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サトーホールディングスのニュース
■エスプール<2471>の今後の見通し
3. 事業セグメント別見通し
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前期比6.5%増の4,774百万円、営業利益は同33.8%増の1,170百万円となる見通し。障がい者雇用支援サービスが2ケタ増収増益となり、けん引役となることに変わりないが、前期に赤字だったロジスティクスアウトソーシングや採用支援サービスについても収益改善施策により黒字化の目途が立つなど、各サービスともに増益となる見通しだ。サービス別の見通しは以下のとおり。
a) 障がい者雇用支援サービス
売上高は前期比26.5%増の2,508百万円と高成長が続く見通し。障がい者雇用促進法が2018年4月に改正され、企業の障がい者雇用率が従前の2.0%から2.2%に引き上げられたこともあり、障がい者雇用のニーズもさらに強まっている状況にある。実際、雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられたことを受け、既存顧客からの追加受注が増えており、前期は農園販売の約3割がこうした既存顧客からの追加受注で占められていた。2021年4月までには雇用率が2.3%に引き上げられる予定になっており、当面は需要に供給が追い付かない状況が続くものと予想される。
こうした市場環境下で、今期の農園設備販売は800区画(第1四半期114区画、第2四半期178区画、第3四半期266区画、第4四半期242区画)を計画している(用地は確保済み)。2018年12月末時点で既に438区画分を受注済みとなっており、現在は納品待ちの解消に向けて農園の早期開設に注力している状況にある。新規の5農園のうち、愛知県(春日井市)と埼玉県(さいたま市)はいずれも行政と連携して進めていくことになっている。愛知県では豊明市、みよし市に次ぐ3例目となる。同社では受注が好調なことから、新規農園を前倒しで開設することで100~200区画程度の上積みは可能と見ているが、就職を希望する障がい者の確保が流動的であるため、現時点では実現可能な数字を計画に織り込んでいる。
売上高の内訳で見ると、農園設備販売が前期比14.3%増の1,204百万円、農園管理収入が同47.5%増の1,077百万円、その他が同12.4%増の227百万円となる見通し。営業利益率がやや低下するがこれは農園開設から全区画を販売するまでの期間を1年程度と、従来(3〜6ヶ月)よりも長期化する前提となっており、毎月の管理収入の立ち上がりが緩やかになることで開設初年度の減価償却負担率がアップすることが主因となっている。逆に言えば、就労する障がい者の確保が従来どおりのペースで進めば業績の上振れ要因となる。
同社では2020年11月期以降も千葉、愛知、埼玉エリアにおいて年間5〜6ヶ所ペースで農園を開設していく計画で、販売区画数は800~1,000区画ペースとなる見通し。このため、ストック収益である管理収入については年間5億円弱のペースで拡大していくことになり、障がい者雇用支援サービス全体の売上高は年率2ケタ成長が続くものと予想される。農園管理収入の利益率は設備販売より低いものの15%程度と全社平均よりは高い水準にあり、今後減価償却負担が一巡すれば30%程度の水準が見込める計算となっている。このため、中期的には農園管理収入の拡大によって収益の安定性が増すだけでなく、収益性の向上も進むものと期待される。なお、同社では需要に供給が追い付かないこともあり、農園管理収入や人材紹介手数料について1〜2割程度の値上げを実施することも検討している。
b) ロジスティクスアウトソーシング
ロジスティクスアウトソーシングの売上高は前期比29.1%減の1,040百万円、営業利益は黒字転換(前期は92百万円の損失)する見通し。売上高が減収となるのは、従来、売上高に含めていた配送費用を分離し、顧客立て替えに順次切り替えているためで、配送費用分の売上高が目減りすることが影響する。従来と同一条件で売上高を換算すると1,540百万円となり、前期比でほぼ横ばい水準となる。2019年1月時点で約3割の顧客の切り替えが終わっており、今期中にすべての顧客で切り替えを完了する計画となっている。配送費用を分離することで、配送費値上げ時における収益悪化リスクがなくなることになる。
