管費は、行動制約状態からの事業活動再開に伴い旅費交通費が増加したほか、人件費の増加などにより同8.4%増となったが、増収により販管費率は前年同期の19.0%から18.4%へ低下した。この結果、営業利益は大幅な増益となった。
営業利益の増減要因を分析すると、増収による増益が579百万円、原価率の改善による増益が156百万円、販管費の増加による減益が316百万円(内訳は人件費161百万円増加、技術研究費81百万円増加、旅費交通費45百万円増加、その他費用29百万円増加)であった。
2. 地域区分別の動向
2023年3月期第3四半期の地域区分別売上高については、全体としては堅調に推移したと言える。国内では、国土強靭化加速化対策を背景に道路・土木関連工事などの公共投資関連を中心に受注は堅調に推移した。しかし、一部の生産用部材(特にエンジン関係)の供給が不足し生産はやや低調に推移した。この結果、売上高は10,864百万円(前年同期比2.0%減)に留まった。しかし需要そのものは堅調であり、受注高は順調に積み上がっている。別の見方をすれば、部材が計画どおり調達できていれば、売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。
海外では、主要な市場での建機需要の回復が進んだことに加えて円安効果もあり、売上高は11,261百万円(同29.3%増)と大幅な増収となった。このうち北米は、好調な建設投資を背景として市場そのものが拡大していることに加え、代理店開拓の効果や価格改定の浸透もあり、売上高は5,028百万円(同56.2%増)となった。アジアでは、韓国や中国はやや低迷したが、以前から好調であったベトナムに加え、インドネシア市場でも需要回復が進んだ結果、売上高は5,703百万円(同17.1%増)となった。その他(アフリカ・オセアニア・中南米等)は528百万円(同14.4%減)となったが、金額が小さいため全体への影響は軽微であった。
財務基盤は安定、手元の現金及び預金は6,835百万円と豊富
3. 財務状況
2023年3月期第3四半期末の財務状況について、流動資産は前期末比2,866百万円増の27,942百万円となったが、主に現金及び預金の減少1,157百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権を含む)の増加1,227百万円、棚卸資産の増加2,593百万円などによる。固定資産は同617百万円増の13,400百万円となったが、主に有形固定資産の増加562百万円、無形固定資産の減少130百万円、投資その他の資産の増加185百万円などによる。この結果、資産合計は同3,483百万円増の41,342百万円となった。なお、2023年3月期第3四半期末の現金及び預金は6,835百万円と高水準だ。
一方で、負債合計は前期末比1,430百万円増の16,127百万円となったが、主に流動負債のうち買掛債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の増加1,953百万円、短期借入金の減少735百万円、固定負債の減少57百万円などによる。純資産合計は同2,053百万円増の25,214百万円となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加402百万円、その他有価証券評価差額金の増加127百万円、為替換算調整勘定の増加1,432百万円、などによる。この結果、2023年3月期第3四半期末の自己資本比率は60.8%(前期末は61.1%)となった。
同社では、2023年3月期第3四半期末の正味運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は前年同期末比31.3%増(同2,777百万円増)の11,645百万円となった。主に売上債権の増加(同1,089百万円増)、棚卸資産の増加(同2,474百万円増)、仕入債務の減少(同786百万円減)による。販売(売上高)が堅調に推移したものの、増産と部品欠品リスク低減の為の在庫水準増加により、売上高/棚卸資産回転数は、前年同期比0.60回減の年間2.95回に減少した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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