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JIGーSAW Research Memo(1):2021年12月期は先行投資下にある新規事業で成果の顕在化が期待される

配信元:フィスコ
投稿:2021/05/10 15:01
■要約

JIG-SAW<3914>は、データコントロール事業セグメントの下、自動検知・自動制御をコンセプトとする「システムマネジメントサービス」と同社独自の基盤コア技術をベースにした「IoT(Internet of Things)向け各種サービス」を提供している。

1. 会社概要と強み
同社は、各種物理サーバ・クラウドサーバ・ハイブリッドサーバ、IoTデバイス及び通信チップ・モジュール等を対象としたインターネットサービスのデータコントロールを主力事業としている。顧客特性の詳細な開示はないが、通信キャリアや放送局、セキュリティ・ソフト会社など、大手企業から中小企業まで幅広くカバーしているようだ。同社がマネージしているサーバ数は数万に達していることに加え、月間億単位で発生するアラートを処理しており、圧倒的な経験値を蓄積し続けている。また、IoTに必要な機能をパッケージ化した包括的なIoTソリューション「NEQTO」を提供している。

同社の強みは、コアコンピタンスである「基盤コア技術」の応用と、中長期的な視点でビジネスデザインできる経営力にある。具体的には、1)ストック型・継続課金モデルの事業展開、2)独自の基盤コア技術をベースにするからこその柔軟性・拡張性、3)M&Aを含むパートナー戦略、4)良好な収益性と財務体質を生かした事業投資戦略などである。

2. 成長戦略
オートセンシング&オートコントロール(Auto Sensing & Auto Control。以下、A&A)は自動検知及び自動制御という意味、End-to-End(以下、E2E)は“端から端まで”という意味であるが、同社は、この2つをコンセプトとして、あらゆる種類のマネジメントサービスを、クラウドサーバや物理サーバ、IoTデバイス及び通信チップ・モジュールまで、通信・ネットワークの全体(Internet of Everything=IoE市場)を対象に提供していくことを目指している。

A&AとE2Eというコンセプトを実際のサービスに落とし込むことを可能としているのが、OS技術を核とする「ソフトウェア、ハードウェア、信号制御(シリコン・半導体)」という3つの基盤技術である。独自技術によるオリジナリティがあるからこその高い柔軟性と拡張性により、顧客が求める多種多様なマネジメントサービスを提供している。

既存事業の主な対象であるサーバ・クラウドシステムは、インターネットデータの格納先であり、データトラフィックが急増するなかで質・量ともに成長過程にある。一方、新規事業「IoT向け各種サービス」の核となる「NEQTO Engine」の主要対象(IoT機器)は、インターネットデータの発生源と言え、そこで生まれたインターネットデータは、これまでのインターネットに加えて遥かに大きな「マシンが生み出すデータ」であり、それが最終的にサーバ・クラウドシステムという格納先に流れ込むことになる。つまり、同社が取り組むIoT領域での本格展開は、既存ビジネス領域の更なる拡大にもつながる事業戦略と言える。同社は、インターネットデータの発生源と格納先を事業対象とする進化形ビジネスモデルを構築し、既存事業と新規事業の双方に継続的な先行投資を行うことで、指数関数的な爆発的成長を目指している。

3. パートナー戦略
同社は、独自技術をコアコンピタンスとしながらも、事業拡大やイノベーションを加速するために、M&Aを含むパートナー戦略を推進している。

2015年以降、同社グループのホームページに開示されているものだけでも、英Kudan、モビコム(株)、ラピスセミコンダクタ(株)(ローム<6963>グループ)、Sony Semiconductor Israel(旧Altair Semiconductor)、冨田浩史(とみたひろし)岩手大学教授、Litmus Automation、ZecOps、Amazon Web services(AWS)、酒井重工業<6358>、Google Cloud Platform、salesforce.com、Oracleクラウド、Tridiun(米Honeywell Internationalグループ)、SAP、ソニーセミコンダクタソリューションズ(株)など、有力企業を含むパートナーとの連携が見て取れる。また、セールス・マーケティング分野においても多くのパートナーと連携しており、連結売上のうち、パートナー経由の比率は、50%超にまで達している感触である。そして見逃せないのが、上場を目指しているベンチャー系パートナー企業への資本参加→保有株式の価値増大→株式売却によるキャッシュ創出→積極的な成長投資→新たなパートナー企業との出会い、という好循環を生み出している点である。

4. 2020年12月期業績概要と2021年12月期業績見通し
2020年12月期連結業績は、売上高が前期比22.0%増の2,192百万円となり、上場以来24四半期連続で過去最高売上を更新した。これは、解約率の低い月額課金案件と堅調な受注積み上げによる。一方で、先行投資を一段と積極化したため、営業利益は同0.4%減の313百万円となったものの、四半期推移を見ると、第1四半期37.4%減、第2四半期10.9%減、第3四半期4.3%増、第4四半期69.8%増と右肩上がりの傾向が確認できる。また、売上高営業利益率は14.3%、ROE(自己資本当期純利益率)は21.6%、ROA(総資産経常利益率)は20.8%といずれも高い水準にあり、財務体質も健全である。

2021年12月期については、国内だけにとどまらないグローバルなIoT事業の大きな成長とそのための事業投資に関する不確定な要素が多く、適正かつ合理的な業績予想の策定が困難であるため、業績予想を開示していないが、ストック型ビジネスの堅調な推移により、現時点において過去最高売上高の更新が見込まれる状況としている。

■Key Points
・コアコンピタンスである「基盤コア技術」を応用し、中長期的な視点でビジネスデザインできる経営力が強み
・インターネットデータの発生源と格納先を事業対象とした進化形ビジネスモデルを構築、既存事業と新規事業の高成長による爆発的な成長を目指す
・2020年12月期連結業績は、売上高が過去最高を更新、先行投資をこなしながら、高い収益性と良好な財務体質を両立

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)


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配信元: フィスコ

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