また、同社では収益改善施策を前下期に打っており、2018年11月には単月ベースで黒字化を実現している。具体的には、従来、顧客ごとに使い分けていた複数の物流システムを一本化したことで、生産性向上並びにシステム利用料の削減を図ったほか、営業体制を代理店営業から自社営業に切り替えたことにより適正価格での受注獲得、支払手数料の削減を図っている。また、物流センターを3拠点から2拠点に集約化したことで物流センターの稼働率も回復している。このため、今後も売上高が計画どおりに推移すれば、通期での黒字転換も十分可能と言える。
つくばECセンターのフル稼働時の売上高は年間で3.5〜4億円、S-POOL logistics laboratory Iは12億円程度と見られる。今期のEC配送代行サービスの売上高見通しは前期比38.4%減の785百万円(実質1%増)となっており、売上げの拡大余地は大きい。特に、S-POOL logistics laboratory Iでは最先端の自動認識技術(RFID、音声認識、画像認識等)を活用した次世代の物流管理システム※を新規顧客から順次、導入している。同システムではRFIDによって複数のICタグを一括読み取りできるため、単品で処理する従来のバーコード方式に比べて倉庫内での作業時間短縮が図れるほか、自動認識システムの導入により、入荷・返品・検品時の照合プロセスが不要となるため生産性の向上に寄与することになる。導入から約1年経過したが、生産性に関しては従来のバーコード方式と比較して1〜2割程度向上しているようで、同事業の収益性改善につながる取り組みとして注目される。
※2017年に業務提携したサトーソリューションアーキテクト(株)(サトーホールディングス<6287>の子会社)の技術を導入している。
c) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前期比48.1%増の450百万円、営業利益は収支均衡ラインを目指している。月間の応募受付件数が2018年4月以降、2万件台とやや伸び悩んでいたが、中小企業を対象としたサービスの提供を開始し顧客の裾野を広げたことで、2019年春の繁忙期には4万件近くまで応募受付件数が拡大する見込みとなっている。また、今後はトライアル段階の大手既存顧客向けの業務量拡大も推進し、早期に月間4万件(売上高で4千万円)の達成を目指して行く考えだ。
なお、収益改善策として人件費の高い東京(秋葉原)での新規顧客立ち上げ業務をなくし、立ち上げ当初から地方コールセンターで業務を行う方式に変更している。この効果で月間4百万円のコスト削減につながっており、今期は40百万円程度の増益要因となる。業務拡大に対応するため今下期は新たにコールセンターを1拠点開設する予定となっている。
d) その他サービス
その他のサービスについては、セールスサポートサービスが売上高で前期比2%増の540百万円、プロフェショナル人材バンクサービスが売上高で同20%増の240百万円を計画している。プロフェショナル人材バンクサービスに関しては、前期に営業体制を3人から6人に増員した効果が顕在化すると見ている。
(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前期比19.4%増の12,400百万円、営業利益は同17.4%増の1,179百万円となる見通し。営業利益率は前述したとおり派遣スタッフの有給休暇取得費用の増加や募集費用を保守的に見積もっていることもあり、前期比0.2ポイント低下する見込みとなっている。
今期も、引き続き人材ニーズの高い地域に集中出店を実施していく予定で、2〜3拠点の新規開設を計画している(候補地:札幌、東京、福岡、沖縄)。また、グループ型派遣についても強化していく方針で、現場常駐社員に関しては前期末の196名から240名まで増員し、グループ型派遣の比率を前期の4割から6割まで高めていく。常駐社員44名の増員のうち30名は新卒社員となり、残りを中途採用で確保していく計画となっている。
売上高の内訳は、コールセンター業務が前期比22.8%増の9,411百万円、店頭販売支援業務が同19.6%増の2,686百万円とそれぞれ2ケタ増収が続く見通し。2018年11月時点の稼働スタッフ数は前年同月比で35.8%増と好調を持続しており、会社計画の達成は可能と見られる。
人材ソリューション事業に関しては、今後もグループ型派遣を強みとし、コールセンター業務では専門性の高い業務の拡大に注力し、また、収益源の多角化を図るため介護・看護・保育業界向け人材サービスの早期収益化にも注力していく方針となっている。中期目標として、2022年11月期までに売上高200億円、20拠点(前期末15拠点)、女性管理者20%の達成を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 事業セグメント別見通し
