日進工具のニュース
~超硬小径エンドミルで業界No.1、開発センターの新設で次に備える~
・2021年3月期の3Qから業績が急回復している。需要面での好転に加えて、流通在庫の調整が一巡し、仙台工場の操業度が上がっている効果が大きい。4Qもこのペースが続くので、会社は今期の業績見通しを大幅に上方修正した。
・新型コロナウイルスの影響が自動車関連、電子部品関連の減産に大きく出て、上半期は7割近い減益となった。しかし、3Qの営業利益は528百万円へ改善し、売上高営業利益率も24.0%に好転した。新型コロナの3波が懸念されるが、5GやDX、製品のインテリジェント化が需要面でリードしている。
・昨年3月から本格稼働した新開発センター(投資額13億円)は、実際の加工ができるように新たな機械も揃え、次のニーズ開発に活かしていく。精密加工に必須の先進的な免震・制震構造を取り入れたオールラウンド免震構造である。精密電子デバイスの新分野は、当社の工具需要に一段と結びつこう。
・昨年11月にJIMTOF(2年に一度の日本国際工作機械見本市)が、オンラインWebで開催された。リアルな展示会に比べると、新規顧客の誘導ではまだ十分でない。今後は、新開発センターを活用しつつ、Webによる技術セミナーなどが一段と実施されていこう。
・自動車関連では、ADAS(先進運転支援システム)の拡がりが精密工具の需要に結びついている。5G関連も製品化の段階に進み、新しい精密加工の分野が本格化しつつある。EV(電気自動車)やFCV(水素燃料電池車)は有望である。
・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。コーティングを強化した新製品も強化している。業界トップのCBN(立方晶窒化ホウ素)素材小径エンドミルは用途が広がっている。PCD(ダイヤモンド焼結体)素材のエンドミルも、鏡面加工の分野などで市場開拓が始まっている。
・2022年3月期に向けて業況は改善している。目標とする売上高経常利益率20%への復帰もできよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場で高収益を実現する企業として引き続き注目したい。
目 次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 調整局面を乗り切り、2021年3月期の下期から回復へ
5.企業評価 競争力を強化し、高収益への復帰
企業レーティング | A |
---|---|
株価 (2021年2月10日) |
2725円 |
時価総額 | 341億円 (12.5百万株) |
PBR | 2.32倍 |
ROE | 7.7% |
PER | 29.6倍 |
配当利回り | 1.3% |
総資産 | 15991百万円 |
純資産 | 14877百万円 |
自己資本比率 | 91.9% |
BPS | 1175.0円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2013.3 | 5997 | 921 | 951 | 527 | 42.2 | 9.75 |
2014.3 | 6418 | 1069 | 1107 | 694 | 55.6 | 15.0 |
2015.3 | 7402 | 1481 | 1534 | 973 | 77.9 | 20.0 |
2016.3 | 8382 | 1914 | 1954 | 1342 | 107.4 | 25.0 |
2017.3 | 8825 | 2013 | 2026 | 1420 | 113.6 | 40.0 |
2018.3 | 9767 | 2685 | 2733 | 1903 | 152.2 | 45.0 |
2019.3 | 10476 | 2879 | 2894 | 1970 | 157.6 | 45.0 |
2020.3 | 9531 | 2219 | 2231 | 1545 | 123.6 | 45.0 |
2021.3(予) | 7930 | 1460 | 1650 | 1150 | 92.0 | 35.0 |
2022.3(予) | 8500 | 1800 | 1800 | 1230 | 98.4 | 45.0 |
(2020.12ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2014年10月に1:2、2017年1月に1:2の株式分割を実施。2016.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2014.3期は60周年記念配(5円相当)、2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/niltusinnkougu202102.pdf
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