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前期比6.5%増の4,774百万円、営業利益は同33.8%増の1,170百万円となる見通し。障がい者雇用支援サービスが2ケタ増収増益となり、けん引役となることに変わりないが、前期に赤字だったロジスティクスアウトソーシングや採用支援サービスについても収益改善施策により黒字化の目途が立つなど、各サービスともに増益となる見通しだ。サービス別の見通しは以下のとおり。
a) 障がい者雇用支援サービス
売上高は前期比26.5%増の2,508百万円と高成長が続く見通し。障がい者雇用促進法が2018年4月に改正され、企業の障がい者雇用率が従前の2.0%から2.2%に引き上げられたこともあり、障がい者雇用のニーズもさらに強まっている状況にある。実際、雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられたことを受け、既存顧客からの追加受注が増えており、前期は農園販売の約3割がこうした既存顧客からの追加受注で占められていた。2021年4月までには雇用率が2.3%に引き上げられる予定になっており、当面は需要に供給が追い付かない状況が続くものと予想される。
こうした市場環境下で、今期の農園設備販売は800区画(第1四半期114区画、第2四半期178区画、第3四半期266区画、第4四半期242区画)を計画している(用地は確保済み)。2018年12月末時点で既に438区画分を受注済みとなっており、現在は納品待ちの解消に向けて農園の早期開設に注力している状況にある。新規の5農園のうち、愛知県(春日井市)と埼玉県(さいたま市)はいずれも行政と連携して進めていくことになっている。愛知県では豊明市、みよし市に次ぐ3例目となる。同社では受注が好調なことから、新規農園を前倒しで開設することで100~200区画程度の上積みは可能と見ているが、就職を希望する障がい者の確保が流動的であるため、現時点では実現可能な数字を計画に織り込んでいる。
売上高の内訳で見ると、農園設備販売が前期比14.3%増の1,204百万円、農園管理収入が同47.5%増の1,077百万円、その他が同12.4%増の227百万円となる見通し。営業利益率がやや低下するがこれは農園開設から全区画を販売するまでの期間を1年程度と、従来(3〜6ヶ月)よりも長期化する前提となっており、毎月の管理収入の立ち上がりが緩やかになることで開設初年度の減価償却負担率がアップすることが主因となっている。逆に言えば、就労する障がい者の確保が従来どおりのペースで進めば業績の上振れ要因となる。
同社では2020年11月期以降も千葉、愛知、埼玉エリアにおいて年間5〜6ヶ所ペースで農園を開設していく計画で、販売区画数は800~1,000区画ペースとなる見通し。このため、ストック収益である管理収入については年間5億円弱のペースで拡大していくことになり、障がい者雇用支援サービス全体の売上高は年率2ケタ成長が続くものと予想される。農園管理収入の利益率は設備販売より低いものの15%程度と全社平均よりは高い水準にあり、今後減価償却負担が一巡すれば30%程度の水準が見込める計算となっている。このため、中期的には農園管理収入の拡大によって収益の安定性が増すだけでなく、収益性の向上も進むものと期待される。なお、同社では需要に供給が追い付かないこともあり、農園管理収入や人材紹介手数料について1〜2割程度の値上げを実施することも検討している。
b) ロジスティクスアウトソーシング
ロジスティクスアウトソーシングの売上高は前期比29.1%減の1,040百万円、営業利益は黒字転換(前期は92百万円の損失)する見通し。売上高が減収となるのは、従来、売上高に含めていた配送費用を分離し、顧客立て替えに順次切り替えているためで、配送費用分の売上高が目減りすることが影響する。従来と同一条件で売上高を換算すると1,540百万円となり、前期比でほぼ横ばい水準となる。2019年1月時点で約3割の顧客の切り替えが終わっており、今期中にすべての顧客で切り替えを完了する計画となっている。配送費用を分離することで、配送費値上げ時における収益悪化リスクがなくなることになる。
また、同社では収益改善施策を前下期に打っており、2018年11月には単月ベースで黒字化を実現している。具体的には、従来、顧客ごとに使い分けていた複数の物流システムを一本化したことで、生産性向上並びにシステム利用料の削減を図ったほか、営業体制を代理店営業から自社営業に切り替えたことにより適正価格での受注獲得、支払手数料の削減を図っている。また、物流センターを3拠点から2拠点に集約化したことで物流センターの稼働率も回復している。このため、今後も売上高が計画どおりに推移すれば、通期での黒字転換も十分可能と言える。
つくばECセンターのフル稼働時の売上高は年間で3.5〜4億円、S-POOL logistics laboratory Iは12億円程度と見られる。今期のEC配送代行サービスの売上高見通しは前期比38.4%減の785百万円(実質1%増)となっており、売上げの拡大余地は大きい。特に、S-POOL logistics laboratory Iでは最先端の自動認識技術(RFID、音声認識、画像認識等)を活用した次世代の物流管理システム※を新規顧客から順次、導入している。同システムではRFIDによって複数のICタグを一括読み取りできるため、単品で処理する従来のバーコード方式に比べて倉庫内での作業時間短縮が図れるほか、自動認識システムの導入により、入荷・返品・検品時の照合プロセスが不要となるため生産性の向上に寄与することになる。導入から約1年経過したが、生産性に関しては従来のバーコード方式と比較して1〜2割程度向上しているようで、同事業の収益性改善につながる取り組みとして注目される。
※2017年に業務提携したサトーソリューションアーキテクト(株)(サトーホールディングス<6287>の子会社)の技術を導入している。
c) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前期比48.1%増の450百万円、営業利益は収支均衡ラインを目指している。月間の応募受付件数が2018年4月以降、2万件台とやや伸び悩んでいたが、中小企業を対象としたサービスの提供を開始し顧客の裾野を広げたことで、2019年春の繁忙期には4万件近くまで応募受付件数が拡大する見込みとなっている。また、今後はトライアル段階の大手既存顧客向けの業務量拡大も推進し、早期に月間4万件(売上高で4千万円)の達成を目指して行く考えだ。
なお、収益改善策として人件費の高い東京(秋葉原)での新規顧客立ち上げ業務をなくし、立ち上げ当初から地方コールセンターで業務を行う方式に変更している。この効果で月間4百万円のコスト削減につながっており、今期は40百万円程度の増益要因となる。業務拡大に対応するため今下期は新たにコールセンターを1拠点開設する予定となっている。
d) その他サービス
その他のサービスについては、セールスサポートサービスが売上高で前期比2%増の540百万円、プロフェショナル人材バンクサービスが売上高で同20%増の240百万円を計画している。プロフェショナル人材バンクサービスに関しては、前期に営業体制を3人から6人に増員した効果が顕在化すると見ている。
(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前期比19.4%増の12,400百万円、営業利益は同17.4%増の1,179百万円となる見通し。営業利益率は前述したとおり派遣スタッフの有給休暇取得費用の増加や募集費用を保守的に見積もっていることもあり、前期比0.2ポイント低下する見込みとなっている。
今期も、引き続き人材ニーズの高い地域に集中出店を実施していく予定で、2〜3拠点の新規開設を計画している(候補地:札幌、東京、福岡、沖縄)。また、グループ型派遣についても強化していく方針で、現場常駐社員に関しては前期末の196名から240名まで増員し、グループ型派遣の比率を前期の4割から6割まで高めていく。常駐社員44名の増員のうち30名は新卒社員となり、残りを中途採用で確保していく計画となっている。
売上高の内訳は、コールセンター業務が前期比22.8%増の9,411百万円、店頭販売支援業務が同19.6%増の2,686百万円とそれぞれ2ケタ増収が続く見通し。2018年11月時点の稼働スタッフ数は前年同月比で35.8%増と好調を持続しており、会社計画の達成は可能と見られる。
人材ソリューション事業に関しては、今後もグループ型派遣を強みとし、コールセンター業務では専門性の高い業務の拡大に注力し、また、収益源の多角化を図るため介護・看護・保育業界向け人材サービスの早期収益化にも注力していく方針となっている。中期目標として、2022年11月期までに売上高200億円、20拠点(前期末15拠点)、女性管理者20%の達成を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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